2024ファジアーノ岡山にフォーカス33『 倒木の傍に芽吹いたもの~明日へ~ 』天皇杯 2回戦(H)vs 愛媛FC
1、客観的には必然~J2屈指の得点力~
筆者は、実はスタメンを観た時に、岡山のメンバーを観た時に、これは守備が大丈夫だろうか?と率直に感じた。しかしながら、流石に1-7で大敗するとはまでは、予想はこそはしていなかったですが、この試合に、千葉戦で0-5で感じたような悔しさは抱かなかった。逆に、この試合のピッチコンディションのように風が気持ち良いぐらいに個人的に受け止めることができた。
リーグ戦ではなく、天皇杯であったということもありますが、メンバーも怪我明けの選手が多いだけではなく、適正ポジションの選手も不在のポジションもあった。まさに、公式戦を戦えるメンバーとはとても言えるメンバーではなく、リーグ戦のスタメン組の練習相手をするために、なんとか組んだといった感じに近く、このイレブンからは「何がなんでも勝つ」というようなメッセージは、感じられなかったと言われてもしまっても仕方ない部分もあったと言えます。
それもそのはずで、DFラインに目を向けると、左CBに本職がSBの高卒ルーキーの55番 藤井 葉大 選手。真ん中のCBに、本職だが、対人守備というよりは、周りと連動して守るタイプの18番 田上 大地 選手、右CBに攻撃的なSBの16番 河野 諒祐 選手。本職のCBは、18番 田上 大地 選手のみであるにも関わらず、実は新潟ではSBを任されることが多かった。そう考えると、生粋のCBが不在の状態であったと言えます。
守備的なチームに対しては、これで守れたかもしれないですが、愛媛FCは、カップ戦に限ると、J2屈指の得点力があるチームである。初戦で敗退したため、あまり注目されなかったですが、長崎が、ルヴァンカップの試合の中で、1試合で最も失点したチームは、愛媛FCである。それこそ、J1の磐田、浦和、新潟といった早々たるチームと対戦した長崎ですが、ある意味最も苦しめられたのは愛媛戦であったかもしれない。それこそ、延長までもつれた上で、愛媛に退場者がでなければ、PK戦にということも考えられたぐらいの激戦であったのです。
長崎もこの試合に関しては、長崎の誇る外国籍選手だけではなく、後半途中からはリーグ戦での主軸選手も出た上でも長崎に打ち勝つのではないかとも感じられる猛攻をしていた。
前提として、愛媛もその時から大きくメンバーを変えてるとはいえ、リーグ戦で、ベストメンバーでもなかなか3得点できるチームではないですし、そうなるとカップ戦になると鬼のように得点ができる何かあるチームである。
そのチームに対して、岡山のメンバーは前提として「かなり挑戦的なメンバー」であったという事で、その両チームが戦ったらそうなるよね?という部分も少なからずあった。
実は、それだけではなく、岡山のこの試合のチームとして致命的な弱点もあった。そこを次章では語っていきたい。
2、堀田大暉選手というGK~孤立無援の覚悟~
まずは、1番 堀田 大暉 選手というGKが、どういったプレースタイルであるかを把握しておくことで、チームスタイルとしての大敗の原因が見えてくるでしょう。前提として、1番 堀田 大暉 選手は、GKとして決して高くない183㎝という身長で、身体能力も高い選手ではなく、シュートに対しての守備範囲が広いタイプのGKでもなく、フィジカル的に強く弾いたり、跳躍力のあるタイプのGKではないです。
彼の武器は、手が届く範囲へのシュートへの抜群の反応やFP(フィールドプレーヤー:GK以外のピッチにいる選手)のようにビルドアップに対応できる足下の技術が武器の選手で、アジリティを活かしたスペースに対しての守備範囲の広いタイプのGKと言えるでしょう。
