公益通報の事例 (兵庫県)
皆さん、お疲れさまです。
2024年11月17日に、兵庫県知事選挙が行われましたね。
本知事選挙では、斎藤元彦前知事が再選を果たしました。
ところで、
本知事選挙の発端は、斎藤元彦知事の公益通報への対応が不適切であり、県職員を自殺に追いやったため、とされました。
そして百条委員会が地方自治法100条に基づき開催されました。
百条委員会では、斎藤元彦知事は県政の長として失格、人間として人の心を理解することができない、道義的という感覚のない人間、傲慢、などとメディアを通じた公開の場で委員全員から断罪されました。
最後には、86人の兵庫県議会委員の全員が、全員が知事の顔をはっきりと見つめて人間として失格であると述べ、全会一致で斎藤元彦知事の不信任決議案が可決され、失職したものでした。
ここで、本記事では以下の内容を記載します。
時系列に沿うように書きますので、振り返ってください。
(1) 3月12日の匿名の外部通報
公益通報者と通報先及び通報日時
2024年3月12日、
兵庫県西播磨県民局の、当時の西播磨県民局長 (渡瀬康英さん) が、
斎藤元彦知事を告発する内部告発文書を作成し (次項で説明)、
以下の期間に文書を送付した。
文書は匿名で記載・送付された。
兵庫県警捜査2課
産経新聞
神戸新聞
NHK
朝日新聞
竹内英明県議 (ひょうご県民連合)
山口晋平県議 (自民党)
黒川治県議 (自民党)
原哲明県議 (自民党)
末松伸介県議国会議員 (自民党)
なお、本告発はその告発内容と告発先から、
警察に対しては行政機関通報の保護要件を満たしていない。なぜなら、匿名であり告発者の氏名・住所など告発者を特定する情報の記載がないためである。
また、国会議員・県議会議員・報道各社に対しては外部通報に該当する (以下の記事を参照)。
外部通報の内容 (7点)
①五百旗頭真理事長先生のご逝去は斎藤知事及び片山副知事の人事が原因 (トリガー) である
五百旗頭真氏は、ひょうご震災記念21世紀研究機構の理事長である。
五百旗頭真氏は、井戸敏三前知事と懇意であり、前知事に懇願されて兵庫県立大学理事長や兵庫県行政に深く関与していた。
しかし、斎藤元彦知事に交代してから、とにかく斎藤氏は井戸嫌い・年長者嫌い・文化学術系嫌いで有名で、知事及び県幹部との関係に溝ができていた。
令和6年3月5日に、斎藤元彦知事の銘を受けた片山副知事が五百旗頭真氏を訪問し、御厨貴及び河田惠昭副理事長の解任を通告した。
令和7年1月には阪神淡路大震災から30年を迎えるタイミングで、五百旗頭真氏が信頼を寄せる二人の副理事長を解任したのは、斎藤元彦知事の五百旗頭真氏への嫌がらせである。
五百旗頭真氏は、その晩に眠れず、翌日の出勤時には斎藤元彦知事の理不尽な仕打ちに憤慨した胸の内を職員に延べ、午後には急性大動脈解離で急逝された。
したがって、斎藤知事及び片山副知事が五百旗頭真氏の命を縮めたといえる。
②斎藤元彦知事の選挙で違法行為があった
令和3年7月8日の兵庫県知事選で、
兵庫県職員の井ノ本知明、原田剛治、小橋浩一、三宅隆之は、公職選挙法・地方公務員法に違反するとともに、特に三宅は自分の居住区の市役所幹部に対して恫喝した。
兵庫県職員の井ノ本知明、原田剛治、小橋浩一、三宅隆之は選挙期間以前から斎藤元彦候補予定者に対して知人等への投票依頼など事前運動を行い、これは公職選挙法・地方公務員法に違反する。
その際、三宅孝之は、自分の居住地である三木市役所幹部等に対して「自分は選挙前から斎藤のブレーンだった。お前らいうこと聞けよ」と恫喝していた。
また、上記の井ノ本・原田・小橋・三宅はこれまでの人事のルールを無視で昇進しており、これは地方公務員法に違反している。
③斎藤元彦知事は、次回選挙に向けた投票の働きかけをしている
斎藤元彦知事は、公職選挙法・地方公務員法違反である。
斎藤元彦知事は、令和5年の下半期より、
選挙期間外にもかかわらず、次回知事選挙のために
令和6年2月13日に但馬地域の商工会、2月16日に龍野商工会議所・商工会に働きかけを行っており、これは公職選挙法・地方公務員法に違反している。
