【オススメ本】安部浩成『自治体職員のための市民参加の進め方』学陽書房、2022
現役の自治体職員(千葉市の部長職)の方が実践に基づき執筆された市民参加の入門書。
小生もこのテーマを大学で教えているので、特に新しい発見というのはなかったが、市民参加や住民自治の本質を再確認できるテーマと内容になっている。
・市民参加はマストアイテム(p.12)。
・(市民参加は)行政の限界と市場の失敗を補う(p.16)。
・市民参加は目的ではなく手段(p.34)。
・行政主導色が濃いと紛糾につながる(p.40)。
・多数派を把握し、少数派の意見を採用する(p.62)。
・オープンな組織をつくる(p.72)。
・全体報告会を市民参加で実施する(p.74)。
・対話・接遇は関係づくりの第一歩(p.114)。
・自らをさらけ出して共感を呼ぶ関係をつくる(p.124)。
・市民と共に汗をかく(p.126)。
本書で紹介されるこれらは、いずれも市民参加が叫ばれ始めた半世紀前から確認されてきたある種「市民参加のいろは」である。しかし、これが言うは易く、行うは難い。
自治基本条例や市民参加条例、まちづくり条例などを策定した自治体であっても、首長が変われば、仏は作れど魂は何処へ?というまちも多いのが現実である。そして、
・参加を協働に昇華させる(p.148)。
これが究極のゴールであるが、これまた実現できている自治体はほぼ皆無であろう。
その意味では、本書は「自治体職員のための」という枕詞がついているものの、自治体職員は言うまでもなく、住民目線で自分の住む自治体の市民参加の仕組みがどれだけできているかどうかをチェックするために一読いただきたいと思う。そんな一冊であった。
http://www.gakuyo.co.jp/book/b599279.htmlhttp://www.gakuyo.co.jp/book/b599279.html
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