2024テゲバジャーロ宮崎にフォーカス⑤(J焦点⑩24限定連載)『 テゲバは一日にしてならず~太陽への意識~ 』J3 第31節(A)vs ツエーゲン金沢



1、テゲバの重みを噛みしめて~心のキログラム~


 テゲバのレビューを書く前は、実は、テゲバジャーロ宮崎のクラブ名を正しく表記することの難しさを感じていました。レビューを書いてる間もデゲバと書いたりして修正したことも何度もありました。

 しかし、不思議なことに、今回のレビューで、五回目になりますが、今ではテゲバが、凄くしっくりしますし、愛着を覚える言葉へと変わりつつあります。

 テゲバは、Jリーグ加盟しての歴史は浅いかもしれませんが、Jリーグの歴史やサッカーの歴史自体は、長いですから、テゲバというJリーグクラブに、プライスレスの特別な感情を持って、テゲバを後押し、応援されている方も多いのではないかと思います。

 サポーターやファンと言っても色々な方がいます。「みんな違ってみんな良い」という言葉がありますが、想いの重さは測れるものでもありませんし、比べるものでもありません。

 テゲバを通じて、そのスタジアムでの出会いに感謝しつつ、テゲバの応援や観戦を楽しむことができる仲間であることこそが全てではないかと感じています。

 本日の試合は、結果だけみると残念と感じるかもしれませんが、この試合前に、テゲバではなく、ファジのユースの試合の応援を終えてからキックオフに間に合わせるために、モスバーガーに直行し、素早く少し遅めの昼食を調達して、キックオフの時を迎えることができましたが、この行動の原理にある私にもあった「楽しみ」という感情が消えた訳ではありません。

モスバーガー「新とびきりバーガー 国産牛100%」

 ちなみにこちらが、私が食べたバーガーで「新とびきりバーガー 国産牛100%」です。味は、直球で表現しますと、バンズ・パティ・チーズ・トマト・レタス・ソースが「This is MOS」の旨さで、最高でした。

 試合結果に対して「残念」という言葉を使ってますが、私の中では、サッカーの奥深さやテゲバの勢いを感じた試合でもありました。(試合で)その心と(バーガーで)体重のキログラムは、今節も加重されています。では、その点について、今回のレビューでは語っていきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

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2、J3にはJ3の勝ち方がある~巡り合わせ~


2024 J3 第31節 ツエーゲン金沢 vs テゲバジャーロ宮崎
2024年10月06日(日)14:03kick off 金沢ゴーゴーカレースタジアム

 この試合の金沢のサッカーは、J2で多くのクラブが採用している戦い方の根本の部分が、一緒であったように感じました。

 それは、前からプレスとリスクを避けるための思い切りの良いロングパスの選択。5バックの守備的な形。この堅実さを徹底したクラブが、個の部分での優れる上位勢を時にはJ2でも打ち破るのです。

 そのスタンダードの戦い方を採用したからと言って、すぐに結果に結びつく訳ではなく、J2のクラブは、J3を勝ち抜いたクラブの訳ですから、そのサッカーを勝てるサッカーにできて、初めて昇格を意識できると言えるでしょう。

 この試合のそのサッカーに対して、テゲバは、どう戦ったかですが、前からプレスをかけることの徹底ではなく、状況に応じてプレスをかけていくイメージで、どちらかと言えば、間合いを探りながら、火力を上げてプレスをかける機会を虎視眈々と狙うことを徹底したイメージでしょうか。

 残念ながらそこで、リスクを冒して繋ぐ回数は、金沢にはなかったことで、テゲバのプレスは、結果的には空振りになることが多かったですが、その分、後方で跳ね返して、セカンドボールを回収するということができていたと思います。

 ただ、J2スタンダードに近いスタイルの金沢は、セカンドボールを回収ができなくても、今度はテゲバの選手に対して、プレスをかけてきます。

 「堅守速攻」を徹底するクラブも一定数いるのがJ2であって、将来的にJ2以上を見据えるテゲバとしても、テゲバスタイルで、そういったチームに対して、勝ち点の積み重ねができないと、J2定着~昇格へのステップの道筋を作るのは難しいでしょう。

 前半に関しては、J2金沢のこうしたリスクを避ける戦いに関して、ボールの奪い所とチャンスの作り所が難しい前半になってしまいました。

 このままのペースで、後半も戦っていれば、恐らく実績と実力が伴った選手の多い金沢の力を前面に出した時間帯に押し切られる展開もあったかもしれません。

 ただ、結果は、1−1であったように、そうならなかった辺りがテゲバの今の強さです。J3にはJ3の戦い方と勝ち方があって、それは金沢とテゲバにもあります。その両スタイルが、強く示した戦いの後半について、3章で語っていきたいと思います。

 勝利という「巡り合わせ」を信じて、戦いきった後半の記録へ


3、これがテゲバだ!魂が揺さぶられた瞬間~次はきっと~


 後半に入って、何か戦い方を大きく変えたというよりは、意識が大きく変わった後半の立ち上がりに感じました。攻撃を完結させる。シュートに繋がる。得点を決める。こういった気持ちが、チームベクトルを前に大きく前進させる「テゲバベクトル(輝く太陽と勾玉)」として、燃え滾る気持ちのように、チームは勢い付きます。

