フリーランス人事キャリアアップ方法~採用から人材開発へ~
こんにちは!「フリーランス人事研究所」広報のゆいです。
フリーランス人事で採用分野へのキャリアアップを考えている方向けにこちらの記事を書たところ、「読んだよ!」というお声もいただきました。ありがとうございます!
今回は、クライアントへの提案方法に焦点を当て、具体的な事例を交えながら解説します。
大まかな提案の流れ
課題の整理とアプローチ方法の説明
採用業務から携わると「人が足りない」が課題のスタートになると思いますが、人材不足に対処する際、採用だけが唯一の解決策ではありません。そもそも労働人口は減少傾向にあるので、「経験者採用がしたい!」はもちろん「新卒を採用して…」自体も難しくなると思います。
採用は重要ではありますが、同時に"育成"や "コミュニケーション"といった「既存社員に対する施策」も同様に重要です。これらは緊急性はないものの、組織が持続していくために欠かせない要素となります。現場にいると目の前の人手不足にいっぱいいっぱいになってしまいがちですが、第三者視点に立てるフリーランス人事だからこそ、中長期的に組織を見て事業が継続できるような対策を提案していきたいですよね。
特に、ファシリテーションスキルは、フリーランス人事が付加価値をつけて提供できるものです。コミュニケーションの円滑化や育成プログラムの構築など、採用に留まらず組織全体の発展に貢献できる可能性があります。「人手不足」というクライアントの課題を分解して、根本的に何が課題になっているのかを整理し、採用以外のアプローチ方法を検討しましょう。
スケジュールと効果測定
人材開発の施策は効果測定が難しいです。「研修を実施したから」「1on1をやったから」課題が改善したと直結して言えず、間接的に効果があるものだからです。とはいえ、単に研修を実施するだけで終えるのではなく、実際に組織や個々のメンバーに生じた変化や成果を追跡することが、フリーランス人事の評価ともなります。
単発で研修を受託した場合はアンケートを取ることが多いですが、研修後のアンケートだけではなく、研修前と比較できるように事前のヒアリングや研修前アンケートを実施するとよいでしょう。クライアントの予算次第ですが、人材開発は中長期施策なので、3ヶ月~1年でメンバーの伴走を提案できると、フリーランス人事側でも適宜調整ができるようになります。
研修に参加したり関与したりしたメンバーの評価が一番の効果測定となります。実際の業務での成果や研修がもたらした変革を、直接関わるメンバーの視点から把握することで、研修の効果をより具体的に測定できます。
予算の確保
予算の確保に関しては、いくつかのポイントを考慮することが重要です。
まず、年間の人材開発予算を確認し、柔軟性を持って提案を行います。研修に関する予算は通常年度ごとに設定されますが、変動する状況に適応するためには柔軟性が必要です。提案を行う際には、予算の範囲内で最も効果的かつ戦略的な研修プランを提案することが重要です。
次に、クライアントが社内稟議を通せそうな金額を確認し、その中で実行可能な提案を検討します。クライアントが支払い可能な金額を考慮することは、提案が受け入れられるかどうかを判断する上で不可欠です。
例えば、マネージャー不足を解消するためにマネージャー候補育成プロジェクトを立ち上げ、マネージャー業務を任せられるレベルに育成していくことがベストであっても、予算が取れなさそうであれば、まずはマネージャーに必要な情報やスキルを得るための単発研修(担当者決済がしやすい金額)を実施するであれば、予算を取りやすいと思います。具体的な財務状況やプロジェクトの重要度に応じて、適切な価格設定を行い、クライアントとの合意を形成します。
最後に、年間予算組みの時期を見極めて、タイミングを考慮して提案します。予算の編成や見直しの時期は組織によって異なります。これを把握し、最適なタイミングで提案を行うことで、クライアントが予算を割り当てやすくなります。クライアントが予算検討をしているときに提案ができると、長期スケジュールの提案が通るかもしれませんが、実績が出来るまでは、単発で研修を受けて信頼関係を作っていくことをおすすめします。
具体例① 新入社員育成
ここからは具体的な事例を想定して解説していきます。
