#176新聞記事の検索について(2)
「朝日新聞クロスサーチ」を活用しての記事検索についての話の後半です。
http://www.asahi.com/information/db/2022renewal/
今回の確認では、下記の拙稿に使用した「大阪朝日新聞」掲載の記事がデータベースで検索してヒットするのかを確認してみました。
欄外記事について見てみましょう。拙稿で使用した「大阪朝日新聞」明治四一年(一九〇八)二月二二日付欄外記事として「記功碑除幕式」(原文には圏点あり)という表題の記事が掲載されています(注一七の史料に該当)。記事の内容としては下記のとおりです。
上記の記事を「朝日新聞クロスサーチ」で検索してみたところ、まず人名などでは記事はヒットしませんでした。当該日の新聞を検索してみたところ、紙面の端に欄外記事が写り込んではいました。つまり、どうやら欄外記事は検索の対象外になっているようでした。
次に、実際に欄外に移り込んでいる記事を見てみましょう。
掲載されている新聞の印刷状態によって摩滅の個所にばらつきがあるのは致し方ないとしても、「明二十三日午前官民新聞記者を招待して除幕式を」の部分は明らかに一行ないし二行掲載出来ていない状態でした。おそらく本文部分については、印刷の状態の良好なものをデータベースに掲載出来るように配慮されていると考えられますが、欄外記事については、印刷の状態や、そもそも記事として掲載しようということの対象外になっているようです。
せっかく素早く、包括的に検索出来ると思って活用するデータベースですが、このように、思わぬところに落とし穴がありました。きちんと史料に当たる場合には、「朝日新聞クロスサーチ」の場合は、検索結果を目安として活用し、検索でヒットした記事の前後なども日付からきちんと紙面を一面づつ目視で確認していく必要がありそうです。また、目視で確認する際にも、掲載している紙面に欠落した行がないかについても確認しないといけない点にも留意する必要があります。
また、データベースに掲載されているか紙面について、どの版が掲載されているのかによって、必要な情報が入手できるかどうかも変わってきます。著者が自身の研究などで「大阪朝日新聞」を検索する際には、地域社会史を中心に研究しているため、その当該する地域にあたる、大阪版や北摂版といった、地方版と呼ばれる面での情報を論文執筆などの際には有効に活用しますが、記事検索のデータベース上に掲載されている紙面が「朝日新聞」は「朝日新聞」でも「東京朝日新聞」であれば、ぐっと関西の情報が減ってしまうので、あまり活用する意味がなくなってしまいます。どこの地方版で第何版が収録されているかによって記事にたどり着けるかどうかが変わってきてしまう、という制約が発生してしまいます。「朝日新聞クロスサーチ」の「収録媒体について」という解説によると、概ね昭和一〇年(一九三五)から地方版を掲載しているとなっています。マイクロフィルムの書誌情報によると、大正一三年(一九二四)から大阪の地方版が掲載されているとなっています。こちらについては、実際のデータベースに掲載されているかまでを今回確認出来ていませんが、もし大正一三年(一九二四)から昭和一〇年(一九三五)までの地方版が掲載されていないのであれば、別途マイクロフィルムを実際に閲覧しないといけない、となります。
なお、今回実際にデータベースを使用してみて、普通に本文に出てくる人名や事象についてはヒットしているように見受けられましたが、検索の精度として、全文検索なのか、見出し、キーワードによる検索なのか判然としませんでした。
日々更新されていくデータベースですので、今後使い勝手が変わってくるかもしれませんので、今後も使用感については引き続きレポート出来ればと思います。