虎に翼66回~70回
今週は忙しくてあまり書けないかもしれない。
虎に翼66回
寅子の忙しさ、最高裁判長の息子との出会い。が描かれた回だったけれど、私が一番気になったのはちょっと大きくなった優未ちゃんの寂しそうな顔。
きっと他の家と少し違う、というのに気づく年だよね。
虎に翼67回
補修を手伝った最高裁判長星さんの本に寅子の名前が。
「佐田」の苗字で入ったことで優三さんの夢を叶えたことにする寅子。
星裁判長の序文の朗読に聞き入ってしまった。梅子さんだけではなく、竹むらの奥さんもお客さんたちも。
理想を掲げてばかりでは上手くいかないという描写もあったけれども、理想がなくては進む道もわからなくなるものね。
法に夢中になる寅子を見つめる優未ちゃんの顔が心配。
わかっているようでわかってない寅子、花江ちゃんが教えてくれるかしら。
虎に翼68回
穂高先生が審判員として参加した裁判。尊属殺とは。
今だと違憲となりそうな内容だけど、こういう積み重ねで違憲となるようになったのね。
理想に進むけれどうまくいかないと嘆く寅子に「今できることが」と伝える星航一。
女性特有の悩みにも悩みながらも進んでいく寅子。
でもなあ。月曜から気がかりな優未ちゃんにかける言葉が厳しい。
84点、頑張ったでしょ、とみんなが言っているのに間違えたところを指摘する。
優秀な親がかけてしまいがちな言葉だよ。
そしたら親も勉強に付き合ってあげてよ、と思う奴。
でも、これも寅子が女じゃなかったらそう思わないのかな。私は男でも構えよ、と思ってしまうけれど。
虎に翼69回
優未ちゃんのことも、栄二くんのことも気になるけれど、今日はやっぱり穂高先生と寅子の言葉。
老いが迫ってきて何一つ理想とするものを具体化できなかったと思う。女性の法律家を生み出すこと、そして先日の尊属殺の判決も覆せなかった。だがこれを(自分を)雨だれの一滴として後進たちに託したい。
概ねこれが穂高先生のスピーチだったと思う。これを聞いている途中で寅子は涙が止められなくなり、花束を多岐川に託して部屋を出る。
部屋にはたくさんの男性たち。
女性法曹家はここに寅子一人しかいないのだ。
はじめ、私は寅子は穂高先生に甘えているのか?と思った。
けれど違う。寅子は「見えない人たちを見ない穂高先生に対して自分の怒りを発したのだ。」
妊娠して倒れた時に言われた「雨だれの一滴に」と言う言葉で。
ともすれば恩師の引退セレモニーでこんなことを言って怒るなんて。と言われかねない態度。
しかし、それをやる私たちは「世の中そういうものだ」「わきまえなければ」というあきらめにも似た態度をとって取り繕っている。
穂高先生は凄い。あの社会の中で女性に権利を、と動き女子部を作り広く門戸を開いた。弁護士としても政財界を揺るがす事件の弁護士として弁護人団を作り無罪を勝ち取った。
新しい憲法を理想とし、実現のために劣勢の中声を上げた。
けれどもその声に導かれ、くじけ、諦めてきた人はたくさんいる。寅子だってその一人だ。
その声を拾おうともせずに最後は諦めて(わきまえて)去ろうとしたのだ。
今後、もう寅子と会うことはないままかもしれない。また二人はなにか心残りをもったままかもしれない。
桂場はそんな二人の心残りを解消させようとしてセレモニーの手伝いを寅子に頼んだのに。
実社会ではどうしてもこんな態度をとれば何かと立場が悪くなることが多い。でも声を上げなければ絶対に気づいてもらえない。
相手が何を期待しているのか即座に察知してそう振舞える人がどんなに周りからの評判がいいかを私たちは知っている。
けれども寅子はそういうことができない人間だ。おかしなことがあれば「はて」と声にし、お父さんの陰にいて見えないものとされていた「母は優秀です」と声にする人間だ。
女子部に入ったが、道半ばで学校を去った者、家の事情で去った者、受験間近で国を去った者、家族に邪魔にされて受験できなかった者。受験はしたが信念を揶揄されて落とされたもの。
穂高先生からは見えない優三さん。
見えなくしてきたものを置き去りにしてもなお進んでいく人だと思っていたから今まであの時のことは黙っていたのに。
実社会では叫べずに諦めた自分はこの世の片隅からこの物語を見つめていきたい。
とはいえ、もう少し気楽に見られる朝ドラにならなかったのか。揺さぶられる度にすごいと感心する気持ちと辛い気持ちが押し寄せてくる。
虎に翼70回
穂高先生との和解。
撤回しない寅子ともうこれ以上嫌われたくない穂高先生。
寅子は尊敬を穂高先生は誇りを相手に感じる。
ともすれば私たちは相手にすべてをわかってほしい、認めてほしいと思いがちだ。私たち、なんて書いたが私はそうだ。
ひとつ否定されれば全部、人格まで、否定された気持ちにもなってしまう。
そうではない関係を見せられた時、こうありたいと強く思うのだが。
栄二くんが話し出す心象は映像で描かれていた。
ぼんやりした判事と調停委員が寅子の言葉をきっかけに徐々にはっきりしていく。
これは栄二の視界なのかなと。
そして話し出す。
「味方になってくれる人は親じゃなくてもいいと思う。」
栄二はそれで救われた。
しかし寅子、それは全部自分にかかってくるのではないか。
確かに親でなくてもいい。
じゃあ寅子が親である必要もない。
最期の優未の顔。
「どうしてこの人が私のお母さんなんだろう。」
とでも言いだしそうな顔だったよ。
予告も、ファミリードラマで無理解な父親が言いそうなことを寅子言っていたし。