
会計士でもあるベンチャー人事が解説!士業をはじめとしたバックオフィスの要を採用するコツ
こんにちは!「すごい人事(※)の見習い」として修行中のすやきです!
監査法人から転職後、ベンチャー企業の人事担当となって4ヶ月。
右も左も分からないひとり人事から始まった私ですが、有資格者ビジネスをおこなっているベンチャー企業の人事担当として30名ほどの有資格者とお会いする中で、採用の難しさや奥深さというものを味わってきました。
採用活動をしていると、自社にとって採用しやすい職種・採用しにくい職種が浮き彫りになってきますよね。
そこで今回は、エンジニアと並び採用難易度が高いと言われるバックオフィスの採用、とりわけ、CFOクラスのような会計有資格者をどう採用するか。
実際に私が採用に至るまでに行った施策も踏まえ、説明していこうと思います!
※1すごい人事…「採用トレンド」を理解し「アジャイルな(変化に対応できる)組織づくり」ができるVUCA時代の引っ張りだこ人事!
こんな方に読んで欲しい!
・労務・法務まで手が回るバックオフィスの採用を考えているスタートアップの人事さん
・大型の資金調達を実施するなど、CFOを採用する必要があるシリーズB・Cの人事さん
若い有資格者ほどリファラル採用が活発な、横のつながりが強い業界
私自身、会計士(公認会計士準会員)として最初の2年間を監査法人で過ごしてきました。
その後、監査法人から今いるベンチャー企業へジョイン。
転職サイトに登録したり、エージェントに紹介をしていただいたわけではなく、今の会社でインターンをしていた友人の会計士を経由してアクセスし、その後すぐに入社しました。
いわゆるリファラル採用ですね。
このようなリファラル採用の動き、実は僕に限ったことではなく、同世代で転職した会計士も同様のルートで転職をしていました。
というのも、私が在籍していた法人も含め、監査法人・税理士法人はリクルート活動によって部門間・法人間が連携され、人と人のネットワークが強固であるという特徴があります。
例えば4大監査法人のPwC、KPMG、EY、Deloitteのようなアカウンティングファームは、各法人のリクルーター同士の交流が盛んで、新卒採用の候補者について連携を取り合うこともあります。
そうやってヨコのつながりを通じて人脈を形成しているという実情があるのです。

ですから会計士・税理士が経理職として転職しようとすると、そのネットワークを利用し、リファラル採用という形で一週間も経たずに転職活動が終わるということがよくありました。
また、特に96年世代以降であるZ世代の有資格者はスタートアップ志向が強く、年収を下げてでも自身に成長機会を求める傾向があります。
今年25歳となった僕の周りも例外ではなく、年収を下げてベンチャー企業に飛び込んだり、自ら事業を興す者も多くいました。
僕自身もそうでしたが、転職サイトに登録するより先に、友人間のつながりを駆使して自分に最適なスタートアップを探す。
特に若手の会計有資格者ほどそのような傾向があるのではないでしょうか。
CFO候補となるような有資格者は、どのようにして転職先を探すか
監査法人や税理士法人、会計コンサル業界で長く勤めCFOクラスの実力を兼ね備えるような有資格者も、実際にリファラル経由で転職活動をしているのでしょうか。
これは私が有資格者採用を経験して体感したことですが、転職先としてスタートアップを考えている場合、リファラル採用よりも転職エージェントや転職サイトを活用していると言えます。
先ほど「若手の有資格者ほどリファラルを活用する」と申し上げましたが、CFOクラスにもなると、業界のヨコのつながりを脱し、客観的な選択肢を提示してくれるエージェントの意見を大事にする傾向があるようです。
実際の有資格者採用にあたって、彼らが転職市場のどこに生息しているかを調べていました。
正確な数値ではありませんが、当時概算で算出していたリストがこちら👇
・FaceBookコミュニティ 1500人以上
・Linkedin 530人以上
・YOUTRUST 30人
・アマテラス 44人
・SYNCA 184人
・MS-Japan 210人
これらの媒体を毎日チェックしていて気付いたのですが、一週間前までアクティブだったユーザーが、いつの間にか退会しているということが頻繁にありました。
CxOクラスの人材でもあるので、入会してすぐにいくつものオファーが届き、いつの間にか転職活動を終えている。
母集団こそ少ないのが有資格者の転職市場ですが、求職者は流動的に入れ替わっているのが実情でした。
スタートアップがバックオフィスの要を採用するために必要なことはひとつ
CFOクラスの士業のみならず、総務・法務・労務まで網羅的にカバーできるバックオフィスのプロを採用したいのであれば、彼らのスキルが存分に発揮できる環境を用意し、それを企業の魅力として発信しなければなりません。
会計・税務に精通したCFOクラスやバックオフィスのプロは、いわば専門職。
エンジニア職にも当てはまりますが、極めて専門性が高い職種の方が働きたいと思う場所は、スタートアップであろうと大企業であろうと、「自分がこれまで培ってきたスキルを存分に活かせるか」。これに尽きると思います。
実際に私が知っているCFOクラスの会計士の方も、「ファイナンスの領域を自分に丸投げしてくれる会社を選びたい」とおっしゃっていました。
ですので、「バックオフィスが全くいない!」「経理担当が全くいない!」ような成長期のスタートアップの方が、
裁量をもって働けるという自社の強みを活かせるという意味では優秀な専門職の方を採用しやすいのも事実なのです。
【実例】実際に有資格者を採用するまでにやっていたこと
実際に会計の有資格者を採用するにあたって、いろいろな取り組みを実施していました。
ターゲットとなる職種を絞り、その職種の採用のために多大なリソースを注ぎこんだのは初めての経験。
かなり遠回りをした実感がありますが、効果的だったなと思う施策が二つありました。
・候補者がどの媒体を使って転職活動をしているのかを分析する
