2023ファジアーノ岡山にフォーカス30『 次に進むための資格~敗戦の本質~ 』J2 第20節(H)vs東京ヴェルディ
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1、木山ファジの泣き所~現実~
近年のファジアーノ岡山に、外国籍が多くなった影響か、審判のジャッジとの相性は、勝敗を左右する可能性が高くなった。長澤ファジ時代に、岩政 大樹(当時は岡山の選手でCB)が、審判とのジャッジ基準に対して、対戦チームのサポーターからブーイングが来るぐらい、抗議だけではなく、基準の説明を求めていた時期があった。
近年の岡山は、審判のジャッジに対して、激しく抗議するシーンが増えたように感じる。ルール範囲内で、不可解な判定に対しては、選手には、抗議する権利や説明を求める権利は、サッカーにおいては事実上、認められている(容認されている)が、岡山の抗議のリアクションの割合が大きい印象を抱いている。
ここで問題となるのが、岡山が、審判のジャッジに合わせて、プレーを変える事が全くないからだ。見方を変えると、90分間通して審判の判定に苦しむ事となる。この試合は、極端であったが、まさにそういった試合の一つと言える。
もちろん、審判にも良いゲームにするために、イエローカードやレッドカードを出す前に、試合が荒れる前に、選手の話を聞いたり、しっかり注意することで、ゲームを作っていくことを期待したいが、審判によっては、この試合のように容赦のない判定や警告(イエローカードやレッドカードが掲示)される審判の方がいる。
抗議するだけでは、審判の心証は悪くなる一方となる可能性がある。7チアゴ・アウベスの最後の退場のシーンは、GKの1マテウスがキャッチしたのを確認してから余裕があったにも関わらず、GK1マテウスがしっかり手掴んでいたボールを蹴る行為。あれは、プレーオフのモンテディオ山形戦で、不用意にボール蹴って、ぶつけたプレーのように、非常に愚かで危険なプレーで、レッドカードでも良かったという声があっても不思議ではない許されないスポーツマンシップに反する行為だ。
岡山が「勝利を目指す」上で、この試合は、勝つ事だけ考えれば、審判の基準を理解し、それに沿ったプレーをすべきであった事は間違いない。激しく抗議しても判定は、基本的に覆らない。ただ、審判に抗議することで、不満を柔らげる意味合いもあるので、7チアゴ・アウベスのような冷静な判断を失ったような愚行をしてしまう前に、イエローカードを貰ってでも抗議する意味はあったかもしれない(結果的に感情をコントロールできずに、極めて危険なプレーで退場してしまったが…)。
ちなみに私も審判のジャッジに関しては、一部に関しては確認してみた(レビューを書くとき基本的にゴールシーンや気になったシーンのみ確認に留める)が、解説の赤嶺 真吾 さんの説明を聞く限りは、必ずしも不当なものとは言えない部分もあったようだ。つまり、明らかな誤審と言い切れるシーンというよりは、ジャッジの細かい部分に対して、チームとサポーターの双方が、審判の基準への理解が足りない不満が積りに積もって、ブーイングが飛び交う異様な雰囲気の試合となってしまった。
今後の岡山の守備スタイルの中で、強い守備を徹底するというのはもはや伝統というかファジのスタイル(正当な守備に限り)と言える。自分達のスタイルを曲げずに厳しい守備を続けるのか、それとも審判の基準に則したプレーに対応できるのか。
この差は、小さい様で大きい。個性豊かで多国籍化が進んだ上で、勝負に徹する。冷静にプレーする。意識を共有させることが難しい中で、この課題をどうクリアしていくのか。それとも、自分達のサッカーではないと目を瞑り付けるのか。
自分達のサッカーは崩さず、守り方を変える事で、対応するのか。守備強度の強弱を変えるのか。審判に応じて、対応を変える必要があるが、強度の高い守備は、確かに譲れない点でもある。
何れにせよ、審判のジャッジの影響を受け易い現状を、どう打破していくのか。少なくとも選手が熱くなってしまうのは、このチームの強みであり、弱みでもある。ここは、認識すべき明確な弱点であることは、前から感じていたが、こういった試合だからこそ発信していく必要性を感じた。
前置きが長くなったが、両サイドの視点を意識して、本編に入っていきたい。
