見出し画像

2023ファジアーノ岡山にフォーカス21『 エースの存在は戦術をも凌駕する~孤高(個好)~ 』J2 第11節 vs レノファ山口

 〇〇選手がいれば・・・、〇〇であれば・・・。そう感じる事が多いスポーツである。今季であれば、ミッチェル・デュークが、もし残っていたら、48坂本 一彩や22佐野 航大が、代表で離脱していれなければ、なども考えてしまうが、その一つとして7チアゴ・アウベスが、開幕からいれば、とも考えてしまうこともある方もいらっしゃるのでは?

 他クラブに目を向けると、町田が、このまま独走態勢に入ると思われていたが、ミッチェル・デュークの負傷離脱と共に勢いに少し陰りも見えてきた。東京Vの古豪復活の兆しや秋田の鉄壁の守備での快進撃、清水は、監督交代で追撃態勢に入り、磐田も徐々にエンジンをかけてきた、大分や長崎、甲府のJ1経験組も実力を遺憾なく発揮し、藤枝や群馬といった前評判があまり高くなかったチームも上位に顔を出している。

 一方で、岡山は、中位に位置する序盤戦となった。この原因は、どこにあるのか。それとも単なる実力不足によるものなのか。岡山に本当に足りない物は何か。そして、負けていない現状をどう捉えるか。上位浮上のきっかけを探る上で、対応や選択を間違えると、勝ち切れないチームが待つものは、残留争いである。

 そうならないために、どうすべきか。ここまでの歩みは、どうであったのか。7チアゴ・アウベスの得点での勢いを結果に繋げられなかった岡山であったが、エースの初スタメンで、今季初ゴールフル出場。ただ、一方で、戦い方にも大きな変化もあった。

 今回のレビューでは、そこに迫っていきたい。

 全文無料公開。スキーやフォローや、購読などをして頂ける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけると嬉しいです。
※注意点:表現のために、私が考えた造語を文章の中では一部採用しています。※

 この記事の軸となる試合後の選手(監督)の公式コメントの引用元の紹介から、本稿に入っていきたいと思います。

引用元の公式サイト名とURLの紹介

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第11節 レノファ山口戦 監督・選手コメント
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202304221800/

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2023/042205/player/

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(監督)
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2023/042205/coach/


1、エースの帰還~転換(点感)~[前半編]


 ここ数試合で、ロングパスの比率というのは、目に見えて増えたきた。開幕戦の頃と比べて、中盤でのボールロスト、特に6輪笠 祐士を中心としたパスワークが、相手のプレス網に引っ掛かることが多くなってきているので、止む得ない判断であり、現実的な選択であったと言える。

 攻撃の構築やボールの運び方の変化と共に、ダブルボランチへの変化は、攻守での6輪笠 祐士の負担減と岡山の守備的MFの中で、実績と実力共に過去最高クラスの27河井 陽介の復帰も後押しした。実際に、27河井 陽介が、攻撃に絡むシーンが多いだけではなく、6輪笠 祐士も攻撃に加わるシーンも増えてきた。

 4-4-2のダブルボランチ型への変更で、一番の利点は、22佐野 航大や14田中 雄大が、高い位置でプレーできることだ。4-4-2のダイヤモンド型であれば、プレスを剥がして、パスを繋いで運んで行く必要があったが、4-4-2ダブルボランチ型であれば、守備時には、4枚と4枚の守備ブロックの構築し、攻撃時には自然と両SHが高い位置にポジションをとることができる。

 仙台戦のゴールは、まさにそういった利点が生まれた得点と言える。一方で、22佐野 航大が持ち味を発揮し始めた一方で、14田中 雄大の攻撃時の働きというのには、やや物足りなく感じる。19木村 太哉が、後半にそのまま入るか、22佐野 航大を入れ替えて、19木村 太哉を入れる事で、攻撃の推進力は劇的に良くなることからも14田中 雄大の奮起にして欲しいところだ。

 9ハン・イグォンは、現状だと守備の貢献度の部分で不安が残る上に、8ステファン・ムークも中央で使いたい選手だ。2トップの一角で起用して機能した8ステファン・ムークの例を見ても、意外にも試してみれば嵌る可能性もあるかもしれない、だが、4-4の守備ブロックを構築する際の若干の隙を与える可能性が高いことがネックだ。

 そこで、どう攻守のバランスを取っていくのかが、今後の浮沈の鍵を握る。そういった難しい状況の中での舵取りの難しい岡山であったが、幸いにも先制に成功するも、すぐ追いつかれてしまった。

 何故、こういった試合になるのか、前半に関して、木山 隆之 監督、6輪笠 祐士、18櫻川 ソロモンから更に深く掘り下げて行く。

木山 隆之 監督(岡山)
「風もあったが、前半はプレスをかけることができて、いい形で試合に入ることができた。その中でチアゴがシュートを決めてくれて、いいスタートが切れた。
ただ、そのあとの失点が早いし、ディフレクションしたことはアンラッキーだったが、初めてボックス内に入られたときに寄せが甘かった。試合全体ではタイトにいけているシーンが多かったが、そういう隙が失点につながるところが自分たちの流れにしきれないところだと思う。」