その彼が、どういった時に持ち味を発揮できるかと言えば、DFラインからしっかり繋いで、ハイラインの状態を作り出して、スペースをケアしつつ、セーブ機会を減らすことで、自身のシュートへの守備範囲の狭さをチームでカバーした上で、シュート機会では、シュートコースを限定することで、シュートへの反応で防ぐ必要があるでしょう。
この試合を観てみると、ルヴァンカップの宮崎戦とは違い、パスを繋ぐこともできず、苦し紛れのロングパスを出さざる得ない場面やボールロストしてカウンターを受けるシーンも多かった。そして、何より問題なのが、この試合での岡山のシュートブロックが、そもそも0に近い(すぐに思い出せない)ぐらいDFの守備が効いていなかったのは、かなり致命的でした。
3失点目と7失点目は、防いで欲しかった気持ちもあるものの、ほとんどのシュートシーンは、愛媛の選手が事実上、シュートコースに対して、GKとの1対1に近い状態が生じており、岡山の選手は、シュートコースに立っている事はあっても、シュートブロックの素振りすらできず、むしろ、GKの1番 堀田 大暉 選手の死角になっているぐらいでした。
7失点した原因は、1番 堀田 大暉 選手にあるように感じた方が多いかもしれませんが、それ以上に、前線、中盤、DFラインとほぼ守備で、個人はともかく、組織として守備で良いところがなかったFPの方に大いに問題があった試合と言えるでしょう。
11人で戦っていたはずが、1番 堀田 大暉 選手は、まるで1人で守っていたと錯覚するぐらい岡山のDFは、シュートに対して、ほぼ無力であった。
そして、繰り返し強調しておきたいことがあります。1番 堀田 大暉 選手というGKは、チームとして広義の意味の「ポゼッションサッカー」をチームでできた時に力を発揮できるタイプで、個で独立したというかバラバラでは、その良さを出すことができないGKであって、GKとして、決して彼の実力不足だっただけではなく、チームで「ポゼッションサッカー」の完成度が、致命的に低かったということが一番の問題であったと言えるでしょう。
1番 堀田 大暉 選手を軸にポゼッションサッカーを体現して、優位に進めたかったですが、ルヴァンカップの宮崎戦と比べて、あまりにチームとしての状態が悪かったですよね。
ただ、木山 隆之 監督としての判断として、今季の目標として「頂」ということが第一目標である以上、この試合に出場したメンバーのバランスが悪くても、コンディションが悪くても、このメンバーで戦うという覚悟のもとで、決断する必要があったのです。
そして、キャプテンマークを託された1番 堀田 大暉 選手が、試合後にメッセージを発信した通り、責任を一身に背負うことで、他の選手の責任までを背負い込むことで、次に進む手助けをしようとしていました。
「結果が全てだ!」「昇格なんて無理だ!」「堀田選手はGKとして厳しい!」「やる気あったのか!?」「木山監督は解任すべき!」「恥ずかしい・・・」「屈辱だ・・・」「チケット代を返せ!」「もうファジサポやめる!」「来なければ良かった・・・」という心無い声が一部でありましたが、そうした試合後の声を全て受け止めるかのようなメッセージを発信していた。
1番 堀田 大暉 選手のユニフォームを作るまで、彼の活躍に期待して、応援しているサポーターの方には、涙が出てきた(出てきそうになった)という声を目にするぐらい、ショッキングな敗戦であったと言えるでしょう。
筆者は、アンケートで「活躍した選手」をMIP(Most Impressive Player:最も印象に残った選手)に推すことが多いですが、この試合に関しては、1番 堀田 大暉 選手のことを忘れることができないぐらい印象に残っていて、「なんて酷い、なんて残酷な」と感じた方も多かったかもしれませんが、この試合では、なぜか彼を推す必要があるのではないかと感じました。
彼は、GKとして、キャプテンマークを巻くゲームキャプテンとして、チームとして、ほぼ何もできなかった。何を感じて、何を悔やみ、何を原動力に、何を心の支えに、ブーイングに何を、ファジアーノコールに何を、選手の表情や仕草に、選手の背中に、そして、愛媛FCに対して、何を感じていたのか。