2、不可解な判定と飛び交う怒号~岡山サイド~
前置きでも語ったが、遠目(ここが重要)から見る限りは、少なくとも岡山サイドに立つと不可解な判定に感じたシーンばかりであったように、正直感じた。そこに対して、サポーターも選手が熱くなることは、まさに必然であった。
一方で、ダゾーン中継では、中立を意識した赤嶺 真吾さんの解説があったようだ。全てを確認した訳では無いが、解説を聞いてみると(実際の映像を見てみると)、著しく不適切な判定ではなく、細かい部分までよく見た正確なジャッジだったシーンもある。
個人的に問題であったのは、選手と対話する意識も低く、厳格な態度に終始していた点であるだろう。判定がぶれなければ、それも一つのゲームであったかもしれないが、この試合の審判に対するブーイング、観戦史上最も激しいものであり、高崎 航地にとっては未知のものであったのか、岡山のブーイングに圧を感じたのか、ジャッジはより乱れた。
試合とは、改めて、当事者の選手と監督、審判、サポーターが作るものであると感じた。
そして、一番重要なことだが、審判に対して、サポーターや選手が何を求めているのか。少なくとも岡山にとっては、(熱くなり易い選手が多いので)対話意識の高い審判の方や(攻撃でも守備でもプレー強度が高いので)細かいファールを流す傾向にあるジャッジをされる審判の方、この2タイプが、岡山が審判に求めているポイントではないだろうか。極端な事を言ってしまえば、ジャッジの正当性より、当事者である双方の選手や観戦するサポーターが納得するジャッジであれば、多少間違っていても問題ないのだ。
つまり、この試合のジャッジの本質的な問題であったのは、審判の試合を作るという意識の低さだ。そもそも警告として、イエローカードやレッドカードを出す意味として、フェアプレーを促すためである。そのジャッジにおいて、選手の気持ちを無視したジャッジや対応を繰り返せば、気性の荒い部分のある7チアゴ・アウベスの選手の過剰なアピールや危険なプレーを誘発してしまうリスクがある。
何よりこの試合は、1-1で推移しており、重要な試合での敗戦濃厚であったプレーオフの山形戦とは違い、7チアゴ・アウベスの不満は、まさしく審判のレフリングに対してのもので間違いない。
ここを鑑みると、岡山のメンタルの弱さが招いた敗戦であったと同時に、こういったレフリングをされる審判の方に対しての戦い方の対応力やそれに則した戦い方ができなかった事が岡山の敗戦であった。
ただ、こういった異様な雰囲気というか熱気の凄さ、怒りという感情だったとしてもシティライトスタジアムで、こういった雰囲気を作れた事は、一種のファジアーノ岡山サポーターの熱が、長い歴史の中で、育ってきた証でもある。
こういった熱さというのは、誹謗中傷や暴力といった方向に働かないという条件下ではあるが、ACLを制した浦和レッズの強さの秘密でもある。もちろん、問題となったことがあった通り、賛否両論があることは理解しているものの、埼スタの浦和レッズのような圧倒的なホームのサポーターの力に、シティライトスタジアムでの実現へと近づいた試合でもあった。ACLでも浦和の応援というのは、海外メディアでも話題となったが、岡山でも浦和とは違った形や規模になると思うが、いつか満員で最高の雰囲気を作って欲しい。
今後、専スタができて、反響する環境になった上で、満員のスタジアムという事になれば、選手のプレーや審判のジャッジへの影響がでるぐらいの存在感を作る事ができるかもしれない。
この試合でも笛がなった後の対応で、イエローカードが、東京V側のみ掲示された。本来は、こういったジャッジのぶれは、起きる事は良くないが、ジャッジへの影響があったことは否定できないだろう。
そして、ここまでファジアーノ岡山サポーターが荒れたのは、初めてであり、岡山のサポーターが、決して勝利至上主義や行き過ぎた応援に傾倒し過ぎたのではなく、あくまで選手を守るための抗議の意味あいが強かった部分もあることが、他クラブのサポーターの方にも、少しで伝われば救われる部分もある。
7チアゴ・アウベスのプレーに関しても、我が子を見守る親のように、許容はせず批判すると同時に見放さず、次は冷静に「暴力や暴言」ではなく「プレー」で「サッカー選手」として目立つことで、出場明けの試合での活躍を信じたい。
