
2025年に注目したいプラットフォームの変化
1.はじめに
2025年1月8日にアタラ株式会社 代表取締役CEO 杉原 剛さんが主催している『ATARAランチタイムLive プラットフォーマー予想 2024年レビューと2025年の見通し』に参加してきました。
杉原さんは元Google広告の広告営業戦略担当で、2009年にアタラを創業されています。現在はLinkedInやXなど複数のSNSでプラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信しています。
海外カンファレンス参加情報や国内外のプラットフォーム一次情報をまとめてニュースにしてくれるので、私のようなデジタルマーケティングに携わる現場担当としては有難い限りです。
今回の記事では杉原さんの情報発信の中でも、特に私が興味をもった内容を深堀したいと思います。
2.MetaのAI巨額投資
Meta社のAI巨額投資により画期的なプロダクトが登場しそうです。
世界一使われるAIアシスタント Meta AIの発表や独自のAI検索エンジンの開発など動向が気になるニュースが続いています。

今後、FacebookがAIチャット広告や検索広告を開始する未来が近づいており、消費者が接するチャネルの多様化・分散化が加速するように思います。
Facebookは日本国内の全世代で利用率が落ちているというレポートがあったり、Apple社のITP・ATT影響から配信最適化と計測の精度低下の話があったりと、少しネガティブな話が多い印象でした。
しかし、2025年は主力の広告事業とAI投資が起点になり、Metaに関するポジティブなニュースが増えそうです。
3.普及が進むコネクテッドTVとYouTubeの存在感
ニールセンのThe Gauge™レポートによると、昨年7月のストリーミングは、TV視聴の41.4%を占め、単一の視聴カテゴリーとして過去最高のパフォーマンスを記録したそうです。

中でもYouTubeは、前月比7%増の10.4%と、2ヶ月連続でTVの歴史を塗り替えています。
日本のコネクテッドTV(インターネット回線に接続されたテレビ端末)視聴は2015年時点では24.5%でしたが2023年には59.6%になり、着実に増えています。
アドタイの記事『普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか』に出てくる下記グラフを見ると、ゴールデンタイムのYoutube視聴割合が段階的に上がっています。

広告主の視点では、コネクテッドTVの普及により、広告チャネルの選定やクリエイティブの見せ方、消費者の視聴態度を再考する必要があると感じます。
個人的にはTver広告のようなコネクテッドTVと相性が良いメニューの発掘とテストマーケティングに今年は力を入れてもいいのかなと思いました。
4.AIチャットボット型の検索エンジンPerplexity 広告事業開始
Perplexityは、AIスタートアップ企業Perplexity AI, Inc.により2022年に公開されたAIチャットボット型の検索エンジンです。
本日、日経クロストレンドにも記事が掲載されていましたが、広告プラットフォーム「Perplexity Ads」の計画が発表され、その動向に注目が集まっています。ソフトバンクとの戦略的提携の話もあり、日本市場への浸透がさらに加速しそうです。
全容は明らかになっていませんが、A検索結果に広告が表示され、インプレッション単価(CPM)が基本になるようです。

アナリストのEric Seufert(エリック・スーファート)さんは「ChatGPT's Advertising Opportunity」という記事の中でOpenAIが広告を新たな収益源として検討していることを示唆しています。
2025年はAIチャットボットという強力なプロダクトを主軸にして、コンテキストと行動ターゲティングの最良の側面を組み合わせた広告体験を提供するプレイヤーが増える可能性が高い気がします。
5.AIを活用した動画生成 Amazon広告&TikTok広告
動画生成AIのSoraの登場などもあり、素人でも高精度の動画を短時間で生成できるようになりました。
動画広告の制作も生成AIによって、ずいぶん変わってくるだろうなと想像していたら、早速Amazon広告とTikTok広告で生成AIによる制作機能が実装されていました。
同機能を活用することで、数分で新たにコストをかけ ることなく、ユーザーに働きかける動画コンテンツを広告主が制作可能になります。
私は普段は人材業界で働いているため、Google広告・Meta広告・Yahoo!広告・Microsoft広告など他のメニュー上でもクリエイティブの限界費用を大きく下げてくれる機能が早く実装されることを祈願しています。
6.政府、なりすましSNS広告詐欺などへの対策を含めた「国民を詐欺から守るための総合対策」決定
2024年6月18日、政府はなりすましSNS広告詐欺などへの対策を含めた「国民を詐欺から守るための総合対策」を決定しました。
「SNS上のなりすまし型の偽広告」が投資詐欺被害の入口になっているのは広告の仕事に関わる身としては非常に悲しい話です。
景品表示法の改正等もあり、段階的に広告審査や表示基準は厳格になってきているように思います。
一方で、2024年から2025年にかけて生成AIが猛スピードで進化しているため、デジタル広告産業が改めて消費者にとって安心・安全な世界を提供できているかを考え直す必要があると感じました。
以上です。記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。