 早速、決定機を作ったテゲバ。58番 武 颯 選手のクロスから20番 阿野 真拓 選手のゴール前でのヘッドというシーンがありましたが、惜しくも外れました。この決定機の始まりは、11番 橋本 啓吾 選手のプレスからでした。一人目二人目と、多くの選手が攻守でプレーに参加していく繋がりの意識。

 そういった気持ちがチームに燃え滾った時、テゲバベクトル(輝く太陽と勾玉)として、点灯する。中盤でボール奪取すると、テゲバのメッシこと20番 阿野 真拓 選手が、前進を始める。いつもは、右SHなので、サイドの狭い所を推進力と切れ味鋭い所を進んで行きますが、この場面では中央からでした。

 周りに金沢の選手がいましたが、足に吸いつくように離れない1つ1つボールタッチ、氷上でのスケート靴のように、芝を滑るように転がるボール。金沢の選手が、アクションを起こせず、陣形を整えようとする中で、左のスペースへと走り込んだもう1人のレフティである44番 井上 怜 選手の下へとスルーパスが通る。

 ここで、迷いがないのが20番 井上 怜 選手。決断良く狙いすました弾道が高いクロスを入れていく。この高さとこの位置の落下点で触れるのは、11番 橋本 啓吾 選手だけ。その頭から落とされたボールの先に58番 武 颯 選手が待っていた。58番 武 颯 選手もまるでそこに来ることが分かっていたかのように迷いなく振りぬいたシュートは、ゴールへと吸い込まれた。

 セカンドボールの零れ球を20番 阿野 真拓 選手が拾ってから58番 武 颯 選手が決めるまでの流れが、まるで得点のお手本のような素晴らしい流れの一体感。テゲバらしい得点でした。

2024テゲバ造語No.5
『 テゲバベクトル(輝く太陽と勾玉) 』

 テゲバは、前を向く推進力を持ったチームで、ドリブルが得意な選手が1人だけ上がっていくというシーンはありますが、テゲバは、チームが意識と意図を1つにまとまって、チームとしてゴールに向かっていく勢いがあって、まるで空にある「輝く太陽」を目印に、その方角へと人が集まって良くように選手が集まってくる。そして、勾玉が輝いた時に、得点が生まれる。テゲバの攻撃の一体感を表現したテゲバ造語。

 得点後は、前からのプレスの回数は減って、スペースを消す守備の意識が高くなる。テゲバのここ数試合の好調は、こうした意識統一ができるところにテゲバの強さがあることは間違いないでしょう。

 それでもやはり、金沢は、現状では連敗中とはいえ、J1やJ2で実績のある選手を多数抱える実力があるチーム。我慢できずにミドルシュートを放ったり、焦ってボールロストしたり、連携ミスであったりで、時間を消費する回数は少なく、しっかり自分達の形を持っていて、そこから崩す意識が見て取れた。

 2の章では、ロングパスと表現していたが、縦だけではなく、横からの揺さぶり。つまりサイドからのクロスの意識が高く、サイド深くまで侵入してクロスを入れていくシーンが、何度かあったので、金沢の狙いは、そこにあったと言っても良いでしょう。

 実は、前半からサイドからのクロスを許すというシーンが何度かあったので、金沢の個の力のクオリティの高さだけではなく、15番 辻岡 佑真 選手の「守備面」での不在の影響もあったかもしれません。

 しかしながら、回数こそ限られた20番 井上 怜 選手と攻撃で絡みながら上がっていく14 番 五月田 星矢 選手の攻撃参加もあって、今後の可能性を感じました。こうしたメンバー変更は、出場停止やアクシデントが起きれば、いつものメンバーとは違うメンバーで戦っていくことが求められますから、収穫もあったという意味では、大きな挑戦になったと思います。

 そして、そうした収穫があった中で、勝利が見えてきた時間帯。金沢が、試合を通して狙っていた形の1つであるサイドの深い所のクロスで、金沢のゴール前に人数をかけた所を決められてしまいました。

 試合は、残り1分という状況で、どちらかが1チャンス作れるか作れないかという状況の中で、テゲバベクトル再起動。

 先ほど少し触れた左SBに抜擢された14番 五月田 星矢 選手が、金沢の選手のボールコントロールからのアクションが遅くなったところで、ボールを搔っ攫い中にパスを入れますが、58番 武 颯 選手が触れなかったのかスルーだったのかは、ちょっと分からないですが、収まらなかったところで、後の11番 橋本 啓吾 選手が慌てて、ポジションを移しながら、足を伸ばすことでなんとか繋ぎます。そのパスを受けた50番 安田 虎士朗 選手は、サイドの42番 永長 鷹虎 選手へとパスを出します。

 42番 永長 鷹虎 選手のキープの所で、引っ掛かりそうになりますが、持ちこたえると角度こそあるもののレフティがクロスを入れる景色が開いた。この間、チャンスと見たテゲバの選手はゴール前に4人も入っていき、そこに気が付いた金沢の選手が寄っていても3対4で、依然としてテゲバの数的有利。