④斎藤元彦知事はおねだり体質で贈答品が山のようにある
斎藤元彦知事のおねだり体質は県庁内で有名である。
知事の自宅には贈答品が山のように積まれている。
例1) 高級コーヒーメーカをゲット
令和5年8月8日、兵庫型奨学金返済支援制度利用企業の視察として訪れた株式会社千石で
千石の幹部から贈呈された高級コーヒーメーカーに対し、周囲にマスコミがいたため、「そんな品物はいただけません」と辞退したが、同行した原田剛治産業労働部長に向かって「みんなが見ている場所で受け取れるはずないやろ。失礼な。ちゃんと秘書課に送るように言っておけ!」と指示。
後日に無事にコーヒーメーカーをゲットした。
片山副知事のご子息が千石で勤務しているうわさもある。
例2) 井之本県民生活部長の調整で贈収賄を行っている
令和5年7月に
トレック・ジャパン株式会社と兵庫県はスポーツ提携協定を結び
知事がPR用の写真として50万円のトレックのロードバイクにまたがりそれらの対価としてロードバイクを贈呈されており贈収賄に該当する
なお、偽装として無償貸与の形をとったり、ほとぼりが冷めるまで県庁で保管するなど小細工がなされているかもしれない
これらはすべて井之本県民生活部長のアレンジである
例3) 神崎郡市川町から特別交付税の見返りにゴルフのアイアンセットを受け取った
町からは特産品の20万円のゴルフのアイアンセットが贈呈
さらに使いにくいとして再度別のモデルをおねだり
これは、特別交付税の算定の見返りの可能性がある
また、斎藤元彦知事が考えられないほど現市長振興課細川圭太課長を冷遇していることを忖度しなかったことへの当てつけかもしれない
例4) 衣装について特定企業と癒着が強く、貸与ではない
斎藤元彦知事は驚異の衣装持ちである。
メーカーにすれば動く広告塔である。
例えばアシックスなどとの癒着が強い。
視察先は貰えるものを基準としている
そもそも、視察先を選定する際には、
斎藤元彦知事は、何をもらえるかを判断基準としている。
企業リストの備考欄には「役得」が列記されている。
もらい物は独り占め
特産物などすべて独り占め。
あまりの強欲・周囲への気配りのなさに、秘書課職員ですらあきれている。
出張先での飲食は原則ゴチのタカリ。
お土産は必須。
出張先では地元の首長や利害関係人を陪席させて支払いを付け回す。
これが出張大好きな理由であり現場主義が聞いてあきれるものである。
その他告発にはないおねだり
椅子とサイドテーブル→知事応接室に
姫路城のレゴブロック→知事室で展示できるといいですねと伝えた
スポーツシューズ→無償貸与
兵庫・明石ノリ→漁業組合の訪問時に提供
播州織の浴衣やジャケット・ネクタイ→公務用に貸与
ユニフォーム→スポーツチームより提供
西播磨のカキ→工場視察時に提供
上郡町ワイン→提供されたがPRしていない
枝豆→県の農業試験場で作られたものが知事室に配送
香美町のカニ→カニPR時に組合長から持って帰るよういわれた
日本酒→そのブース回った時にのんでとわれた
⑤県下の商工会議所・商工会に、経営指導員の定数削減・補助金カットの圧力と引き換えにパーティー券を大量購入させた
令和5年7月30日の斎藤元彦知事の政治資金パーティーに際し、商工会議所・商工会に圧力をかけてパーティー券を大量購入させた (つまり脅迫である)。
実質的な実行者は片山副知事、産業労働部地域経済課福田靖久課長である。
また、兵庫県信用保証協会古川理事長・岡専務理が、保証業務を背景とし、企業にパーティー券購入を依頼した。
古川理事長はこの準公的な保証をもとにする政治活動に危険を感じたのか1年で退任し、みなと銀行の監査役にいく。
みなと銀行の服部会長と片山副知事は高校時代の先輩後輩である。
今後、県からみなと銀行に利益提要があるはずである。
⑥阪神・オリックス優勝パレードの寄付金が不足したため、但陽信用金庫を幹事とする信用金庫に県の補助金を増額して与え、それを寄付金としてキックバックさせることで県の資金を使用した。その不正行為により元県民生活部総務課課長はうつ病になった
寄付金は県費をかけない方針でクラウドファンディングにより企業から寄付を募った。