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第11節 レノファ山口戦 監督・選手コメント
より一部引用

 このコメントの中で、アンラッキーという部分は、実はサッカーにおいて、切っても切り離せない要素だと思っている。言うなれば、アンラッキーを減らして、ラッキーをどう増やすかというのが、サッカーのある意味本質であると私は感じている。

 それは、ラッキーやアンラッキーと言われる部分は、シュートに関係するプレーが、多いからだ。運要素が絡まないシュートは、もちろん、ゴラッソや芸術的なゴールなどと称賛されることもあるが、運が絡んだゴールはとても多い。

 つまり、サッカーとはシュートを多く打つ、シュートを打たせない。ここに繋がって来る。ここからどうすれば、得点を増やして、失点を減らせるかに繋がっていく。

 5柳 育崇と23ヨルディ・バイスの立ち位置を変えた訳だが、16河野 諒祐が攻撃的であるため右サイドで飛び出して対応するシーンが実に岡山が多い。よって、この両選手を入れ替えた理由は、岡山で昨季23ヨルディ・バイス初のオウンゴールを経験し、今季も1度経験した理由は、どちらかといえば、難しい対応を迫られる可能性が、左CBの方が多いことが分かる。

 今回は、シュートコースにいたことで、オウンゴールとなってしまったが、他の部分の対応では、巧く対応できていたシーンも多い。また、5柳 育崇ではなく、23ヨルディ・バイスが、前に出て競り合う回数も増えた。

 一方で、攻撃に目に向けると、23ヨルディ・バイスの対角線のパスの内、16河野 諒祐に角度を着けにくいことと、プレスを受けた時の繋ぐパスが、左CB以上に苦しくなっていた場面があった。5柳 育崇でも不安定な部分こそあったが、右CBの方が、16河野 諒祐のプレスを剥がして前に運ぶ力が、左サイドの43鈴木 喜丈や2高木 友也と比べて、やや劣る部分もあり、43鈴木 喜丈(2高木 友也)と5柳 育崇が左右に位置して、真ん中に23ヨルディ・バイスの形より、不安定となっていた。

 この辺り、どうバランスをとっていくのか。一考の余地はある。プレスが、強力なチームに対して、総合力の高い15本山 遥のスタメン起用も視野に入れたいところである。また、対角線のロングパスの成功率を上げるために、43鈴木 喜丈の所に2高木 友也を起用することも考えたい選択肢。

 続いて6輪笠 祐士のコメントを見て行きたい。

6輪笠 祐士 選手(岡山)
「先制点は本当にずっと狙っていましたし、優位に進めたいという部分で先制点を取れたことは大きかったと思います。試合の入りに関しても割り切って。風があることをチームで共有した中、前に強力な2トップがいるという部分と、相手もわりと前からプレスに来るというスカウティングの中でロングボールも有効になるという話があったので、そこは本当に意思統一して攻められたのかなと思います。ただ、先制したあとにリードした時間をもっと長くしないといけないですし、時間の使い方というか、もっともっと圧を掛けて2点目を取り切っていかないと。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
より一部引用

 一つの方針として、プレスに来るチームに対しては、積極的にロングパスを蹴っていく。これも現実的な選択であると、筆者は考えたい。何故なら、岡山は、パスを90分間で、7割近く支配できるチームではないからだ。どちらかと言えば、そこに振り切るのではなく、色々な戦い方ができることが、岡山の強みだと筆者は、考えている。

 ドリブルが得意な選手、パスが得意な選手、決定力が高い選手、フィジカルが強い選手など、本当にチームカラーというよりは、一癖も二癖もある、それこそ一長一短がはっきりした選手が多いチームである。多少の不器用さは、試合に対する真摯な姿勢(ハードワークや諦めない気持ち)を共有することで補っている。

 何度か指摘してきたことだが、岡山は、「嫌われ役」になり切れていない事が、勝ち点3に届いていない理由の1つだ。それは、高い理想や継続性という意識が、勝負に徹する意識を結果的に下げているからである。

 勝つためにすべきサッカーと理想を求めてサッカーを完成させていく。この両方を追及するあまり、自分達のできること以上のプレーの選択をしてしまったり、そのプレーが効果的であるのに、そのプレーとは違うプレーを選択することに繋がっている。

 この試合では、6輪笠 祐士のコメントにある通り、ロングパス比率を増やす事がしっかりできていた。ただ、「割り切って」ではなく、「効果的だったので」といったように、実際にそのプレーを選択することが効果的であるという実感が伴っていなければならないと筆者は考える。

 個の活かすサッカーで、ある程度自由であるため、どう戦うかは、選手に委ねられたいる部分の割合が大きいの木山ファジであると、筆者は考えているので、選手が自分達と対戦相手との戦いおける「継続すべきプレー」と「改善すべきプレー」を、試合を進める中で、「選手自身」で、修正して進めて行かなければならない。

