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(10)ブルートレイン瀬戸 宇野行き

(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 『出雲1号』、『あさかぜ1号』と立て続けに東京駅を出ていき、次は35分後の『瀬戸』。19時ジャスト発だ。
 

東京駅瀬戸2


 
 『瀬戸』は瀬戸内海から名付けられたように、東京から四国へと向かう唯一のブルートレイン。しかし当時は瀬戸大橋がなく、宇高連絡船の乗り場がある岡山県の宇野が終点だった。宇野といっても、四国出身者か鉄道ファン以外には知られていない。終点の地がマイナーなことで、なんとなくミステリアスな、でもそれでいて豪華さの薄いブルートレインに感じたものだ。
 

東京駅瀬戸1


 
 豪華さの薄いことでは、他にもいろいろあった。他のブルートレインがA寝台を1輌連結させているのに対し、『瀬戸』はB寝台のみ。また、食堂車の付いていないブルートレインだった。そして九州まで行く列車とちがって距離が短いので、早朝に終点に到着してしまう。たしか6時台だった記憶がある。
 
 子ども心に、全体的に華やかさのないブルートレインに映った。寝台急行の『銀河』と、そうたいして変わらない印象だった。
 
(11)へつづく
 
 
 
※連載終了時には電子書籍にしてしまうので、記事は削除します。コメントをいただいた場合も一緒に削除されますので、ご了承ください。

書き物が好きな人間なので、リアクションはどれも捻ったお礼文ですが、本心は素直にうれしいです。具体的に頂き物がある「サポート」だけは真面目に書こうと思いましたが、すみません、やはり捻ってあります。でも本心は、心から感謝しています。