上記のキックバックは片山副知事と産業労働部地域経済課が行った。
また神姫バスにも便宜供与の見返りとして寄付集めを行った。
パレードを担当した元県民生活部総務課課長は不正でなやんでうつ病を発症していた (同課長は後日の4月20日に自殺した)。
しかし、上司の井ノ本はどこ吹く風のマイペースで知事の機嫌取りにいそしんでいる。
⑦パワーハラスメント
知事のパワハラで職員は限界を超えている
あちこちで悲鳴が上がっている
気に入らないことがあれば室内出張先にかかわらず怒鳴りつける
例1) 出張先の施設エントランスが自動車進入禁止のため、20m手前で公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は一言も口を利かなかった。
例2) 自分が知らないことがテレビで取り上げられ評判になったら「聞いていない」と担当者を呼びつけて執拗に責め立てる
例3) 知事のレクの際に気に入らないことがあると机をたたいて激怒する
その他多くの知事が激怒する事案について
そのほとんどが伝聞であり、他部署で生じたことが現部署で生じないように引き継がれているものとされている
幹部に夜中・休日お構いなくチャットで支持が矢のようにくる
日ごろから気に入らない職員の場合、対応が遅れると「やる気がないのか」と非難され、一方ではすぐにレスすると「こんなことで僕の貴重な時間をじゃまするのか」と文句を言う。
生意気とか気に入らないということだけで左遷された職員が大勢いる
外部通報内容のまとめ
(2) 外部通報後の対応 (県:事業者)
3月20日:知事が通報内容を入手
斎藤元彦知事は3月20日に同文書を民間人からの情報提供で入手
3月21日:斎藤知事が文書内容の調査を指示
斎藤元彦知事は、知事室で、片山副知事、総務部長、県民生活部長、産業労働部長の4名を集め、告発文書を見せて事実関係を確認し、誰がどのような目的でだしたか調べるよう指示した
なお、この通報者の探索や、真実相当性の判断に関する指示が外部通報の内容を知った事業者の対応として条文に記載してあるレベルで法的に問題がなことは別の記事で説明したとおりである。
3月21日:片山元副知事らと人事で公用メール調査開始
告発文の内容が特定個人の被害にとどまらないため、複数名が作成したと判断し、紅葉メールの調査を開始
3月23日:人事課が外部通報者を同定
人事課が元西播磨県民局長が外部通報者の可能性が高いと同定
同日、斎藤元彦知事・片山元副知事・理事・前総務部長・県産業労働部長で協議し、3月25日に3班で公用パソコン押収と事情聴取の実施を決定。
3月25日:コンピュータ押収・調査
片山元副知事と人事課長で、元西播磨県民局長をアポなし訪問し、公用コンピュータを押収し、事情聴取。
コンピュータには告発文書があり、メールにはクーデター・革命・逃げ切るなどの文言があった (この点は公益通報者保護との関連で不正な目的ではないかと指摘されることが多いが、この時点では目的にかかわらず告発文書の内部処理に過ぎず、ただの懲戒事由となるだけである)。
その他、業務と関係ない私的文書、人事課の管理職時代に私的に持ち出した特定の職員の顔写真データ、2022年5月に匿名で送付された部下職員の人格を否定する文書、個人のプライベートな情報等が記録されていた (したがって、普通に懲戒処分である)。
3月27日:元西播磨県民局長定年退職とりやめ
3月27日、元西播磨県民局長の定年を保留し、総務部に異動させ、4月1日に役職定年とした。
この日、斎藤知事は、彼について内部調査中で、事実無根、職員などの信用失墜、名誉棄損など法的課題があり、被害届や告訴を含めて法的手続きを検討している、不満があるからと業務中に嘘八百を含めて文書を作って流す行為は公務員として失格とのべた。
(これが契機になり、パワハラ知事という印象が植え付けられたが、再度記事を引用する通り、外部通報の場合に事業者は通報者を探索・同定して調査してもよく、そこで公務員失格の書類など多々見つかったので、知事としてマスコミに当然の発表をしただけであった)
4月1日:元西播磨県民局長が報道機関に抗議文送付