フリーランス人事として新卒採用に携わってきて採用活動は順調。新卒は業務を覚えるだけでなく社会人の基礎も教えていく必要がありますが、現場社員がOJTで対応するには採用人数が多くなってきた…という状況はあるあるかと思います。ここで提案したいのは「新入社員研修」と「メンター研修」です。
予算があれば、新入社員育成プロジェクト全体の設計から講師まで丸っと提案したいです。1年後に新卒にどうなっていて欲しいかのヒアリングと新卒の現状とのギャップから、誰から・何を・どれくらいの期間で伝えていくかを検討します。
会社の事業説明等は社内人員からアサインとなりますが、チャットツールの使い方や報連相というビジネススキルはフリーランス人事が講師となって教えることが出来ます。さらに、OJT対応をするメンターも、会社が何を期待しているか、どうしたらうまく新卒に伝えたいことが伝わるか等のコミュニケーションスキルを講義することが提案出来ます。
フルコースでの受注が難しそうであれば、まずは「報連相研修」など、単発での提案をします。単発で少し効果が認められると次に繋がりやすくなると思います。
具体例② マネージャー育成
急成長中のベンチャー企業で中途採用をお手伝いするフリーランス人事は多いと思います。社員数50名前後になると「50人の壁」に当たり、経営者による直接のマネジメントに限界が出てくる会社が多いです。準備をする間もなく50名を迎えてしまうと、権限委譲をしたくても委譲先がないということがあります。フリーランス人事は、組織人数による壁あるあるを把握し、適切なタイミングでマネージャー育成プロジェクトの提案をしたいところです。
マネージャーを育成するには新入社員を育成するより時間がかかります。マネージャーを育成するには、実務を経験してもらうことが一番だと思いますが、そこに至るために何が足りないのかをヒアリングします(この部分はマネージャー採用をお手伝いしていたら収拾できる情報です)。そこから、例えば、知識であれば研修で補い、マインドであれば1on1など定期的に誰かと業務を振り返る習慣を企画してみる等、具体的な施策を予算に合わせて提案していきます。
新入社員研修よりもマネジメント研修の方が難易度が高いので、まずは新入社員研修から経験することをおすすめします。
具体例③ マネージャー育成外部研修編
社内外の人脈作りはできていて、業務スキルも部下を育成できるレベルにはあるけど、さらに上レイヤーに行くには、視座を高くしていかなければならないという場合かと思います。視座を高めるために知っておいた方がいい知識はありますが、知識を得るだけなら書籍やオンライン講座で十分かと思います。
私なら、他企業の同レイヤーと一緒に講習を受けることで刺激を得ることができるのではないかと思い、外部研修機関の講座を勧めます。勧めるだけなら費用は頂かないですが、研修のフォローとして、研修前に講座を受けるマインド作り(自己分析や業務の棚卸し)や、研修後のフォロー講座や1on1面談を提案して、部長候補育成プロジェクトの設計からお手伝いを提案し、費用を頂きます。
ISO30414対応でリーダー層研修に力を入れている企業が増えてきていますので、この層の育成計画まで出来るようになると、フリーランス人事としてのスキル幅がかなり広くなると思います。
おわり
採用業務から人材開発業務へスキルアップする際に大事なことは、様々なアプローチ手段を検討し、柔軟に対応することが重要です。
クライアントの予算や課題に応じて、研修を単発で提供するのか、それとも1on1面談などの定期的な仕事を行うのか、アプローチ手段を複数持っておくことが効果的です。クライアントのニーズや事業状況に合わせて最適な提案を行うことで、より効果的なサービスを提供できます。
また、研修講師を受ける場合は、ファシリテーション経験が必須となります。自身のスキルを向上させるためには、無料イベントを実施するなどして経験値を積み上げることが重要です。これによって、より高度なファシリテーションスキルを身につけ、実践で自信を持って対応できます。
これは私の実感ですが、キャリアコンサルタントの資格は、ヒアリングや1on1制度設計などのコミュニケーション講座を提案する際に活かせています。キャリアコンサルタント講習で学んだ知識を活用して、クライアントの組織や個々のメンバーに対して的確なアドバイスやトレーニングを提供することが出来ていると思います。
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