色々な想いが巡りそうな試合ではありましたが、私がアンケートの作成後に、1番 堀田 大暉 選手が、「自分が試合を壊してしまった。自分に責任がある。」といった趣旨のコメントを残していたのを目にしました。
あえて指摘しない優しさもありますが、あえて指摘する優しさもあったのではないか。普段、「リスペクト」と「ポジティブ」を意識して、SNSで発信した私が、何故かアンケートの選択肢に1番 堀田 大暉 選手を選んだ理由は、自分でも今でも良く分からないですが、不思議と彼に意識が行くんですよね。
1番 堀田 大暉 選手が、「自分に責任が大きい」と語っていたことに対して、客観的に彼だけの責任ではないことを理解していても「彼が責任を背負う覚悟」に対しての誠意は、表面上だけでも「彼に出場した選手の中で一番責任があった」と結論づけることにあるのではないでしょうか。
彼は、年齢的にも実力的にも、チームの中核を担うべき選手です。その選手の出場機会は、ルヴァンカップと天皇杯の3試合のみ。彼の立ち位置というのは厳しいものですが、彼が責任を背負うことで、「花を持たせる」ことになるかもしれません。本来の意味とは違いますが、彼はカップ戦にそれだけ掛けていたはずです。
キャプテンマークは、本人の意思か監督や選手に頼まれたかは分かりませんが、彼はGKとして、キャプテンマークを巻いて、7失点という悔しさの中で、その悔しさを隠し切れない中でも、最後まで戦いきった。
その気持ちは、本物であったはずです。数字上は「僅か3試合」であったかもしれませんが、彼にとっては19試合ぐらいの重みがあったのではないでしょうか。
やっぱり、この試合のMIPは、個人的には、1番 堀田 大暉 選手を推したいです。正直迷った部分もありましたが、言葉にして、整理する中で、あえて1番 堀田 大暉 選手をノミネートして良かったと思っています。私の意図が、少しでも伝わっていたら嬉しく思います。
・アンケート
次章は、ちょっと方向性を変えて、選手についての収穫について語りましょうか。
3、失点7を3試合で勝ち点7へ~選手評~
この試合では、そもそも勝ちに行くというよりは、連戦を乗り切るという意味合いが強い試合でした。ユース選手に頼ることなく、この試合で復帰した選手も多く、どちらかと言えば、リーグ戦に向けて、試合勘を取り戻すという意味合いが、かなり強かったはずです。
もちろん、やるからには勝ちには行っていたと思いますし、リーグ戦で、「頂」を目指すという目標の足枷にならない範囲で、むしろリーグ戦に繋がるように、この試合のメンバーを選び、凌ぎながら勝利を目指すというプランであったと思います。本当に勝利する気がないのであれば、リーグ戦の主軸選手ではなく、それこそルヴァンカップの横浜FC戦のようにユース選手をもっと入れるべきであったと思いますが、ユース選手もユース選手で、プレミアもギリギリの状況ですし、苦しいなりにユースもトップチームも自分たちの可能性を信じて戦うしかないという状況でした。
チームとしての結果は、残念な結果でしたが、選手1人1人にスポットを当てると収穫もあったかなと感じています。せっかくなんで、いつもであれば、もう少し愛媛さんについて語りますが、1-7という結果であるので、必要以上に語るのも岡山サポーターである以上、逆に卑屈に感じますし、強かったのは強かったですが、それこそ自虐的に感じてしまう部分もあるでしょう。
だからこそ、客観的に受け入れることができた試合であり、主観的には感じるものがあった敗戦であったと試合に関しては結論付ける中で、選手について語る中で、前を向いていきたいと感じています。それこそ再三触れてきた1番 堀田 大暉 選手への男気あるコメントに私なりに応えることであると思っていますが、1番 堀田 大暉 選手については、もうかなり語ったので、それ以外のこの試合に出場した岡山の全選手について語りたいと思います。