 今季の岡山を振り返ってみると、22シーズンと比べてもシステム変更を除いて、基本的に90分間同じテンションで戦っているようにも映る。選手交代がなくてもいい意味で変化が、もっとあっても良いチームであると筆者は感じていて、ここがやはり、90分間で相手を上回ることができない理由であると感じる。

 どんな相手にもどんな時も変わらないプレーができることは確かに強みであり武器でもあるが、その強みをどう結果に繋げるか。ここは、もっと突き詰め行く、変えて行く、必要がある点であると、ここ数試合で、私が主張していることであるが、本当にこの部分は、強く感じる。

 続いて、18櫻川 ソロモンのコメントをみていきたい。

記者(インタビュアー)
--チアゴ アウベス選手と2トップを組む上で意識したことは?
18櫻川 ソロモン 選手(岡山)
「今日は相手が前がかりに攻撃してくるチームだったので、前に残って2対2というか、同数でカウンターを狙っていました。前半は何回かそういう場面が出ましたけど、ゴールにはつながらなかった。ただ、悪くはなかったかなと思います。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
より一部引用

 6輪笠 祐士にも意思統一できたというコメントがあったが、もっと狙って、いえ、徹底しても良い。前半は何回かではやはり勝つためには足りない。実際に18櫻川 ソロモンもそこに対しては、手応えを感じているのだから。


2、エースの帰還~転換(点感)~[後半編]


 後半や次節に向けてのコメントを拾って行く。

木山 隆之 監督(岡山)
「後半は、我々の陣内から出られない時間もあったが、チャンスは作れていた。それを決めていくことが勝つためには必要。全体を通しては意図していたことが出せていたので、勝ちたい試合だったが勝てなかった。顔を上げて次に向かうしか方法はない。全力でやっていきたい。」

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第11節 レノファ山口戦 監督・選手コメント
より一部引用

 ここ数試合、文言が変わっているが、ほぼ同じ課題をクリアできず、同じコメントを木山 隆之 監督は、残しているように感じる。

 確かにメンバーや戦い方を見ても大きな変化はなく、この戦い方で、最後までやり抜くという強い覚悟と、4-4-2がやはり一番バランスがとれていて、安定感があるため、手放すに惜しいと感じる側面も強い様に感じる。

 2トップを採用する利用にしても、真ん中に張るタイプのFWが多く、外で仕事できるタイプの選手も少なく、シャドーで1トップを左右する選手も不足している部分は、どうしてもあるので、この4-4-2に辿り着くのも理解できる点だ。

 ただ、バランスがとれる分、「自分達がどう動くか」という部分が、強く問われて行くこととなる。「我慢すべき所」と「積極的に行く所」。私も表現を変えて、繰り返し主張しているが、ここを如何に徹底していくか。

 そこが少しでもできるようになれば、今季の岡山の選手をみれば、十分連勝できるチームであると筆者は感じる。いや、信じたい。

6輪笠 祐士 選手(岡山)
「失点に関しては、試合の中でそういう時間帯もあると思うんですけど、いまはそこを耐え切れないような良くない流れもあるので、まずはそこをしっかりと守り切らないといけない。あとは2点目を取る圧力のところで力を出していかないとなかなか難しいのかなと感じています。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
より一部引用

 岡山が、失点する最大の理由として、用語でいう「バイタルエリア」や「アタッキングサード」といった「ゴール前のシュートを狙える位置」に進入を許した時の奪取力の低さにあるのではないかと感じる。

 確かにロングパスに対して、跳ね返す力。1対1の体をぶつけての対応。この部分は、J2屈指のチームであるが、数的不利時の対応や寄せて行く部分、追い込む部分。ここは、やはり粗削りなチームで、奇麗に崩されている。言い方を変えると駆け引きが下手である。つまり、対応の仕方が直接的であるために、相手のやりたい形で崩されてしまっているのだ。

 この部分からも感じる岡山はの弱さは、攻守において、徹底できていない事である。ただ、引き分けの多かった試合の中で、ここがよくできた試合もある。それは、藤枝戦である。この試合では、ゴールキックから繋いで来る藤枝に対して、パスコースを消して、ロングパスを蹴らせていた。これが、徹底するという事である。しかし、この試合では、選手交代で、そこが弱くなり、藤枝に盛り返される機会(隙)を与えてしまい、一時は逆転を許した。それでも岡山の強みであるセットプレーで追いつく事に成功した。

 山口戦では、7チアゴ・アウベスを活かしていくという狙いが見えたが、そこを徹底していく部分で、まだまだ足りなかったのも事実だ。それは、やはり7チアゴ・アウベスのフル出場から見ても「気持ちの空回り」もあるのも事実だ。

 22シーズンは、まだまだできる状態でもばっさり交代することも少なくなかった。この試合では、7チアゴ・アウベスの勝ちたいという気落ちを強く感じた(倒れ込むプレーや足を止めることがなかった)ことからエースの気持ちを木山 隆之 監督が、尊重した形となったが、サポーターとしては、この部分から選手の勝利への強い気持ちを感じる事ができたが、それと、勝敗はまた別であるのも事実である。