元西播磨県民局長は、斎藤元彦知事の記者会見に対し、以下を送付した
欠席裁判で私の言動と異なるものが発表された、
ありもしないことを並べたことを認めたことなどない、
内部告発の調査がなされていないのに事実無根・誹謗中傷と決めつけるのは本当か
内部通報を利用すればよかったが自浄作用がない機関を信用できない
(ここで、各メディアは、「確かにそうだ、調べもせずに内部の問題を一方的に決めつけて公に公表した!」と判断したわけである)
(つまり、この時点でのマスコミは悪くないのである。普通の人ならそう受け止めてしまう)
(しかし、再度引用するように、事業者が外部通報の情報を入手した場合、事業者が通報者を探索・同定し、真実相当性がなければ内規に従い処分することは何ら問題がないのである)
(これは、事後に国民全体で明らかにしたものといえるので、この時点では斎藤元彦知事が異常だと判断した人のほうがある意味ただしい)
同日:県特別弁護士の藤原正広弁護士と相談開始
同日以降、県の人事課が、特別弁護士の藤原正広弁護士事務所に訪問
3月12日の告発文と、元西播磨県民局長の処分につき、法的見解を聞くために複数回訪問
(これも県の対応はギリギリだった。今でこそ、外部通報における事業主の通報者の探索・同定・真実相当性の調査が違法ではないと明らかになったが、もしかすると違法になるかもしれない橋をギリギリで渡っていたことになる)
(公益通報が生じた場合は、内部・行政機関・外部を問わず、弁護士と対応を検討するほうがよい)
4月2日:ニュースサイトHUNTERが3月12日文書を公開
4月4日:元西播磨県民局長が実名で内部通報
(ここで、内部通報の内容は通報対応業務従事者以外は一切知らないことになる)
(もし、内部通報の内容に通報対応業務従事者が含まれていれば、内閣総理大臣が定める指針に従って利益相反を排除して調査すれば違法にならない)
(したがって、ここで、事業者として3月12日の外部通報文書の処理を行うものと、内部通報対応業務従事者が全く重複しないことになり、それぞれが独立して調査していくことになる)
(そして、互いに内容を知らないので、それぞれが独立にすすめても違法にもならないという法整備の不備が露呈する)
5月7日:県の内部調査に基づく懲戒処分
県は内部調査を終え、
3月12日の文書は真実相当性に欠けると判断して以下の理由から定職3か月の懲戒処分とした (すなわち外部通報者の保護をする必要がない文書だと判断した。違法ではない)
知事や職員への誹謗中傷 (先に述べたようにそう受け取れる)、
業務と関係ない私的文書を13年間で200時間ほど多数作成
部下に匿名で人格を否定する文書を送付するハラスメント
人事課管理職時に私的に特定職員の顔写真データを持ち出し
(なお、真実相当性とは、憶測や伝聞ではなく相当の証拠が必要であることから、噂話を含めた文体で証拠が乏しいことからそう判断されてやむを得ない)
5月8日:斎藤知事が会見
処分は、外部通報とそれ以前の行為への懲戒である
処分の量定は妥当である
(3) 内部通報の対応 (県の内部通報窓口)
7月20日:内部通報の結果が確定
(4) 外部通報後の対応:県議会第三者委員会設置
4月24日:丸尾牧県議の申し入れ
丸尾牧県議 (緑の党グリーンズジャパン) は、斎藤知事に、外部通報文書調査の第三者委員会設置・パワハラ調査のアンケート実施を申し入れ
(外部通報の場合は事業者は告発者の探索・調査・真実相当性の判断と処分をしていいので問題ない)
4月26日:丸尾県議の独自アンケート調査開始
合計3回、計408枚配布
回答人数はのべ48人
パワハラ記載は3人から7件
物品授受記載は1人から1件
5月8日:斎藤知事が懲戒につき会見
5月21日:県議会が全会派合意による第三者委員会設置を要請
丸尾県議の独自アンケートの結果が一つの要因となっている
同日:県は第三者委員会の設置を正式表明
9月18日:弁護士で構成される第三者委員会設置
(5) 外部通報後の展開 (百条委員会)
6月上旬:百条委員会設置の機運
丸尾県議の独自アンケートで、3名からハラスメントの報告が認められたことから、県議が百条委員会設置の動きを強める
