スタートアップ・ベンチャー企業における人事の必要性と雇うタイミング
こんにちは!普段は名古屋でフリーランス人事をしている「すごい人事(※)」情報局のゆいです。
私はよく「人事はいつから必要なのか」ということを相談されます。規模が大きくなれば必要なんだろうなと何となく考えているけど、今はあまり必要性を感じないと伺うことが多々あります。
もし、人事の仕事が「採用」だけだったら、経営者や現場で採用ができている内は必要ないと思われるかもしれません。ただ、私の経験上、現場で採用に手が回らなくなってから人事を採用していては遅いなと思います。
今回は、人事を雇う必要性とタイミングについて、私の体験を交えながらお伝えしていきます!
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スタートアップ・ベンチャー企業における人事の役割
人事の仕事は採用だけではありません。まずは人事が何をしているのかをお伝えします。
労務(手続き・給与計算)
人事専任がいない会社の場合、経理・総務と兼務されることが多い業務です。従業員の入退社時の社会保険や年金などの手続きや、労働法規に基づく労務管理など、従業員の健康や生活環境を整えています。
労働法規は毎年のように何かが改正され、会社が成長すればするほど対応すべきことが増えていきます。
採用
応募者との書類審査や面接、選考プロセスの管理などの採用活動を採用計画に基づいて実行していきます。ただ採用枠を充足させればいいのではなく、自社にマッチした人材を見つけて入社まで持っていく必要があります。
最近は採用手法が多様化し、採用トレンドも変化していますので、情報収集と自社への落とし込みも大事な業務となります。
組織開発・人材開発
企業の成長に必要な組織開発の計画策定も人事の仕事の一つです。企業戦略に合わせた人材採用だけでなく、既存社員の配置・評価、スキルアップやキャリアアップに必要なトレーニングや、新しい技術や業務方法の研修を計画します。
経営者と従業員双方の意見を取り入れながら、組織の改善・強化を行うことで、企業の競争力を高めることができます。
人に関すること何でも
私の人事経験上、上記3点に当てはまらない業務も担ってきました。
例えば、従業員間のコミュニケーションを円滑にするために社内イベントを企画・実行したり、体調(メンタル)が悪そうな従業員と面談をしたり、従業員間のトラブル仲裁をしたり、悩み相談窓口になったり。
スタートアップ・ベンチャーでは日々組織が変化していくので、人に関することでの課題が盛りだくさんです。現場で解決している会社もありますが、人事が担っている会社も少なくはないです。
組織規模と人事の役割の変化
人事の業務が多岐にわたることはご理解いただけたと思いますが、一気に全ての業務が必要となるのではなく、組織規模のステージに伴って必要な業務内容が変わっていきます。
次の表では、該当ステージが上がるほど組織規模が大きくなり、人事のカバー範囲が広くなることを表しています。
60名以下の規模では、人事のミッションは「とにかく回す」「とにかく目の前の課題を解決する」です…大変です(涙)
この時期、組織の成長スピードはかなり早い会社が多く、日々の業務に追われてしまう人事が多いですが、今後の会社の基礎となる大事な時となります。制度設計やコアメンバー採用・教育が必要となる時期なので、場当たり的な仕事の仕方をしていると後で痛い目に合ってしまいがちです。
100名を超えてくると、人事担当の人数が増えて業務分担が出来るので、ようやく戦略を立てられるようになりますがPDCAのCAまで手が回らずにPDを繰り返してしまいがちです。
経営陣だけでは組織の末端まではマネジメントが出来なくなるので、組織構造は複数の部署とマネージャーが現れます。従業員間のスキルやマインドにも差が出てくるので、人材育成が課題となり、全社的な目線を合わせて育成をするために人事の出番となります。
さらに組織が成熟すると、人事にも人事全体を統括するマネージャーが方針を考えたり、経営目線から中長期的に組織・人材開発が出来るようになったりします。
最初から中長期的に組織開発が出来れば良いのですが、スタートアップ・ベンチャーは制度が整っていなかったり組織文化も未発達なので、目の前の課題に追われて出来ないことが多いです。
また、これらを人事無しで経営陣・現場だけで何とかしようとすると、自分の業務を持ちつつ課題解決に動かなければならなくなるので、とてもではないですが戦略を練る時間はありません。
人事を雇う必要性
「手が回らない」だけが人事を雇う理由になるのではなく、次に挙げる視点からも人事を専任で置く必要性があると言えます。
法令遵守やリスク回避のため
従業員数が増えると遵守しなければならない法令が増え、会社を守るためのリスク回避がより重要になるため、専任の人事担当者が必要となると思います。