 この選択が、本当に勝ち点3に近かったのか。この判断的に、個を重んじる木山 隆之監督であるので、「正解」であったと思うが、選手1人が、責任を強く感じている部分がプレー1つ1つを見ても感じる。7チアゴ・アウベスのフル出場した意味は、深く考えてたいポイントであると感じた。

 言葉が悪いが、試合の中で、いかに「嫌な奴」になりきって、そして、「サッカーを楽しめる」か。この部分が、問われて行く。

 具体的に述べて行くと、この試合であれば、シンプルにロングパスを蹴る事を、極端にいうと秋田のように徹底して、シュートを打ちまくる事。多くの方のプレビューを拝読した限りでは、山口のCBの対人守備には、不安があったので、勝つ事だけを考えると、この試合でもまだまだ足りなかったぐらいで、22佐野 航大をもった高い位置でプレーさせて、3トップ気味にしても良かったぐらいだ。

 そして、サッカーを楽しむという点も世代別代表のアジアカップの22佐野 航大のPK失敗した試合でも笑顔でいられるプレー。43鈴木 喜丈のCBでありながら、ドリブルやターンでプレスをいなすプレー。こういったプレーをもっと攻撃で出していく。特に「シュート」や「縦パス」。41田部井 涼が、メンバー外になったのは、やはりバックパスの多さであり、44仙波 大志があれだけ走れて、巧いのにスタメンでなかなか出れないのは、強引にシュートを打つ、強引なドリブルというのが、少ないからだ。

 それが、彼の特徴かもしれないが、16河野 諒祐のようにボールを奪われても、プレースキックやクロス、縦への仕掛けで、取り返すという強いメンタルを持てるか。15本山 遥との右SBでのレギュラー争いにここまでリードしているのは、やはり、こうしたミスを引きずらない、恐れない事にある。

 クールな顔だが、実は、どこに蹴ってアシストしようかとか色々と考えてるかもしれない。22シーズンのセットプレー時の7チアゴ・アウベスとのサインプレーのゴールなどは、キッカーとしては、最高に気持ち良いアシストであっただろう。

 サッカーを楽しむという気持ちがあるから、ループシュートやシュートを打つべき場面で、シュートを打てる。シュート自体は、直線的で、入る可能性こそ低いが、元FWという事もあるかもしれないが、サッカーを楽しめてるからこそ、こういったプレーができる。

 18櫻川 ソロモンも、もう少し思い切ってシュートを打っても良いのではないか。コメントを聞く限りは、大事にいきたいという気持ちが働いているかもしれない。しかし、ループシュートを打つような心の余裕があれば、もう一皮も二皮も剥ける可能性ある選手であると強く感じる。

 ここで、FW2選手のコメント見て行きたい。

記者(インタビュアー)
--チアゴ アウベス選手と2トップを組む上で意識したことは?
18櫻川 ソロモン 選手(岡山)
「今日は相手が前がかりに攻撃してくるチームだったので、前に残って2対2というか、同数でカウンターを狙っていました。前半は何回かそういう場面が出ましたけど、ゴールにはつながらなかった。ただ、悪くはなかったかなと思います。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
より一部引用

 18櫻川 ソロモンは、本当に人として魅力的な選手だと感じる。ここまで11試合。正直歴代の岡山を見ても、自信過剰になるぐらい相手を圧倒している。しかし、そこに対する謙虚さを強く感じる。

 先ほどの話だと、「サッカーを楽しむプレー」。ここができるゆとりをどう作って行くか。まだまだ若い選手なので、難しいかもしれないが、やはり、我(メンタル)の強い選手は、活躍する傾向にある。

 しかし、ここは100点のプレーの先の120点のプレーをするために、極端にいうと-100点になるかもしれないプレーである側面もあるので、正直にいうと正解はない。

 例えば、右のフリーの選手がいれば、18櫻川 ソロモンは、そこに出す可能性の高い選手だ。ただ、ストライカー気質の選手は、そこを逆手にとり、強引にシュートに持ち込む選手がいる。ここで、パスを出せるのが18櫻川 ソロモンの強みであり、シュートを打つべき場面でしっかり打てている。ここの判断は、非常に正確で、本当に落ち着いてプレーできていると感じる。

 一方で、枠内に飛ばす意識が強すぎる、もしくは、シュートコースを狙える余裕があるため、ついついコントロールシュートを打ってしまう。例えば、考える・狙う余裕がなければ、「とりあえず強く打っとけ」みたいになるが、余裕があることで、慎重にプレーしてしまう。

 プレー的には、100点だが、磐田の10番山田 大記のPKみたいに右で蹴るモーションで左で蹴って、逆を突くプレーみたいな遊び心、それこそJFL時代の昇格のかかった試合で、真ん中にトリッキーなPKで、真ん中に蹴って止められた元岡山の喜山 康平(当時はFWでエース)。

