舞神光泰『眠れる盛りの蕎麦~茗荷谷シエスタ~』
眠らない街ー新宿から東京メトロ丸ノ内線で30分、よく眠れる街ー茗荷谷。更にそこから徒歩で8分。久坂部から聞き出した住所には背の低いビジネスホテルが建っていた。
「俺の名刺見せたら入れるから」
不敵な笑みを浮かべて指2本で名刺をこっちに渡した久坂部は、俺の同期で今度から本社での勤務が決まっていた。
「最近調子良いみたいだけど何かあった?」
普段は寡黙でテキパキ働く男だが酒を飲ませると必要以上に饒舌になり、まるで三流の舞台俳優のように大仰な語り口と身振り手振りで話てくれ