①左CB:55番 藤井 葉大 選手
強メンタルの55番 藤井 葉大 選手でも流石に責任を感じたのではないでしょうか。それこそ強豪校ですから、高校年代で、こんなに大敗した経験はそんなにないのではないですかね。流石にショックを受けた部分もあるでしょうけど、それすら成長の原動力に変えてくれそうな気はします。
高卒ルーキー離れした心身の強さだけではなく、フットサル仕込みの技術は、安定感という可能性こそ感じますが、周りを使って、パスを繋いで運ぶというよりは、あくまでクロスやロングボールに将来的な強みを持つ選手になるのではないかと感じています。
この試合では、そこまで成功率は高くはないですが、何回も繋いでというよりは、縦に速くという意識が非常に高く感じます。この点、1番 堀田 大暉 選手の目指すサッカーとは、少し噛み合いも悪い部分こそありますが、真ん中に5番 柳 育崇 選手と右に15番 本山 遥 選手が、ルヴァンカップでは、その部分を担っていたことで、上手くバランス取れていましたから、自分のスタイルに即した武器を磨く中で、裏抜けを何度も狙っていた29番 斎藤 恵太 選手などへのアシストをいつか記録するかもしれませんし、そのパスやクロスが通らない事への恐れを感じない。そういった堂々たるプレーをみていると、この選手は、どんどん伸びていくのだと確信めいたものすら感じます。
残り試合でリーグ戦に絡めるか分かりませんが、今後の成長が本当に楽しみな選手ですよね。それこそ4番 阿部 海大 選手のように数年後には、岡山の不動の主軸になっていても驚かさないですね。岡山で、もっともっとみたい選手です。
②中CB:18番 田上 大地 選手
縦に付けるパスやフィードが武器だったのですが、最大のターゲットであった9番 グレイソン 選手の今季絶望で、ブラジルへの一時帰国の影響は、決して小さくないでしょう。ある程度、繋いでいく中で、99番 ルカオ 選手や29番 斎藤 恵太 選手へのスペースへのパスをどれだけ出せるか。その脇のシャドーやWBの選手へのスペースのパスを上手く使えるか。左右のCBやDH、GKと良い関係を構築できるか。
選手個人として、J2でももっとやれる選手は多くいるかもしれませんが、彼の1つ1つの言動や行動は、チームを勝利に繋げる何かがあります。確かに、チーム最多の2度の退場を経験してしまったここまでの岡山で唯一の選手でこそありますが、逆を言えば、そういったフィジカル的に負けてしまう部分もある中で、J2でも一線級のストライカーのシュートやドリブルを味方と連動した守備で奪ったり、防いでいる18番 田上 大地 選手の凄さは際立っています。
この試合では、色々な要因が重なった中で、厳しい試合になりましたが、今後にも期待したい選手ですよね。
③右CB:16番 河野 諒祐 選手
30番 山田 恭也 選手と逆であった方が、もう少し守備とかビルドアップは安定したのかなと感じた一方で、「繋ぐ」と「蹴る」の右足でのチャンスメークとして、「右WB(SB)」としての「守備力」に期待したいのかなとは思いますが、この試合に関しては、上手くいかなかったというのが、正直な部分です。
個人的には、やっぱり右WBでみたいという想いが強いです。縦に付けるパスと横や斜めから入れるクロスやセットプレーは、どれも蹴り方が違いますし、CBには、冷静に強さのような守備もできないといけないですし、ある程度クールに振る舞える右WBの方がやり易いかなと感じます。
25番 吉尾 虹樹 選手が、復帰してきた中で、メンバー入りできるかどうかの戦いが待っていますが、連戦もあるでしょうし、次の出場機会では、アシストに期待したいですね。
④DH:44番 仙波 大志 選手