しかし、片山元副知事は、元西播磨県民局長の効用パソコンにある「倫理上問題のある文書」の存在を知っていた。そのため、百条委員会になると元県民局長や県職員の負担が大きくなるため第三者委員会の調査を待つよう主張した
さらには、自身の辞職と引き換えに百条委員会設置を見送るよう依頼したが拒否された
(おそらく、この時の県議側は、片山副知事がなにか隠しているんだろうと考えており、片山副知事も守秘義務の観点から議員に詳細を離せず、決裂したのだろう)
6月13日:百条委員会開催決定
6月14日:第1回百条委員会 (委員選出・方法の討議)
6月27日:第2回百条委員会 (スケジュール決定)
この時、次回の百条委員会で、押収された元西播磨県民局長のコンピュータの内容が提出されることとなった
そこで元西播磨県民局長は県の人事課に対し、個人のプライバシーに関して十分に配慮するよう代理人の弁護士を通じて申し入れを行った (何のプライバシーのことなのかはこの時点では全くわからない)
県人事課は、懸念があれば百条委員会に伝えるよう返答
7月2日:元県民局長が百条委員会委員長にプライバシー保護の申し入れ
元県民局長は、次回百条委員会で用いる内部調査資料 (押収された公用パソコンの内容) について、個人のプライバシーに十分配慮するよう求める申し入れを、奥谷謙一百条委員会委員長に送付
7月4日:百条委員会委員長が元県民局長の申し入れ受領
7月7日:元西播磨県民局長の自死
10時、県議会事務局に百条委員会への出席に前向きなメールを県議会事務局に送付
同日夜に姫路市内で自死
7月8日:百条委員会緊急理事会
(ここで重要なのは、この時までは、百条委員会は何が元県民局長のプライベートな内容なのかわかっていない。そのうえ、片山副知事は百条委員会の設置を拒みつづけていることから「片山副知事たちが何かを隠したがっていて元県民局長は弱みを握られ脅されているかもしれない。それなら守ってあげねばならない」程度の想いだったと考えられる)
(しかし、元県民局長が自死されたことで、そこまで見てはならないプライベートなものなら、百条委員会で見ないでおこうと判断したということであり、適切な判断である。)
(つまり、世間と百条委員会のズレが生じたのは、この県民局長が恐れていたことが何なのか、社会に公開されていなかった点である)
7月10日:片山副知事が斎藤知事に辞職の相談
(ここで、片山副知事が辞職したことも世間を混乱させた)
(彼は、元県民局長を守りたい一心で第三者委員会が終わるまで百乗員会を開くな、自分が辞職してもいいとまで伝えたのに拒まれた)
(その結果、元県民局長は自死した)
(自分のせいだと、一人の人間を殺してしまったとして辞職した)
(しかし、世間はこれを見て、片山元副知事は自分の都合が悪くなったから辞職したんだろう、おかしいことをしていたんだろうと、斎藤知事と片山副知事が隠し事や悪さをしているという確信を強めた)
7月12日:片山副知事が辞職表明
同日:元県民局長の妻からのメール
(この文章を読んでも、元県民局長の遺族のことなど考える必要がないといえるだろうか)
(涙で震えながら書いている文章だからこそ、百条委員会の委員たちは、絶対に不正を暴き切るんだという気持ちを強く固めたのではないかと考えられる)
(元県民局長の死だけであれば、プライベートな内容がそこまでのものなのかとしか感じなかっただろうが、奥様の文章が感情を駆り立てたと思われる)
同日:元県民局長の答弁書類
(奥様と元県民局長さんには申し訳ないが、この回答では、違法行為であることや、ハラスメントを具体的に指摘することができない。ほとんどが伝聞であり、記憶がないという回答が多すぎる)
7月19日:第3回百条委員会 (アンケート実施の検討)
7月31-8/14:アンケート実施
8月23日:第5回百条委員会 (パワハラ疑惑)
9月9日:日本維新の会が斎藤知事の辞職と出直し選挙申し入れ
9月12日:自民・公明・ひょうご県民連合・共産党・無所属議員が知事の辞職申し入れ
9月19日:斎藤元彦知事の不信任案が全会一致で可決
この時、すべての議員が真実・事実に背いた