 シュートは、正直、パスと違い正解のプレーをしても止められてしまえば、全て0点のプレーであるので、ここに「遊び心」を織り交ぜる心の余裕が18櫻川 ソロモンが生まれれば、もっともっと得点で、勝利に貢献できる選手になれると、筆者は感じる。

 18櫻川 ソロモンは、「悪くなかった」と語っているが、サポーター目線からだといつも「最高級」のプレーができている。だからこそ、もっと自信を持って、「サッカーを楽しん」で欲しいと心から願う。

 続いて点を決めた7チアゴ・アウベスのコメント。

7チアゴ ・アウベス 選手(岡山)
「初めて先発で出られて嬉しいし、ゴールでチームの助けになれたことも嬉しい。
(ゴールは)田中選手にボールをくれと言ったら、いいパスをくれて、あとは決めるだけだった。今シーズン初ゴールは嬉しいし、ここからもっとたくさんゴールを決めたい。今日は息子たちと一緒に入場して、家族の前でゴールを決めたことも嬉しかった。
FWの仕事はゴールを決めることで、それは僕だけでなくFW全員。そして、チームに安心・安定を与えること。点を取れば守備の選手たちも安心してプレーできるはず。チームはなかなか勝てない状態が続いているのは確かだが、負けてない試合をしていると解釈もできる。勝点1を積み重ねていることが、最後に意味を持ってくるはず。変わらず勝利に向けて頑張っていくだけ。」

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第11節 レノファ山口戦 監督・選手コメント
より一部引用

 怪我で長く出場できていなかった事もあるが、やはり「出場できる喜び」と「ゴールを決めてチームに貢献できる喜び」、「子供(観客)の前でプレーできる喜び」が、前半の部分から強く感じる。

 「サッカーを楽しんでいる」からこそ、「ここからもっとたくさんゴールを決めたい」という言葉が出てくる。「決めないといけない」とか「決めるべきであった」とかではなく、「決めたい」微妙な違いだが、この気持ちが、やはり7チアゴ・アウベスの強みである。

 7チアゴ・アウベスと言えば、Jリーグで苦しんできた選手であるが、岡山では別人の様に活躍している。22シーズンも序盤から中盤にかけて苦しんだ時期もあるが、岡山がチームとして状態を上げることに比例して、得点王争いに絡む活躍をみせた。

 ここから見えてくる監督は、木山 隆之 監督の目指すサッカーというのは、アグレッシブなサッカー、サッカーを楽しむという事を掲げたサッカーであると感じる。ここまで、繰り返し、「嫌な奴になれるか」「サッカーを楽しめるか」などのワードを繰り返し述べてきたが、木山 隆之 監督の目指すサッカーは、7チアゴ・アウベスのプレーそのものであると筆者は感じる。

 やはり、それは、攻撃的なサッカーを掲げていて、約束事で、選手を縛る事を好まない節を感じる監督であるからだ。恐らく、パスを出すべき場面で、強引にドリブルでシュートを打ったり、出し易いパスコースではなく、ヒールパスで難しいパスを出すようなプレーを絶賛するような監督の筈だ。

 例え、失敗しても責めるのではなく、逆に笑顔で笑って、「いいぞもっとやれ」と思うぐらいではないだろうか。

 もちろん、そういった「遊び心」というか「サッカーを楽しむ」という姿勢は、インタビューとかでは、ストレートにいう事はないが、起用法を見ていると、筆者から見れば、もうそういった気持ちが「駄々洩れ」状態である。

 99ルカオの初出場の時の試合後の99ルカオにパフォーマンスに聞かれた時の木山 隆之 監督の笑顔を見ても、勝利できなかったが、あのパフォーマンスを見て、笑顔で、素直に自分の責任だと言えて、笑える監督。これは、サッカーを楽しむ監督でなければ、絶対ありえない。

 勝ちたい気持ちもある反面、楽しいサッカーをしたい。その気持ちは、やはり筆者からすると隠しきれない。それこそ選手に「パッション(情熱)」を全面にという言葉使ったことがあったが、勝利するためには気持ちも大事が、監督からすれば、プレーや組織面での「〇〇して欲しい」とか責任や改善点が一番に上げられることだが、時折、そうしたコメントではなく、純粋にサッカーを好きなんだなと感じるコメントが、表向きのコメントの裏に隠れている。

 歴代の監督であれば、21山田 大樹のスローインから6輪笠 祐士のボールロストから失点に繋がった試合。通常の監督であれば、ここで21山田 大樹から1堀田 大暉に直後の試合で、スタメンを変えていた可能性が高い。

 しかし、木山 隆之 監督は、21山田 大樹にチャンスを与えた。ここから見えてくるメッセージは、二つあると筆者は予測していて、ミスをした後に、若い21山田 大樹にミスを恐れるなという意味と成長を促してく意味。そして、もう一つは、ミスをした次の試合で、21山田 大樹が、どういったプレーをするのか純粋に見てみたいという気持ちがあったのではないかと感じる。

