2024テゲバジャーロ宮崎にフォーカス⑫(J焦点⑯24集中連載)『 勝利への執念と限界をも超える~24シーズンも最終章へ~ 』J3 第37節(H)vs Y.S.C.C.横浜
1、残留を目指す意志を迎え撃つ~激闘の予感~
「入れ替え戦」と「残留」。言うまでもなく、「残留」を目指すでしょう。だからこそ、かなり士気が高い状態で、テゲバのホームに乗り込んでくるY.S.C.C横浜(以降YS横浜と表記)。
一方で、テゲバは、残留を決めることができましたが、プレーオフの可能性も消滅していたということで、どう士気を高めるかというのは、心配されていた点ではありますが、来季に向けて、ホーム最終戦で、夢や希望を膨らませる試合にしたい。
だからこそ、両チームにとって譲れない1戦でした。
確かに、いつもと違い0-2と前半でリードを許して、辛うじて3-2と逆転できた試合でしたが、前半の2失点が、テゲバのミスか、逆転できたのが、YS横浜の焦りがあったのか、何れも違うように、筆者は感じる。
両チームの良さが出たからこそ、3-2の勝利であると思いますし、お互いに自分達の昨日までの限界を超えて戦えた試合であったと思います。
その両チームの試合を、前後半に分けて、振り返りたい。
2、鬼気迫る残留への気持ち~想像外の領域~
テゲバの気持ちが抜けていたと感じる方も多い前半となった。それもそのはずで、電光石火の短い時間での立て続けの2失点で、前半だけで0-2という苦しいスコアとなった。
テゲバが、悪かったという見方とYS横浜が良かったという見方。もちろん、両方であると思いますが、どちらかと聞かれれば、筆者は後者の方が強いと思っている。
理由としては、テゲバのプレーの意図からテゲバのサッカーの骨組みは崩れていなかったからです。球際の所でも強くプレーできていて負けていなかったですし、攻撃でもいつもの狙いを持ってプレーできていたと思います。
気が抜けている=気持ちで押されているという部分ではあると思いますので、自力での残留への背水の陣のYS横浜も来季に向けてのテゲバの戦い。
スタート地点で違うのだからどうしてもその部分で差が出てしまうことは仕方ないことですが、終盤戦のテゲバの強さは、そういった逆境こそ跳ね返す。
気持ちでもプレーでも負けないそういった強い覚悟を感じますし、心強い。可能であれば、来季も続投して欲しい。
この試合の結末は、期待こそしていたが、まさか実現するとは思っていなかった。その後半を振り返る前に、2つの失点シーン。YS横浜からすれば、自力残留への執念のYSの2つの得点をチェックしておきたい。
1分30秒から再生
2分14秒から再生
どちらの失点も展開が速いことと、強烈なシュートが得点に繋がっている。テゲバのDFラインは、遅すぎることもないですが、高さや強さの方に強みがあり、対応できる範囲を超えてしまうと、こういった感じに失点してしまうということは、最終節や来季でも起きうるかもしれない。
YS横浜の集中力とプレー強度、速さに繋がった精度を褒めたい2つの失点シーンに感じる。
3、徹底の徹底が生んだ劇的逆転勝利~強み~
今のテゲバであれば…
そう考えていた方も多かったかもしれないが、流石に諦めそうになる時間帯に3得点決めての大逆転であった。
ただ、この3得点は、できすぎた展開ではあるものの咄嗟のアイデアではなく、明確な狙いと精度とタイミングが、ぴったりあったことで、得点に繋がった3ゴールであったと思っています。改めてそのシーンを観て欲しい。
3分24秒から再生
4分39秒から再生
5分40秒から再生
共通点として、何れの得点もGKとDFラインの間という狙いがあるということ。時間帯とスコア的に、そこが埋められていたシーンもあったが、基本的にDFラインが関与し難いところ。そして、GKが飛び出して対応しないといけないところに入れていくということが徹底されている。
もちろん、3アシストの42番 永長 鷹虎 選手の左足のラストパス精度が素晴らしかったということがあったとしても、恐らくではありますが、全体の高さを活かすべく、そこはクロスやセットプレーの時に狙う練習から徹底されていると感じられる流れが違っても同じ形での3ゴールであった。
練習への言及こそありませんが、チームとしては明確に狙ったプレーであったことが分かりますね。そこに蹴れる精度、ポジションをしっかりとれる感覚、決め切る決定力、人数をかける胆力、そういったものが詰まった得点だと改めて感じますね。
落下点にタイミング良く、正しく競ることで、ファールもとられない。そして、DFが不用意に関与すれば、他の試合の得点シーンのように、押す形になってしまいテゲバの選手がバランスを崩す=GKのプレーにも影響するというシーンが生じるということに繋がっているのでしょう。
後、特筆すべき点として、人数をしっかりかけているということ。そして、高さがあるということ。逆転は、偶然にしてならず、「テゲバだからこそ」の逆転の形であると言える。
YS横浜は、終盤まで集中して守っていたとは思いますが、勝利を意識したことで、DFラインが、無意識に下がったことで、触れば得点になるという形が生じた。
こうして、意図的に掘り下げてみてみると、狙い・状況・特徴など。様々な理由がそこにはあり、偶然ではなく、必然。テゲバな逆転であったように感じる。
最後に断っておきたいことは、テゲバには、多くの得点パターンがあって、その引き出しが多いからこそ、多くのチームに勝利することができたということである。
それが、本日の今治FCに対して、20番 阿野 真拓 選手を出場停止で欠く中で、どこまでできるか非常に楽しみな1戦となる。
一方で、YS横浜にとっては、最終節を残す段階で、ショッキングな敗戦で、入れ替え戦が決まったが、この試合の前半のようなサッカーを長くできれば、十分勝機はあると感じた。
当事者にしか分からない苦悩や怖さがあるだけに、テゲバの立場からは、下手に触れるべきではないと思いますが、その結果を見守りたいと思う。
Jリーグには、各県の特色が強いからこそ、多くのドラマが生まれる。それが悲劇なのか、歓喜なのか。できれば、笑って終えたい。
そこは、共通だと思いますので、共に最後までサッカーを少しでも楽しめるように、応援したい。
文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino
4、アディショナルテゲバ~深堀り~
・MOMアンケート
42番 永長 鷹虎 選手は、3アシストでしたね。失礼しました。
大熊 裕司 監督の言葉は、シンプルですが、短いということもなく、しっかり伝えきるべきところは伝える。強く主張することは主張する。控えるべきところは控える。そういった言葉のチョイスに感じます。
なんとなくですけど、テゲバのサッカーみたいに非常に芯が通っているというか、ぶれないですよね。繰り返しになりますが、来季も指揮をとる大熊 裕司 監督をみたいです。
テゲバの方向性に自信が持てる結果を残せるようになっていると感じています。まだまだ足りない点があるかもしれませんが、チームとして成長できる可能性のあるクラブだと思いますし、そこを今日の試合、そして、来季に向けて示して欲しいと感じます。
本日の試合が、泣いても笑っても今季最後の試合です。昇格も残留も関係のない消化試合ですので、負けても勝ってもとにかく楽しみたい。
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