点差が開く中でも、果敢にシュートを狙い続けていたことが印象的でした。スコア的にも、平常心でミートするということは、「仙波クルクル」での冷静さが光る44番 仙波 大志 選手でも難しかったようです。
出場機会への拘りは、ピッチ内外での振る舞いからも感じますし、試合に出場した時の上手さだけではない、不思議な凄さを感じます。
DHになったことで、前を向いてプレーできる機会が増えた中で、得点により絡める機会が増えました。守備は、44番 仙波 大志 選手も苦手としているようですが、その辺り、対戦相手や相方によっては、攻撃に集中できれば、勝負を決めてくれる。どこかそういった期待感を今季の44番 仙波 大志 選手には感じます。
⑤DH:6番 輪笠 祐士 選手
視野が特別広い選手ではないんですが、キックが多彩で、プレスを受け手も繋げる技術力は改めて、6番 輪笠 祐士 選手の武器であると再認識できました。ただ、チームとして綻びなく繋がなければ、その持ち味を活かしきれない部分もあるという難しさも感じました。
ただ、彼の一番の魅力は、守備的フィジカルにあると思っていて、豊富な運動量と当たり負けしない強い守備でのボール奪取。守備に走り続けられる彼の守備範囲の広さや奪取力は、やはり頼りになると感じます。
それでもこの試合のようにチームとして戦えなければ、その守備力も出し切れないという難しい試合にこそなってしまいましたが、アシストやゴールも記録するなど、勝負どころの攻撃参加は、アンカーの時には少なかったですが、ダブルボランチになったことで、そういった良さが光っているなと感じます。
ボランチの選手が戻ってきて、中盤で、岡山を勝利に牽引して欲しいですよね。
⑥左WB&左CB:2番 高木 友也 選手
コンディション的にも連携的にもまだまだかなとというのが、正直な感想です。それでも失敗を恐れることなく、高いポジションを取り、味方からのパスを待つなど、高い攻撃への意識を感じられました。
この試合では、チームとして上手くいっていない中で、なかなかそのパスが出てこなかったですし、通りそうな時に収めることができませんでした。
後は力強いスプリント力や体幹の強さは、まだまだ戻っていないのかなと感じました。2番 高木 友也 選手の武器は、そういった所にあって、SBや左CBでもやれる力強さを取り戻して欲しいと感じました。
久々にプレーする姿を観ることができたのは嬉しかったですが、コンディション的に、まだまだこれからだと感じました。
⑦右WB:30番 山田 恭也 選手
出場機会を求めての移籍でしたが、そこでもなかなか出場機会を掴めず、岡山のチーム事情もあり、レンタルバックとなりました。ユース出身選手ということもあり、根強いファンも多い選手です。
彼には確かに足りない部分もあるかもしれないですが、ファジのためにサッカーのためにという想いの純度を強く感じます。なかなか出場機会こそ掴めていませんが、練習からしっかり準備して、日々過ごしていることを感じられます。
クロスバーに嫌われた惜しいシュートのように、思い切りの良さや力強いプレーに、安定感のある上手さにより磨きが掛かった感じです。
テクニック的にもフィジカル的にも、J2では、そこまで高くないのかもしれませんが、高い集中力や想いから実力以上のプレーができる。それも実力ですから、そういった意味で、やはり、カップ戦でも観た時に、心惹かれる選手ですよね。
年々成長していっている感じがしますし、今後の彼がどういった選手になっていくのか、非常に興味があります。
⑧左シャドー:10番 田中 雄大 選手
不思議な決定力がある選手ですよね。23シーズンは、後方からのプレーが多くなったことで、得点になかなか絡めない試合も多かったですが、24シーズンは、3-4-3のFWになったことで、その本来の得点感覚を存分に発揮している印象です。