 15本山 遥が、いわき戦で、厳しいパフォーマンスであった試合の後は、流石に15本山 遥のメンタル面で、実力を出し切るには休養が必要な状況であったと判断しての決断であったと思うが、木山 隆之 監督としては、やはり、サッカーを楽しみたい。

 そういった気持ちが強い監督であると感じる。木山マジックというファジ造語を去年筆者は最初に採用した(と勝手に思い込んでいる)采配のことだが、これは、将棋界を代表する棋士の一人である羽生マジックから来ている。

 羽生 善治という棋士は、木山 隆之 監督のように攻撃が好きな監督で、常識に捉われない一手を指せる棋士で、勝敗の中で、この手を指してみたら面白そう、この戦型(サッカーでいうフォーメーション)で戦えば、面白そう。

 将棋を心から楽しまれている棋士で、強い棋士と戦えることが、心からの楽しむことができる棋士だ。AIが進化したことで、序盤から中盤の戦い方の研究が進む中で、一時期は、AIを駆使して、最善手を指し続ける、若手の前に負けが増えて、失速した時期もあったが、AIとの向き合い方を掴んできたことで、また最盛期の勢いを取り戻しつつある。

 無冠となってからは、久々の藤井 聡太6冠との王将戦(タイトル戦7番勝負)では、2勝4敗で敗れはしたものの50歳とは思えない、非常に若々しい指し回しで、藤井 聡太6冠と互角以上の戦いを繰り広げた。

 木山 隆之 監督と羽生 善治 棋士の両名の間には、多くの共通点があるが、中でも特筆すべき点は、両名とも〇〇のプロであることを心より楽しむ気持ちが強いという事である。

 ただ、戦術に疎い訳では無く、確かな戦術で、結果を残せる。違う点があるとすれば、将棋期は、駒に意志を籠める競技(頭脳のスポーツ)であるが、サッカーは、意志ある選手に意志を伝えて行く競技(頭脳と体力のスポーツ)である。

 厳密にいうと、将棋も二日に渡るタイトル戦では、想像以上に体力が求められる過酷な競技でもあり、頭脳と体力の文化的スポーツでもあるが…

 実績面を考えると、両者を比べることは、申し訳ない気持ちがあるが、しかし、プロとして楽しむ姿勢。それを強く感じるからこそ、木山 隆之 監督が率いる岡山のサッカーが、魅力的であると感じて、可能性を感じるサッカーであるとも感じた。

 だからこそ、やはり、今の結果や順位と同時に内容に不満こそあるものの、日本文化の中での献身性が強い文化(空気を読む文化)の中で、自己主張を求めるサッカーの難しさ。新加入選手の多い今季は、そこの難しさはあるはずだ。

 新加入の主な主軸、18櫻川 ソロモン、48坂本 一彩、2高木 友也、41田部井 涼、43鈴木 喜丈、21山田 大樹が、より前にという気持ちを出す事ができれば、より上を目指せるはずだ。

 特に41田部井 涼や18櫻川 ソロモンには、ミスを恐れない積極性が欲しい。22シーズンからいる選手でも44仙波 大志も奇麗過ぎるので、将棋でいう悪手でも、その先に構想があるのであれば、選択できる豪胆さ。15本山 遥にしても守備を捨てるぐらいの攻撃参加(いわき戦では、守備やスペースを意識し過ぎて、高いポジションをとれなかった)といった大胆さ(攻撃的スキル不足を補う積極的なポジショニング)があっても良かった。

 今季の岡山が、開幕戦のような観ていて、楽しいサッカーをするために、何が必要か。戦術的には、賛否両論はあることではあるが、7チアゴ・アウベスの帰還、エースの帰還をのもたらす意味、恩恵は、大きい。

 これは、大きな転換期になり、点感(7チアゴの得点から感じる点、感化される点)は、多いはずであり、そう信じたい。


3、岡山と山口のサッカー観~温度(音頭)~


 最後に、山口の選手と監督から、この試合での両チームの意識の違いというのを見て行き、振り返りたい。

記者(インタビュアー)
--どういう狙いを持って試合に入りましたか?
20河野 孝汰 選手(岡山)
「自分のポジションのところに相手の屈強なCBがいる中で、同じ土俵に立たず、自分の良さはどういうところかを考えていました。打点の高いボールを引き出しても、それは相手の強みですので、シャドーだったりウイングだったりが動いて空いたスペースを見て、自分が良いタイミングで落ち、足元で引き出して起点になることは試合前から思っていましたし、それはSBにも伝えていました。何回か起点になってスピードアップするシーンがあったのは良かったのかなと思います。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
より一部引用

 岡山の選手からあまり聞かれない「相手の土俵に立たない」というワード。思い起こせば、他の試合でも対戦チームから聞かれることが多かったワードである。

 裏を返せば、相手に勝る部分が岡山にあるという点である。そして、同時に意味することは、その武器を活かしきれていないという事である。

 対戦クラブの多くは、相手を意識して、相手にとって「嫌な選手」である工夫をしているが、岡山の選手からこうした言葉をあまり聞かれない。

 木山 隆之 監督としては、自由な発想のプレーを大事にしたいという気持ちも強く、あまり選手に〇〇しなさいという監督として、徹底させることを避けていて、積極的なプレーをして欲しいという事で、控えめにミーティングなどで、方針を示すというよりは、助言に近い形で、選手に伝えている可能性が高い。