これは間違いない
そうでなければ全会一致にならない
県・議会・通報者・国等の課題
兵庫県の課題 (斎藤元彦知事)
ハラスメントと受け取らせるような面前での強い叱責・指導は、業務に関連すれば行ってもよいと思うのではなく、より良いかかわり方の探索や仕組みづくりが求められる。
行政機関通報・外部通報の形で公益通報がなされたり、そう認められる通報を受けた場合には、一部の幹部職員で判断して行動した後で弁護士に助言を仰ぐのではなく、事前に必ず法律家に助言を仰ぐ。今回の対応で県に違法性がなかったのはただの偶然である。
兵庫県は、長く、副知事が次期知事を務める伝統が継承されてきた。特に前井戸知事は長く県政を担ってきたのであるから、伝統と異なる斎藤知事が県政を担うなかでさみしさやくやしさなど複雑な思いが生じることを理解して職務に当たる必要がある。県職員なのだから知事の指揮下に置かれるのは当然のことだが、長く形成された人間関係は各職員にとってただの人間関係ではなく人生そのものであることは忘れないでほしい。
県議会議員
百条委員会開催の前に片山副知事から、元県民局長を守るために百条委員会を開催せずにすでに行われている第三者委員会の調査を待ってほしい、そのためなら私は辞職するとまで言われ、元県民局長も百条委員会の開催を戸惑ったにもかかわらず、強引に開催し、自死したのは責任が重い
百条委員会の中で外部通報内容の事実がなく、また公益通報窓口でも調査が終わり疑惑の内容について一切の事実認定がなかったと知りながら、マスメディアを通じて県民に報告・修正を行わなかったのは責任が重い
さらに、このような事実を知りながら、ある特定の一人に対し (斎藤元彦知事)、全員が顔を見ながら人格をこき下ろし人間失格であるかの発言をして勝ち誇っていた責任は重い
通報者
公益通報は、真実だと第三者が判断できるような文体で記載したほうがよい
公益通報は、検証可能な事実について、資料を添えて通報したほうがよい
内部通報は、事実確認できていなくても、対象法令に触れる犯罪・過料の事実があると判断すれば、匿名で通報できると知るべきである。この際に、事業者側が通報者の探索・同定・処分を下せば、裁判で100%通報者が勝訴する
行政機関通報は、通報者を保護するために個人情報を提供しなければならない。この場合でも、事業者側が何らかの方法で通報を知れば、通報者の探索・同定・調査を行うことができ、真実相当性がないと判断されれば処分されうることは覚えておいたほうが良い
外部通報は、事業者側が何らかの方法で通報をしれば、通報者の探索・同定・調査を行うことができ、真実相当性がないと判断されれば処分されうることは覚えておいたほうが良い
行政機関通報・外部通報で保護要件となる真実相当性は、他者からの伝聞は認められないことは覚えておいたほうが良い
国
本事例で混乱が生じた最大の理由は、公益通報者保護法の行政機関通報・外部通報における事業者のとるべき措置 (特に通報者の特定と調査のプロセス) について、法の条文と内閣総理大臣の定める指針に決定的な矛盾があったためである。具体的には、法の条文では行政機関通報・外部通報では事業者は通報者の探索・同定及び真実相当性にかかる調査を禁じられていないが、内閣総理大臣の定める指針ではこれらを防止すべきだと記載されていて矛盾する点である。
組織内部の不正による就業環境の悪化及びそれに伴う求職・退職・懲戒・失職により自殺に追い込まれるものは少なくないため、早急な法整備が必要である。 法整備を行わなければ、同様に通報者が同定されて処分される事案は後を絶たないと思われる。
マスメディア
片山元副知事・元西播磨県民局長は、元県民局長のプライバシーに関する問題から百条委員会の開催に抵抗していたこと、それを議員が押し切って百条委員会を開催したこと、その際も元県民局長は自身のプライバシー保護への懸念を強く抱いていたこと、翌日に自死されたことを明確に報じなければいけない
片山元副知事は、百条委員会を開催せずに事実を隠ぺいするよう依頼したのではなく、元県民局長を守るために第三者委員会の調査を待ってから必要があれば百条委員会を開くよう議員に提言していたことも報じるべきである
