2024年8月7日日銀内田副総裁の函館での講演

日銀の内田副総裁が、函館市内で講演しました。講演内容を要約したいと思います。

(参考URL)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240807a1.pdf

(経済状況の把握、賃上げの見通し)
$:わが国経済は一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復
$:今年の春季労使交渉においては幅広い企業で約30 年ぶりの賃上げが実現し
その影響が、実際の賃金にも徐々に反映。
$:中心的な見通しとしては、個人消費は底堅く推移すると考えている。
$:私自身は、米国はソフトランディングする可能性が高いと思う。

(為替について)
$:為替相場の面では、円安が修正された結果、輸入物価を通じた物価上振れのリスクは、その分だけ小さくなった。
$:わが国の場合、一定のペースで利上げをしないとビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうような状況ではない。
$:したがって、金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない。

(国債買い入れ額の減額について)
$:今回決めたペースであれば、残高の減少は、1年半後に7~8%程度と大きくない。
$:国債買入れの減額は、全体としての金融緩和効果に多少は影響も、その程度は短期金利の影響に比べて小さい。

(金利の引き上げについて)
$:経済・物価見通しがオントラックであることを確認したうえで、リスクの観点からも、消費者物価が2年以上にわたって2%を上回って推移する中で、円安を受けて輸入物価が再び上昇に転じていることを踏まえて、0~0.1%よりも0.25%程度の金利水準の方が、よりリスクに中立的で、適切であると判断。
$:もちろん、0.25%という水準は名目金利としてもまた特に実質ベースでみれば、極めて低い水準で引き続き、極めて緩和的な金融環境。

(押さえの部分)
$:もっとも、最近の内外の金融資本市場の動きは極めて急激ですので、その動向や経済・物価に与える影響について、極めて高い緊張感をもって注視し、政策運営において適切に対応していく。
$:当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある。

このように、前回7月の利上げを決めた植田総裁の会見で、植田総裁が追加の利上げに積極的と受け止められたのを若干修正するないようと言えそうです。また先週末から今週5日月曜日に株価が乱高下したため、市場や投資家を落ち着かせるために発言したとも取れそうです。

先週末のアメリカでの株価下落は、主に半導体関連株の下落によるものでしたが、なにか構造的な問題が経済にあるわけではなく、「表層的なもの」と捉えられているようです。(Ex、リーマンショックの時のサブプライムローン問題のようなものはないということ)
今回内田さんも、アメリカ経済はソフトランディングすると発言しているので、日銀の経済を分析する部署はそう見ているということでしょうね。

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