狭い所を打開するアジリティというのは、影を潜めるようになった印象ですが、その分、意外性のあるパスやターン、トラップ、シュートなど、何かやってやろうという意識の高さを感じます。あまり意識していないと語っていますが、10番を背負うことで、責任を自信から思い切りの良いプレーに繋げることができている気がします。
消えている時間も多い選手ではありますが、シャドーとして、シャドーストライカーとして、陰から突然決める感じで、19番 岩渕 弘人 選手が、ストライカーよりであれば、10番 田中 雄大 選手は、文字的にシャドー寄りの良さが光っている気がします。
劣勢の中での難しい試合でも唯一の得点を決めることが出来た通り、その決定力や運を含めた実力というのは、不思議とメンバーに入れたくなるような不思議な選手だと感じます。
しかしそれでも10番を背負う以上、リーグ戦でもスタメンからでもカップ戦のように得点を決める活躍に期待したいですよね。
⑨右シャドー&左WB:27番 木村 太哉 選手
あのシュートを決めて欲しかった。この試合では、申し訳ないですけど、それが一番に浮かびます。それでも不思議と責める気にならないと言いますか、シュート外したり、パスミスしたり、クロスが合わなかったりといった一見失敗と言えるプレーでも、彼ならまた同じようなシーンを作って決めてくれる。
そういった期待感を抱いてしまうシーンです。本当は、プレーを成功させて、得点や勝利に繋げて欲しいという気持ちもありますが、外してもチームの雰囲気を良くするというかやれると感じさせてくれる。そういった魅力がある選手ですよね。
ファジアーノ岡山というクラブは、一度も昇格したことがないクラブではあるんですが、地方クラブでも、昇格を目指すんだというような高い志を持っていて、着実に力を付けている。とは言っても周りもそれ以上のスピードで成長して取り残されてますが、それでも何度も挑戦する。
昇格を目指す限界が近づいているという事を語ってこそいますが、それでも奇跡を起こせるじゃないか。飛躍している内容かもしれませんが、27番 木村 太哉 選手のプレーからは、そういった希望や夢みたいなものを感じますよね。
とはいえリーグ戦では、そういった希望や夢といった数字に残らないものだけではなく、数字に繋げる結果にも期待したい選手です。
⑩CF:29番 斎藤 恵太 選手
99番 ルカオ 選手が、チームスタイルに寄せて、ポストプレーを意識したプレーを多くしていた時期が長かったこととは対称的に、29番 斎藤 恵太 選手は、自分にできることを愚直に続ける。チームの中で、上手くいっていなくて、機能しにくい状況でも、味方選手に要求し続ける。
それこそ、トップスピードでの裏抜けへのチャレンジやハイプレスというのは、正直かなりきついと思いますが、味方を信じて続ける。そういったプレーや姿勢を観ていると、29番 斎藤 恵太 選手にプレーを改善してほしいという気持ちが強くなるどころか、結果や内容が出ていなくても、改めて凄い可能性や実力を秘めた選手だと感じます。
なかなかカウンターは、難しい面があって、そういったシーンを作れていないですが、いつかチームとして1つとなって、そういったパスが出てきて、岡山vs秋田のCスタの試合のように、凄いゴールを決めてくれるのではないか。
自然とそうした期待をしてしまいます。29番 斎藤 恵太 選手が、味方を信じるように、私も29番 斎藤 恵太 選手を、岡山というチームの可能性を信じたいです。
⑪右WB(途中出場):25番 吉尾 虹樹 選手
やっぱり、上手いなというのが、正直な感想です。あまり出場機会は多くない選手ですが、説明不要なぐらいの期待感がある選手ですよね。
ここで、長々と語るよりは、今後の試合で観ることを楽しみにして欲しい。そういった選手に感じています。
それこそ19番 岩渕 弘人 選手、39番 早川 隼平 選手といった選手と共存した時にどんな輝きを魅せてくれるのか。本当に楽しみしかないですよね。