斎藤元彦知事のハラスメントについて、少なくとも百条委員会では明確な証拠がなく、公益通報窓口の検討でも根拠がないことが確定され多にもかかわらず、その旨を報じない態度は改めたほうが良い
斎藤元彦知事のハラスメントについて、職場内で見聞きしたものが40%以上いると立て続けに報じているが、直接見たものは2%に過ぎない。質問項目と回答結果を明確に報じたほうが良い
県職員
兵庫県は、長く副知事が次期知事を務める伝統が継承されてきた。前井戸知事も長期にわたり県政を担ってきたことから、伝統を破壊する斎藤知事に不満を抱くのはやむを得ないと思われる。
しかし、厚生労働省のハラスメントの解説にもみられる通り、部下からのハラスメントも存在している。具体的には、知識や人間関係など優越的な関係にあるものが上司の指揮命令系統に背いて職場環境を悪化させる場合には、ハラスメントに該当する可能性がある。
自身の青春・人生が若輩者に破壊されたり塗り替えられることへの複雑な想いは誰もが理解するところだが、ゆきすぎるとたまった歪が本事例のような結末に至ることを自覚し、知事及び幹部と協力して職務にあたってほしい。
元西播磨県民局長のご遺族はどうでもいいというものたち
本文(5)-7月12日に記載した通り、遺族は元西播磨県民局長の自死を受け入れられない中、百条委員会にメールを送っている。この震えるような本文に目を通し、遺族の気持ちを踏みにじってはならないことを自覚したほうが良い
百条委員会の委員長や構成員が偏った調査を行ったことはよくはないが、元県民局長の自死後にご遺族から先のメールを受け取ったとしたら「無念は絶対に我々がはらしてみせる」と思っても不思議ではないことを理解すべきである
もし県議会議員とメディアを責めるなら、元西播磨県民局長の自死・ご遺族からのメールを受け取り彼らが怒りと混乱に駆り立てられた気持ちが落ち着いた後、調査で外部通報の内容が事実ではないと分かった時にそれを公表したり県民とやり取りしなかった点を責めるべきである。実際に、これは元西播磨県民局長のご遺族に配慮しても行うことはできたと考えられる。
元西播磨県民局長が問題だというものたち
元西播磨県民局長の外部通報とその後の事業者 (県) による調査で明らかになった内容は、県により懲戒処分がなされている。この調査の結果明らかになった元西播磨県民局長の処分と外部通報の内容は一切関係がないため、外部通報内容の検証に元西播磨県民局長のプライベートな内容はたとえ内規に触れる問題があったとしても不要であることを踏まえて発言すべきである
百条委員会及び議員が重要な事実を隠ぺいしたように見えるのは、内部通報窓口による対応及び百条委員会で外部通報の事実が認められていないにもかかわらずそれをメディアを通じて県民に公表しなかったためであって、元西播磨県民局長のプライベートな内容を隠ぺいしたためではないこを踏まえて発言すべきである。繰り返すが、百条委員会による元西播磨県民局長のプライベートな内容への対応は適切であった。むしろ、元県民局長側と元副知事は百条委員会の設置に反対したが、真相解明のために議員たちが委員会を設置した正義感に基づく行動だったことを理解すべきである。
したがって、議会とマスメディアを責めるならば「元西播磨県民局長の不都合な事実を隠蔽しやがって!」ではなく、「県職員への対応は適切であったのだから県知事たちの情報も包み隠さず公開してほしい、不明点があるなら解明されるのを待ってから不信任決議をしてほしい」と責めるべきである
今後の争点
公益通報者保護法第11条1項2項の解釈
公益通報者保護法第11条1項及び2項では、内部通報において公益通報が通報者保護の要件を満たす場合、事業者が通報者の不利益な取り扱い (通報者の探索・同定・調査・懲戒等の処分) を禁止するよう定められており、内部通報に限定されている
しかし同時に、事業者が講ずべき通報者保護の措置について、内閣総理大臣の定める指針では、内部通報によらず、行政機関通報・外部通報であっても、交易通報が通報者保護の要件を満たす場合に、事業者が通報者の不利益な取り扱い (通報者の探索・同定・調査・懲戒等の処分) を防止する措置を講じるよう記載されている