 それこそ、前の項で紹介した。6輪笠 祐士のコメント

6輪笠 祐士 選手(岡山)
「前に強力な2トップがいるという部分と、相手もわりと前からプレスに来るというスカウティングの中でロングボールも有効になるという話があったので、そこは本当に意思統一して攻められたのかなと思います。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(選手)
より一部引用

 という部分、有効になるに留めていて、ロングパスを蹴っていくという強制力のある指示を意図的に避けていた可能性が高い。

 今季の岡山は、木山 隆之 監督の自由なサッカーを体現するために、約束事を少なくする方針が裏目に出ていて、助言が指示のように遵守する意識が強くなり、状況に応じたプレーや対戦相手に応じたプレーができていないのではないかと感じる。

 岡山スタイルの確立やもっと繋いで崩す強い理想的サッカーへの待望論が強い中で、木山 隆之 監督としては、選手の並びや、選手起用、選手交代で、選手の持ち味を出す術を感じて、選手の持ち味やサッカーを楽しむという気持ちの先にある攻撃的なサッカーをしたい。

 そのためには、厳密な規律や約束事は、木山スタイルに合致しておらず、こうした選手意識と監督の目指す理想や方向性の微妙な認識のずれが、勝ち点3に届いていないのではないだろうか。

 ともすれば、今季のファジアーノ岡山の戦い方や勝ち切れない弱さが、どこにあるのか筆者なりの結論が、11節を終えた段階で、少し見えてきた。

 7チアゴ・アウベスの復帰は、戦術や結果を越えて、岡山にもたらす効果は、かなり大きいのではないか。そう感じずにはいられない。

 この流れの中で、山口の名塚 善寛 監督のコメントをみてみよう。

記者(インタビュアー)
--ボールを持てるようになった要因はどこにあると考えているか?
名塚 善寛 監督(山口)
「目指すサッカーはしっかり後ろから前にボールを運ぶサッカーです。ビルドアップが安定しないとサッカーができないので、人を替えて挑んだ試合でした。ただ、誰が出てもこのサッカーができるようにしたいと思います。」

J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第11節 岡山 vs 山口(23/04/22)試合後コメント(監督)
より一部引用

 恐らく、岡山だとここまで明確に目指すサッカーに対しての課題をミーティングで、戦術的な部分(細かい部分ではなく大筋の方向性)を名言していない筈である。山口がしたいサッカーとして、やはり後からの組み立てに力を入れている部分。

 ここは、最終ラインからも一本のパスで、局面を打開する力がある。この戦い方に対して、岡山が難しい守備対応が迫られたシーンも多かった。20河野 孝汰 選手のコメントにもあった「相手の土俵で戦わない」という部分と、「自分達のスタイルを体現」するという部分を山口にされてしまった。そういった試合でもあった。

 岡山のサッカーを観ていて、もっと徹底していれば、という強い気持ちの向け所の難しい不満という感情は、7チアゴ・アウベスの躍動で、どこか今後の期待に近い気持ちから、不満は、どこかに吹き飛んだ。

 監督や選手に、1人1人に、人として、サッカー選手として、個性があるように、そこをサッカー観と表現するならば、ここが試合から見えてくるかどうかは、勝敗に大きく左右する要素であることは間違いない。

 監督や選手の1人だけが、熱くなっても意味はなく、方向性を全員が共有できていても、現実的に間違っていれば(極端に言えば、前線の選手が巧くても、足が遅く、身長が低い2トップなのに浮き球の緩いボール徹底して入れようなサッカーであれば)、勝利が遠のく。

 1つの理想像としては、自分達のサッカーにマッチした選手を集める事とそのサッカーを徹底することである。分かり易く言えば、ブラウブリッツ秋田や東京Vのように個の力を重視するサッカー。山口であれば、後から組み立てるサッカーを標榜している通り、CBや前線の選手の空中戦の強さを犠牲にしても視野の広く、止める蹴るがしっかりできる選手を集める事で、山口のサッカーを体現している。

 一方で、岡山は、どうだろうか?岡山のしたいサッカーは、ここまで観ていても繋ぎたいというのは分かるが、どうみてもロングパスをどんどん蹴っていた方が、勝てそうなメンバーが揃っている。CBを見てもキック力のある5柳 育崇やキック力と精度の高い23ヨルディ・バイスが控えている。16河野 諒祐も右足のクロス精度が高く、低い位置で繋ぐよりは、高い位置で、受けてそこからクロスをあげていくことや、1対1でCKを獲得する方が、現実的である。

 しかし、こういったことを徹底せず、なぜ繋ぐことも志向していくのか。それは、やはりその選択肢を捨てたくないからだ。22佐野 航大や6輪笠 祐士、14田中 雄大、8ステファン・ムーク、44仙波 大志、27河井 陽介、41田部井 涼といった技術力のある選手や意外性のある選手、狭い局面でも打開する力がある選手もいる。