とにかく楽しみ。もっとみたい。これ以上ない最高の説明だと、私は思っています。
⑫左WB&左CB(途中出場):42番 高橋 諒 選手
怪我さえなければという選手ですよね。スピード・テクニックから繰り出される仕掛けと意表を突くプレー。ゾーンに入った時の42番 高橋 諒 選手を止めることは簡単ではないと思っています。
怪我の再発を恐れて、左CBでのプレーが多くなってますが、本来は、ハードワークできる選手ですし、チームとして練習からとにかくコンディションを安定させて欲しいです。
それさえクリアできれば、やってくれる選手だと思っています。43番 鈴木 喜丈 選手もまだ本調子ではないですから、チーム中で、カバーしあって、選手1人ではなく、チームとしての状態を上げていく。後半戦に、勝ち点を積み重ねるには、必要なことだと思っていますし、そのために必要な選手だと思っています。
今季の攻撃的な3-4-3の中で、攻守でも持ち味を出せる42番 高橋 諒 選手が、本来のプレーを取り戻した時に、レフティからアシストだけではなく、勝ち点3も決めてくれるんじゃないかと期待しています。
⑬右シャドー(途中出場):39番 早川 隼平 選手
まだ、岡山歴は、浅いですけど、歴史的大敗で、何か感じるものや残るもの。次に繋がるものがあったんじゃないですかね。
これで、調子を崩すとか萎縮するとか、リズムが狂ってしまうどころか、逆にチーム内で、各選手が盛り上げてようと鼓舞していく中で、成長や結果に繋げてくれそうな気がします。
シャドーとして、レフティーとして8番 ガブリエル・シャビエル 選手と違った魅力を感じる選手ですし、今後の活躍の場が、浦和か岡山か、どちらかは分かりませんが、将来的に活躍していくなかで、海外で、それこそ日本代表でといったような可能性も感じる選手です。
まだまだ若い選手ですが、55番 藤井 葉大 選手のように自立した強さを感じます。パワハラとかが、良く問題になる中で、どう教育現場で、指導していくのかというのが、昔の人だと感じますが、この二人を観ていると、令和の中だからこそ、生まれた強さを持った選手ではないでしょうか。
残り試合で、39番 早川 隼平 選手は、アクシデントがなければ、出場を続ける中で、輝きと存在感を増していくんだろうと確信を持って言えますが、それが、どこまで伸びるのか。それこそ、勝ち点と一緒にぐーーーーーーーーんと伸びて欲しいですよね!
⑭CF(途中出場):19番 岩渕 弘人 選手
0トップの19番 岩渕 弘人 選手でしたね。いやー公式戦連続ゴールが4で途切れたのは悔しいですね。この試合でもチャンスがあっただけに残念です。でも、チームとして守備が上手くいっていなくて、厳しい状態の中でも個でも組織でも形を作ってしまう19番 岩渕 弘人 選手が、ピッチにいるという意味の大きさを、毎試合感じています。
前半戦MVPを挙げるとしたら、49番 スベンド・ブローダーセン 選手か19番 岩渕 弘人 選手だと思っています。24番 藤田 息吹 選手や17番 末吉 塁 選手や4番 阿部 海大 選手の存在は、確かに大きいですが、やっぱりこの2人が、いるかいないかで、別チームになるのではないかと感じます。
ただ、この試合に関しては、スタートから2人いても正直厳しかったと思っています。愛媛の一体感というのを改めて感じた試合になりました。
また、同時にカップ戦の戦い方の難しさというか、どういった形で試合に入るのか。彼が居ても、この試合で勝つことは難しかったという基準で、考えてしまうほどの活躍を、この試合でもしていた。
後半戦は、19番 岩渕 弘人 選手を軸にしつつも怪我がなく、戦いきれるように信じて応援したいと心から感じました。
⑮中CB(途中出場):5番 柳 育崇 選手
