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べしゃり
学生時代、数多くの作品を
現代文の授業で学んできた。
今思えば現代文の授業は
とても充実した時間だった。
数学とは違い、答えや正解が一つではなく
人の数だけ多様に生まれていくもの。
その中で最も印象に残っている作品が、
高校3年生の時に読んだ
横光利一の『蠅』である。
今回あらすじは省くとして、
私がこの作品を読み、思ったことは
「事故の原因は、馭者が饅頭を食べてお腹いっぱいになり居眠りをしてしまったことではなく、田舎紳士の饒舌さにあったのではないか」ということであった。
田舎紳士は「べしゃりのスペシャリスト」だったのだ。
年齢や性別の異なる人々を「五年以来の知己」にするほど、
話すという行為だけで周りの人々を夢中にさせる力量をもっていた。
本来であれば、それはとてつもない才能でしかなく、
私が最も憧れる人物像であるが、
この『蠅』という作品、そしてこの状況においては、
それが裏目に出てしまったという訳だ。
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