例えば、従業員数が10名以上になると就業規則の提出が義務化されていたり、ハラスメント相談窓口の設置が義務化されていたりします。採用や退職に関する手続きの遵守、福利厚生や労働条件の設定、社内規則の作成や運用など専門的な知識が必要となる業務があります。
抜け漏れが許されない分野になりますので、専任で担当する人事を置くことをおすすめします。
人材採用や育成のため
スタートアップ・ベンチャー企業は、組織の成長に伴い新しい人材を採用する必要があります。前述しましたが、売り手市場の現在、採用手法の工夫や情報発信、自社にマッチした人材を採用するためのクオリティの高い面接など採用業務だけでもかなり工数が必要です。
さらに採用した人材がスキルアップするための育成や研修の計画や実施も行う必要があります。部署が増えた際に部署毎で担っていると、全社的なまとまりを取りにくくなるので、専任の人事が全体感を把握しておいた方がいいと思います。
従業員のモチベーション向上のため
従業員がモチベーションを維持するためには、適切な評価や報酬、福利厚生、キャリアアップの機会などが必要です。しかし、こういった事項は「重要だけど至急ではない」業務に入れられがちなので、放置したままにしておくと、気付いた時には離職率が上がってしまっていることがあります。
会社全体に影響する業務なので、腰を据えて計画・実行するためにも専任の人事が必要となります。
組織文化の形成のため
スタートアップ・ベンチャー企業は、まだ組織文化が確立されていない場合があります。少人数のときは経営者が直接従業員と話すことで文化や価値観を共有することができましたが、だいたい30名を超えてくると経営者の目が届かなくなります。折に触れて経営者から情報発信をしていても、それだけでは組織文化が根付くところまでは至りません。
人事は、組織文化の形成に関する戦略の立案や、社員のコミュニケーションやチームワークの向上のためのイベントやプログラムの企画・運営などを行うことができるので、小さな施策の積み重ねから組織文化を形成することに貢献できます。
経営者の負担軽減のため
スタートアップ・ベンチャー企業の経営者は、業務の多忙さから人事管理に十分な時間を割くことができない場合があります。忙しい中でも丁寧に人に関わる課題の解決に動いてくれる経営者もいますが、そのせいで本来事業を前に進めるために使うはずの時間を使ってしまっては本末転倒です。
私の印象では、今までの経験から他人に任せることが苦手な経営者が多いように感じますが、上手く任せることが出来た経営者の会社は役割分担が出来て良い組織運営が出来ているように思います。
また、経営者と従業員の関係上、経営者が直接出ない方が円滑に解決する課題もあります。経営者が経営に専念するためにも、人事に業務を任せて負担軽減することは大切だと思います。
人事を雇うタイミング
それでは、どのタイミングでどれくらい人事を採用したら良いのかについてCrepeの見解をお伝えします。
先ほどの表を用いると、次の通りとなります。
あくまでも”最低”人数です。私の体感では、30名までに1名、80名までに2名、120名までに3名の専任人事がいると安心します。200名規模の会社で人事が3名という経験をしたことがありますが、戦略を練る暇もなくとにかく業務をぶん回していましたが残業が多すぎて疲れが取れない…ということもありました。その状態では従業員がイキイキ働ける組織作りは到底出来ません。
また、いざ人事を採用しようとしたところで、経験者採用は難易度が高かったり年収が合わなかったりし、未経験者を採用すると誰かがフォローしなければ担当者が潰れてしまうことも想像できます。
非生産部門なので採用が慎重になりタイミングが難しいという声も聞きます。ご紹介した人事を雇うタイミングを参考にして採用活動をしていただけたらうれしいです。
人事業務委託という手段
「今すぐ人事課題を何とかしたが人事を採用できない!」
「人事が必要と分かったけど従業員として採用する余裕がない!」
そのような悩みを持つ経営者・人事の方におすすめしているのは、人事業務委託に業務を任せるということです。
人事の業務委託に任せるポイントやメリット・デメリットについては下記記事を参考にしてください。
Crepeでは、成長企業向けプロ人事シェアリングサービスや、人事業務の内製化を支援する「すごい人事」があります。 とくにスタートアップ・ベンチャー企業に導入いただいているサービスが下記2点です。
具体的に「すごい人事パートナー」のポイントとしては、
まだフルタイムで人事を置くべきか悩んでいたり、そろそろ戦略やリソース配分の見直しが必要だなぁと思い始めたら、まずはお気軽にご相談ください!
まとめ
私は、人事は必要だけど今すぐではないと考えている会社に多く出会いましたが、そういう会社ほど今すぐ人事が必要になっていることが多かったです。
組織は崩れ始めてから対応していては間に合いません。また、従業員間に良いシナジーが生まれる組織であれば、事業も売り上げもいい方向にいくと思います。
自社の人事課題に対して人事の手が足りているのか、ぜひ見直してみてください!
ここまで読んでいただきありがとうございました!