組織で上手くいっていない試合では、高さと強さだけで、存在感のある5番 柳 育崇 選手の存在の大きさを感じました。確かに最後に非情なる7失点目を食らってしまいましたが、もう少し早くでていたらとも感じましたが、チーム状況が良くない中で、天皇杯には、あまり力を割けない。
そういった状況により、目の前の試合に出場して、チームを助けることができない。副キャプテンとして、1番 堀田 大暉 選手を支えたかった。そういった想いが強かったのは、間違いないでしょう。
どんな試合でも、選手は勝ちたいですし、負けていいと思っている試合はないです。ましてや、こんな大差で負けることとなれば、出場した時には5点差でも、責任は、強く感じたはずです。
試合後の挨拶の時にかなり厳しい表情というか怖い表情をしていたそうですが、何か、積み上げてきたものが壊されるような衝撃というかショックは少なからず、DFとしてあったはずです。
それこそ、同じ副キャプテンである13番 金山 隼樹 選手もどんなに話されても、ベンチから声を出して鼓舞していたそうで、試合後の練習でも沈むチームを鼓舞するために、声を出していたそうです。
この試合でも3失点目をした時に、円陣を組んで話し合った。それでも止められなかったですが、チームとして何かしようという想い。それは、ピッチにいた選手もスタンドから観ていた選手も、ブラジルの地にいる9番 グレイソン 選手も、決して最後まで諦めない。最後まで コロロヒトツニ して戦う。それが、ファジアーノ岡山であると思います。
4、今日の挫折は明日の栄光のために~不屈の結束~
最後に、この試合に関しても、私は、レビューで書いた通り、かなり前向きです。それは、心から勝利を目指していたファジアーノ岡山ファミリーには申し訳ないですが、天皇杯だからなのも正直大きいかもしれません。
チーム状況もチーム状況でしたし、何より久々に姿を観ることができた選手も多く、コンディション的には、まだバラツキもある選手もいましたが、リーグ戦にすぐ出場して活躍してしても不思議ではないプレーができていた選手もいました。
木山 隆之 監督としても想うところがあった試合ではあると思いますが、喜怒哀楽の感情が豊かな木山 隆之 監督だからこそ、ここまで3年間夢をみることができた監督ですし、個人的には、これを逆に力を変えてくれると信じたいと思っています。
大きな挫折を乗り越えた時には、きっと一回りも二回りも大きくなってくれるはずです。
それこそ7失点してしまいましたが、前章のタイトル通り、3試合で勝ち点7以上のペースに持っていけるようなチームになって欲しい。
だから七回りも大きくなって、この敗戦すらもチームの幸運に変えて欲しい。
7失点は、ワーストの失点じゃなくて、幸運の数字と捉えたいですよね。
今日の挫折は、明日の栄光に繋がっているはずです。
それは、今季かもしれないですし、かなり先かもしれない。
愛媛も、一度J3降格という挫折から再びJ2に戻ってきたのです。
天国から地獄に落ちたような辛さを体験して、そこから奇跡的に立て直すkとができたからこそ強いと言える側面も少なからずあるかもしれません。
岡山は、まだリーグ戦は、6位で、J2でJ1昇格を目指して戦える位置にいます。
この天皇杯の敗戦を乗り越えて、結束した時の岡山の強さを信じて応援したい。
チームが、上を目指し続けるように、サポーターもまた不屈のメンタリティでスタジアムに足を運んでいます。
それは、やっぱり、明日の栄光を信じているから。いえ、明日の勝利を信じているから。チームは、きっと前を向いて、次の試合で、勝利するために、最高の準備をして、ココロヒトツニして、アウェイ熊本戦に、挑戦してくれるでしょう。
今日の挫折は明日の栄光のために~不屈の結束~
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino
・ファジフーズ
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