 そして、42番 永長 鷹虎 選手のクロスは、DFとGKの間へと配給される。触れるか触れないか絶妙なクロスで、タイミングもばっちりで裏に飛び出した、58番 武 颯 選手と11番 橋本 啓吾 選手のダブルツインタワーの二人が、懸命に足を伸ばすが、二人とも僅かに触れず、ボールは流れて、試合終了。

 その場に倒れ込んだ2人。目の前まで来ていた勝ち点3が勝ち点1となって連勝を残したことも事実でこそありますが、実は、私は、この最後のシーンが、「これがテゲバだ!魂が揺さぶられた瞬間〜次はきっと〜」と感じたシーンです。

 私は、勝てている時期しか見えてないですが、話を聞く限り、組織力という観点での一体感という部分ではズレがあった中で、苦しい時期が長かったのが今季のテゲバ。

 しかしながら、新加入の選手が加わって層が厚くなった今と同じく、全員守備全員攻撃の今季のスローガンの「真摯」を開幕から徹底してきたからこそ、今があるのではないかと感じます。

 得点は、決まらなかった。失点直後で残り時間は少ない。そうした中で、気持ちを切り替えて、攻撃に全集中できて、ほぼ最善と感じるアクションで、得点こそ決まらなかったが、再リードに近づいた決定機を作った。

 下を向く必要はない。こうした時に、こうしたアクションができる。厳しい状況に変わりないですが、中位が見える勝ち点。少しでも上をテーマに自分達のサッカーを体現していく、それができれば、次はきっと!!

※補足:公式コメントは、後日、引用することでピックアップ予定。※

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino


4、アディショナルタイム


・アンケート


・試合写真募集中

 レビューに載せていいよ(載せて欲しい)という試合写真があれば、XのDMで送っていただけると嬉しいです。紹介するためのHN(ハンドネーム:匿名も可能)と合わせて、1枚、送って下さると助かります。全てを紹介できないかもしれませんが、可能な範囲で、紹介したいと思います。


・後書き

 テゲバ造語が、テゲバシリーズになっている理由ですが、後で思ったのは、一体感を感じるからこそ、チームで表現したテゲバ造語の名称になっているということに気付きました。

 今日の結果を悔しいと感じている方は多いと思いますが、次はホームですし、きっとやってくれるでしょう。そういった勢いは、まぐれとかではなく、小さな積み重ねであって、1つの結果や内容で失うものではないはずです。

 ここから最後まで難敵強敵の対戦相手のライバルクラブとの対戦がありますが、最後で、テゲバの戦いを見届けていきたい。

『 テゲバは一日にしてならず~太陽への意識~ 』

※公開後の追記での見解※

・SNSで話題になっている論点に関して

①リード後に引いたことに関して

 リードを奪う戦い方である前からプレスに行くことを止めて、追加点を狙うためのカウンターにシフトしたというのが、本当の狙いであると感じました。これで追加点を決めることができていれば、テゲバのゲームでしたが、この試合では、琉球戦の再現ならずでした。

②CBの選手を交代したことに関して

 結果論から言えば、中の高さで勝てなかったですから、居て欲しかったというのが、正直な所でしょう。ただ、金沢の前からのプレス強度は、それなりに高かったですから、心身での疲労はあったのは確かですし、イエローカードを貰っていたことも気になったのかもしれませんね。

 早い時間帯に交代カードを切るだけではなく、交代枠の5枚全てを使って、選手交代できた金沢の選手層の厚さ。主軸選手への負担が大きくなる中でも交代の先送りをした時間を伸ばした上で、5枚切ることがなかったテゲバ。

 この部分の差が問われる試合になってしまったことは、残念ですが、ここま数試合では、この試合の交代への言及はともかく、主軸選手のプレー時間を増やして、控え選手の残り時間パワー全開でやり切るという形で、成功していました。それでもやはり、こういった結果になってしまった時には、ある程度の批判を受けてしまう部分は仕方ないと感じます。

 ただ、若い選手が多い中で、「チーム単位」で、上手く戦えていますし、この日の金沢は、テゲバブロックを構築するゴール前の攻防を避けて、外に広げさせて、中の広さを作って、そのスペースで決めるという狙いであったと思いますから、いつもの守り方をさせて貰えなかったとのが響いたのかと感じています。


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしていて、ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために映像や速報などを確認しますが、極力SNSの情報を遮断し、レビューを執筆していくスタイル。流石に通知や開いた時などに、偶然に目にすることもありますが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしている直感型レビュアー。
 ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにもリスペクトの意識を持って、言葉にすることを心がけています。同時に、サポーターとの交流や魅力を語り合うことも好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合こそありますが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきました。同時に、人数も回数こそ少ないですが、岡山を問わず交流のできたサポーターの方もいて「趣味」という「生活」の一部になっていて、サッカー観戦を心より楽しんできました。これからも多くのサッカー通じての交流を大事にしつつ、皆さんと一緒にサッカーを楽しみたい。


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