習作「時間を書く」
あなただけしかこの世界にいないのです。
降り止んだ結晶は、薄く道を覆い、
全てを均一にしています。
銀杏の樹も「静かに」と白く黙っています。
シャドウを走る黒馬はなく、
停止した世界です。
街頭の幻のような微かに照らすクリーム色。
誰にも当たらないスポットライトが主役のように。
紺と、白、その、背景美術の一部なのです。
足を動かして、ざく、ざく、と
白いキャンバスを汚していきます。
そんなことはどうでもいいのです。
耳鳴りがする気がします。
気のせいでしょうか。
あまりにも静かだから、
きっと勘違いしたのです。
澄んだ透明を、吸って、吐いて、
キラキラして、満たされて、
また大きく吸い込んで。
目を閉じて。
ここには、あなただけしかいないのです。
どれだけ汚してもいいのです。
罪の数は歩いただけ残ります。
なんと贅沢な。
この絵画はあなたのために存在しているのです。
ざく、ざく、
キャンバスを歩いていきます。
帰りたくない、と思いましたか。
帰りましょう。
時間は有限。
囚われていることは赦されていません。
美しいものを、汚した罪です。
もう、全てが白く生き返りはじめています。
誰かに罪が見つかる前に。
ざく、ざく、ざく
心を刺す、世界との境界線。
帰りましょう。
自分以外の誰かがいる、
世界へ、帰りましょう。
仙台で深夜勤をしていることがありました。
冬はつとめて。
薄く雪が積もった早朝、
帰ろうと外に出ると、
静止画のように完全に時が止まった、
白く美しい、それは心から美しい景色でした。
冷たささえそれをひきたたせていて、
誰かの小説を読んでいるような、
心の情景が外に現れているような、自然と街の芸術でした。
ブルーピリオドだと、
「青い」という表現だったな、と思います。
仙台東口の大きな道路です。
私の心に残っている風景で
2,3を争うものです。
「色」や「匂い」「音」を
表現してみたいな、と思ったりしました。
とっても難しくて楽しかったです。
魔法の詠唱とかも書いてみたいし、
モンハンの武器説明みたいなのも書いてみたい(黎明って書きたい)
中学二年生がまだ心の中にいるなぁと思います。