 一貫性というよりは、そこには個性豊かな選手がいる。ここから見えてくることは、総合力の高いサッカー。サッカーの本質での強さを求めていることが窺える。メンバー編成も、町田や秋田、いわきの様にフィジカル、藤枝や東京V、山口のようにテクニックといったチームカラーではなく、総合力で相手を上回りたいという強い意志というか野望を改めて感じる。

 そういった今季の開幕前の「頂」を目指すに相応しい個性的なタレントを揃えていたことは間違いない。そう考えると、相手に土俵に立たないとか、〇〇を徹底するとかというサッカーではなく、言葉はできない自分達の良さを体現して、勝利に繋げて行く。

 そう考えると、全体のバランスに優れる4-3-1-2や4-4-2といった並びのサッカーを堅守速攻とは違ったサッカーで採用している意図も見て取れる。

 木山ファジは、ここまで勝利を目指しつつもその理想のサッカーを目指していた。しかし、選手は、「頂」を意識するあまり、勝利への意識が強くなり、「責任を感じている」「かたなければならなかった」というワードを多く聞くことになった結果に繋がっている。

 しかし、「頂」到達できることは、理想ではあるが、木山 隆之 監督のコメントに入って来るコメントを見ていると、「サッカーを楽しみたい」という気持ちを捨てきれないという気持ち、いや信条のようなものを感じる。

 7チアゴ・アウベスが、岡山で花を開いたように、7チアゴ・アウベスの今季の活躍は、岡山のサッカーの覚醒に繋げる事ができる希望である筆者は感じる。

 サッカーを楽しむという本質の部分での7チアゴ・アウベスのプレーは、チームを好転させてくれる筈だ。

 両チームのサッカー観の違いがある中で、両チームのコメントやパフォーマンスの温度感の違いは、どうしてもある。清水の監督にシーズン途中から就任した秋葉 忠宏 監督の熱さは、秋葉 忠宏 監督しか表現できない熱さで、他クラブとの温度は、間違いなく生じる。

 他クラブとのサッカー観の温度さ。つまり「違い」をどうだしていくのか。

 繰り返しになるが、その鍵を握るのは、岡山で最もサッカーを楽しんでいる選手である7チアゴ・アウベスであり、彼が音頭をとることで、チームの温度感を適温に意思統一でき、プレーオフの松本戦の熱い蒸気のような空間、熱さを作り出せるのではないか。

 私達サポーターは、勝利をみたい。しかし、それと同時に魅力的なサッカー(攻めまくって、得点が入るサッカー)がみたい。多少の未熟さを覆すサッカー。それが、木山ファジのサッカーであり、少なくとも私は、そのサッカーを心より楽しみ、温泉でのぼせるぐらい熱くなりたい。

 個に優れる選手、「孤高」の選手が揃うことで、初めてできる、魅せるサッカー。個好の(個の力・個の仕掛けを信じて個の挑戦をすることを好む)サッカーを体現できることを信じて、今日の試合も楽しみであり、私も勝敗を越えてサッカーを楽しみたい。

 最後にいわき戦での木山 隆之 監督のコメントを再び紹介して終えたい。

木山 隆之 監督(岡山)
「最終的にオープンになって、2トップでパワーをかけてセカンドボールを拾ったところから最後に追いついたが、試合の展開、運び方を含めて、もう少し自分たちで自信をもってやることが必要だと感じた。
今日ミーティングで選手たちにも、一度変なプレッシャーからは自分を解放して、自分たちのパッションの赴くままに、情熱的にプレーしたい、シンプルに勝ちたい、ボールをもっとつなげたい…そういうシンプルな想いをピッチに出すことが大事で、そのあとの結果は自分たちで受け入れていけばいいと話をした。選手たちも背負っているものがあるし、プレッシャーの中でボールを受けられなかったり出せなかったりがある。それもサッカーの怖さだし、それも自分たちの今の実力のうち。そういうことを打破して、自分たちの想いと能力を出せるように、また頑張っていきたい。結果的には悔しかったが、いわきはタフで強いチームだった。」

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第7節 いわきFC戦 監督・選手コメント
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202304021800/
より一部引用

文章・画像=杉野 雅昭
text・photo=Masaaki Sugino


4、アディショナルタイム(写真紹介)


復帰が待たれる38永井 龍 選手のファジステージでのトークショー。
プルコギ丼、辛すぎない辛さが食材の旨さ引き出されていて美味!
プライドオブ中四国、山口から遠征して下さった山口サポーターの大観衆。
2023 J2 第11節 岡山イレブン!
2023 J2 第11節 山口イレブン!
ゴール後にメインのサポーターやスタッフや控えメンバーの下に来て、喜び分かち合う7チアゴ・アウベス 選手。
キャプテンとして、先頭で進む事を意識、強い責任感と悔しさを隠し切れない5柳 育崇 選手。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が参加している募集

自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。