「かまいたちの夜×3」(スパイク・チュンソフト)(シナリオ:我孫子武丸さん) 記憶をなぞる旅
ずっと欲しがっていた「かまいたちの夜×3」買っていましたとさ。
めでたし、めでたし。
今。
今このゲームを遊ぶことでしか味わえない感覚がありました。
私は「かまいたちの夜」をスーパーファミコンで遊んだことがあります。
当時の記憶はうっすらと残っていて、犯人もなんとなく覚えていました。
事前知識として知っておいて頂きたいのは、私は「忘れっぽい」ということです。
私はこの「忘れっぽさ」を案外いいところだと思っています。何度か作品を遊んでも、覚えていない部分は何度でも新鮮さをもって楽しめるから。
ポジティブすぎると言われるかもしれませんが、何度も出会えると何度も感動できます。コスパ最高では?
例にもれず、ほぼ内容を覚えていませんでした(ごめんなさい)。
選択肢は覚えていないので、思うままに選択肢を選んで楽しみ尽くしました。
ゲームを手探りで攻略していく楽しみは遊んでこそだと思っています。
1994年11月25日に発売された「かまいたちの夜」。
私は1983年生まれ。発売当時は11歳。
当時まだわからないことだらけだったけれど、ゲームショップ「カメレオンクラブ」でどうしても欲しくて指をくわえて眺めていました。
近所のゲームショップ「カメレオンクラブ」おもちゃ屋さん「おもちゃのバンバン」本屋さん「ブックバーン」に通うのは日課のようなものでした。大好きでした。
今思えば私ができあがるには、奇跡のような店配置でした。
小さい頃、話の良し悪しなんてわからなかったけれど。
今やっとわかりました。本当に、もったいないほどすごい。
様々なノベルゲームの先駆け、旗を振ってくれたのはこの作品なんだと思い知りました。
名探偵コナンがはじまったのも1994年。
金田一少年の事件簿がはじまったのは…1992年。
あれ。案外金田一少年の事件簿は早いんだな…。
逆転裁判が2001年10月12日発売。
ダンガンロンパが2010年11月25日発売。
To Heartが1997年5月23日発売。
君が望む永遠が2001年8月3日発売。
Kanonが1999年6月4日発売。
月姫が2000年12月29日発売。
Rance -光をもとめて-は1989年7月15日発売…アリスソフトすごいな?
思ったよりそんなに先駆けじゃなかった…。
ともあれオタク向けミステリーのエンタメなんて、私は当時知りませんでした。
この後に「街」や「428」、「AI: ソムニウム ファイル」などなどを遊びますが、切り開いたと言っても過言ではないんじゃないかな、と思っています。
多分しっかりとミステリーと認識したものはあの堤幸彦さんの1995年4月8日放送開始のドラマ「金田一少年の事件簿」だった気がします。
(絵本や歌は幼稚園で夢中になりました。
「ぐるんぱのようちえん」「三びきのやぎのがらがらどん」がだいすき。
「メトロポリタン美術館」「ホネホネロック」がだいすき。)
こう思うと私が生まれた1983年はすごい年だなと感じます。
物心ついた時、正に世はサブカルチャーエンターテインメントの革命期、といわんばかり。
本当に新しく多くのものに魅せられすぎていました。文化がキラキラしていました。
そんな中で、かつて憧れだった、そして遊んでいた「かまいたちの夜」。
大人になってやっとその物語を把握することができました。初めてしっかり遊んだといっても過言ではないかも。
令和に遊ぶ作品にしては、古さを感じました。もちろん。
ボイスは入っていないし、ベタな部分はベタ。
競合相手も(ほぼ)おらず、好きに楽しんでいる印象があって、そこがただ純粋に楽しい。
派手ではないし、今人気の声優もいないし、ファンタジーでかわいいカッコイイな萌えキャラもいないし、ファンアートも描きづらい。
けれど、エンターテインメントとして、ゲームとして楽しい。
選びたくなる様々な選択肢、愛嬌溢れる登場人物、感情移入してしまうセリフ、考察しがいのある設定、伏線。こうかな、ああかな、と色々な人を疑いたくなる仕掛け。ボタンを押して続きを読む。振り返る。
エンタメに溢れたもので、とても、とても楽しかったです。
ということで、原点のようなものを感じました。
きっと多くのクリエイター様がこの作品に触発されたはずです。
そして、私もそのうちのひとり。
つぎは、あなたです!!
(C)Spike Chunsoft/我孫子武丸/田中啓文/牧野修