・仮説に基づいてアクションを実施し、1日単位でPDCAを回す
具体的に説明していきます。
候補者が、どの転職サイトにどれくらい登録しているかを知る
上記にも軽く説明させていただきましたが、候補者がどの転職サイトにどれくらいのボリューム、どれくらいの転職意欲をもって生息しているのかを徹底的に調べました。
これはちょっとしたコツですが、転職サイトで候補者を探すとき、「有資格者」の職種で条件を絞るのではなく、「税理士」「会計士」「CFO」「経理」などのキーワード検索をすることで、転職サイトに登録している候補者を余すことなく表示させていました。
ほかにもログインが三ヶ月以内の候補者に絞ったり、年齢を絞ったりすることで、返信率の高い層を狙ってアプローチを続けました。
そのように検索していくと、各転職サイト等で、それぞれ特性の異なる母集団となることがわかりました。
例えばLinkedInというキャリアSNSでは、「とりあえず登録しておく」認識が浸透しているせいか、登録者自体はたくさんいるものの、実際には転職活動をしていなかったり、通知をオフにしていてほとんどログインしていないというような。
一方でアマテラスというダイレクトリクルーティングができる転職サイトでは、ボリュームこそ少ないものの、「ベンチャーへ転職したい若手」が多く、返信率が極めて高かったり。
スカウトができるサービスは、利用者や職種が多いほどそれなりのコストがかかるもの。
やみくもに複数のスカウト媒体を使って候補者を探すのではなく、欲しい職種・候補者の方がどこに生息しているかを調査しておく必要があると言えます。
候補者の性質を分類し、仮説を立て、1日単位でPDCAを回す
スカウトを行う転職サイトが複数決まったとして、欲しい人材が採用できれば良いのですが、現実はなかなかうまくいかないものです。(実際に僕自身、相当な苦労をしました...)
具体的なスカウトのコツは別の記事で触れさせていただきますが、実際に僕がやっていた「アプローチする候補者層を明確に分類・定義する」方法は、効率的なスカウトをすすめるうえで一役買っていました。
顕在層(転職意欲高め):
転職を考慮しており、過去に自社ページの閲覧などをしているユーザー
準顕在層(転職活動始めたて):
転職サイトに登録しており、3ヶ月以内にログインしているアクティブなユーザー
潜在層(webで回遊):
転職は考えていないが、LinkedinやYOUTRUSTに1年以内に登録している。Twitterやnoteで3ヶ月以上継続して発信している。
準潜在層(ほぼリファラル):
転職は考えていないが、転職活動をしている人を知っていたり紹介してくれる可能性がある。
上記の4パターンに分類し、
各層の返信率等を仮定し、どれくらいの母集団を蓄積する必要があるか。
各層に対して、どれくらいの期間に、1日あたり何人アプローチするか。

大まかな計画を決めたら、あとはスカウトを打ちながら、1日単位で改善点と次のアクションを実行していく。
ここで意識していたことは、スカウト文章を1日単位で微修正し、返信率の高い文章へブラッシュアップしていったこと。
テンプレ感満載なスカウト文章はいわずもがな、自分ごとと捉えられないようなありふれた文章では、なかなか返信がきません。
候補者の出身地やSNSの投稿内容に触れ、共通点があればふんだんに取り込むことで、候補者が「自分のことをちゃんと知ってくれている」と思うような文章を書くことを心がけました。
返信率が高まってきたのも、ちょうどこの意識をもった時からでしたね。
さいごに 〜良い候補者と巡り会うため、スカウトよりも大事にしたいこと〜
いかがでしょうか。今回は、現役の会計士でありながら実際に有資格者を採用した立場から、バックオフィスの要を採用するコツについて事例を用いて説明させていただきました。
今回触れた「スカウト」という手法は、あくまでも採用を成功させるためのツールにすぎません。
テクニカルな手法は探せばいくらでもありますが、本当に大事なことは、
自社の情報を採用担当者や実際に働いている人の言葉で自ら発信し、しっかりと候補者へ伝えること。
入社していただいてから、候補者からみて「こんなはずじゃなかった」だとか、現場からすると「あいつは使えない」みたいな状況が起こることは誰も幸せにならないと思います。
Crepeでは、採用時点で企業がしっかり候補者に情報を伝え、自社のことを理解した上で、内発的動機で入社していただく候補者が増えること。
その循環によって事業成長が実現する本質的な採用体験づくりを大切にしています。
そのツールとして、採用担当者さまへ向けて、魅力的な会社資料である採用ストーリーブックの制作を行っています。
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今回の記事が、悩める人事担当者の方の一助になれば幸いです!
では、本日も張り切っていきましょう〜!
ライター:すやき
「すごい人事の見習い」として2022年3月から武者修行開始。新卒でPwCあらた有限責任監査法人に入所し、会計士として2年間の監査実務を経験。2021年11月、飲食×IT系ベンチャー企業リディッシュ へジョイン。現在はひとりめ人事として、人事・採用まわり全般を担当。少し辛めの会計士受験体験記をnoteで執筆するとともに、ひとりめ人事の日常をTwitterにて発信中。
note(https://note.com/suyaki0642)
「すごい人事」トレンド情報局 運営元:株式会社Crepe
「すごい人事」では、ESG観点からみた人的資本における企業価値向上支援を行っています。具体的には、成長企業向けプロ人事支援サービス「すごい人事」、内発的動機での入社を促す「採用ストーリーブック」制作、エンゲージメント向上 HRtech「ミライチズ」を提供。「この会社を受けてよかった」採用体験づくり、「家族に自慢したくなる」従業員体験づくり支援をおこなっております。
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