いずれが正しいかという百条委員会からの問い合わせに対し、消費者庁は次のように回答した
公益通報者保護法の内閣総理大臣の定める指針の解釈
上述の通り、行政機関通報・外部通報の公益通報者保護に関する事業者が講ずべき措置について、公益通報者保護法の条文と内閣総理大臣の定める指針には矛盾が認められる
その際、内閣総理大臣の定める指針に違反した場合 (すなわち、外部通報において通報者保護の要件を満たす通報者に対し、事業者が通報者の探索・同定・調査・懲戒等の処分を行った場合)、法令違反と考えられるか
それとも、内閣総理大臣の定める指針は指針にすぎず、公益通報者保護法の条文が優先されるか
この点について、百条委員会の問い合わせに対し、消費者庁は以下のように回答している
上記矛盾点の決着は裁判しかなくなる
上記の矛盾点は、消費者庁が断定せず、考えを述べるに留まっている
この点について、一般的な感覚では、行政機関通報・外部通報が通報者保護の要件を満たす場合に、事業者が通報者の不利益な取り扱いをすれば交易通報が永久になされないのは明らかであるため、通報者を保護しなければならないのは当然である
しかし、公益通報者保護法と内閣総理大臣の定める指針に大きな乖離が認められることが本事例の混乱を引き起こしている
もし、百条委員会が消費者庁の考え (つまり一般感覚) に従って結論を下す場合は、兵庫県は公益通報者保護法に違反していることになる
しかし、百条委員会には、調査権以外なにも定められていないことから (例えば是正措置の勧告権などは地方自治法に定められていない)、法令の解釈をめぐって議員連盟または元県民局長のご遺族や有志などが原告となり、裁判で争われることになる
裁判を行わない場合は、百条委員会は調査を行い、終了となる
終わりに
ここまででわかるのは、
兵庫県議会議員の全員が知っている事実に背く行動を行ったことである
調査の過程で、
斎藤知事が報連相を強く求める傾向があると明らかにされた。
それが厳しい指摘になることは改善する必要がある
しかし、その他の外部通報内容については、内部調査・百条委員会においても一切確定できるものはない。
また、公益通報者保護制度についても
確かに最初は多くの専門家も議論が乏しく皆が混乱していた。
しかし、時を経て、外部通報では、事業者は通報者の探索・同定・調査・真実相当性がない場合の内規に基づく処分を許されていることが明らかにされた。
すなわち、外部通報がなされたときに事業主は通報者を探索・同定・調査してよく、真実相当性に欠けるなら内規に基づいて処分してもよいことは最後には議員も知っていたはずである。
さらにはメディアの多くも理解し始めたのに。
組織の内部にいる人たちは誰も事実を口にしなかった。
そして、
なんと、内部調査・公益通報窓口調査・百条委員会でのここまでの調査のすべてにおいて
外部通報された事実が全く認定されないことで
斎藤元彦知事が再選した
なぜ県議会議員は、
これだけ多角的に調査がなされ、
何も確定できる問題がない斎藤元彦知事に対して全会一致で不信任決議案を可決できたのか。
そして、何一つ確定できる事実がない人間の目の前で、あんなに吐き捨てるように、こき下ろすように人格を踏みにじることができたのか
ここにこそ、兵庫県の問題が表れている。
違うと感じたら根拠がなくても面前で意気揚々と強く人格をこき下ろす。
それどころか、人を免職できる権限をもった議会の議員全員が、百条委員会で真実を知りながら、根拠のない人間を面前でこき下ろした。
そして、徐々に公益通報対応にも不備がなかったと明らかになっても、自らの言動を修正しなかった。
百条委員会の設置と委員会の実施までは各自が得られる情報の中で適切かつ正義感に基づき対応したが、委員会による事実の明確化及び元県民局長の自死による情動的な高ぶりがさめたあとで、議員とメディアが事実を県民に報じずに一人の人間をあるしゅ意図的に解任に追いやった事例であった。
一度公に声を上げたものたちが、自身の感じる違和感を無視した事例となった。
ただし、