また、こうした試合で、16河野 諒祐の冷静さが光るアシストや44仙波 大志の冷静なゴールは、今後の活躍を期待できるものであった。天皇杯の25野口 竜彦のスルーパス然り、針の穴を通すスルーパスの意識の高まりが、結果として出た事はチームとしての大きな前進、いや進化である。
これは、練習から意識していないとできないプレーで、受け手と出し手の意識の向上は、好意的に受け止めたい。
退場者が出た事で、東京Vに最後は競り負けたが、これもまた一つの物語りで、グッドエンドとは違ったバッドエンドだが、サポーターの選手、監督が一つとなったという意味では、グッドエンドなのかもしれない。
時には、勝敗や試合内容を抜きに「サッカー」の「ファジ」の悪い所と良い所を語る試合があっても良いのではないかと思う。
少し熱くなった部分があるが、東京Vサイドについて、本レビューでは触れて行きたい。
3、溢れ出す静かな闘志~東京Vサイド~
近年の東京Vのイメージとして、「巧い」の域から抜け出せない時期も長かった。22シーズンの6月に城福 浩 監督が就任してからは、「闘う」チームへと変貌した。22シーズンの最終節、そして、23シーズンの20節と岡山は、東京Vの前にまたしても敗れた。
これで、城福 浩 監督が、就任してからは、岡山は、東京Vに勝てていない。思い起こせば、22シーズンの2失点目も15本山 遥からプレスで奪いきっての得点であり、この試合も1人多いとはいえ、苦しい時間帯に攻め切り、ラストワンプレーのセットプレーを決めきった。
プレー1つ1つを見ても、23ヨルディ・バイスへのイエローカードのシーンも足を上げて行くところに怯まずチャレンジしていた。結果的に、27河井 陽介が跳躍して競り合わなかったことで、やや危険なプレーにこそなったが、守備の基本的な部分、球際の部分でもしっかりやり切れるようになっていた。
基礎技術が高いので、攻撃は簡単にボールを失わないだけではなく、ファールを誘発できる仕掛けもできる。最後のセットプレーのシーンもまさにそういった技術の高さが活きた結果となった。
面白かったのは、2深澤 大輝のポジショニング。攻撃参加する時には、完全にMFとしてプレーしている。しかも外に張るのではなく、中に積極的に入っていく、ポジショニングが印象的であった。
一方で、岡山の強力なストライカーの対応には、苦慮していたのも事実であるだろう。審判によっては、流されてしまうシーンもあった中で、岡山が先制点を決めた通り、均衡のとれた試合であった。
決勝点のシーンで、大きなガッツポーズで歓喜する城福 浩 監督。試合終了直後に1マテウスに向けた7チアゴ・アウベスの危険なプレーに対して抑えていた気持ちを、勝利後に岡山ベンチに対して、挑発行為ともとれるアクションで爆発させていた。これは、岡山ベンチといよりは、危険なプレーを行った7チアゴ・アウベスに向けての気持ち(側面)が強いかもしれない。何れにせよ、岡山に勝利するという東京Vの強い気持ちが現れた数少ないシーンだった。
岡山の22佐野 航大が、試合後に高崎 航地に抗議して、イエローカードを掲示されたが、それだけ熱くなる試合であった。岡山に掲示されたイエローカードの枚数や退場者を出してしまった岡山とは対称的に、東京Vは、極めて冷静にプレーしていた。
少なくともこの試合では、その差が、勝負を分けた試合となった。
4、手にしたものと失ったもの~熱脈~
悔しいけど、嬉しい。負けたけど、凄かった。いつか満員の専スタで。どういった雰囲気と景色が待っているのか。不思議な一体感。最後まで走り切った岡山を称えるファジアーノ岡山コール。審判への厳しい声。いつもとは違う試合の雰囲気、試合後の雰囲気。
選手や監督の声を拾って、今回のレビューを〆たい。
木山 隆之 監督の試合に関するコメント。
ジャッジへの影響を感じながらも東京Vに力負けした部分もある。この試合では敗れはしたものの自分達の良さも出せた部分もあり、次に繋がる部分もあったという趣旨のコメント。悔しさの中に、手応えも感じている。だからこそ悔しい。これは、事実だが、下を向いている訳にはいかない。勝負師として、常に前を向いている。
城福 浩 監督の試合に関するコメント。
やはり、気持ちの部分でのチームとしての組織的粘りや逆転に持って行く力、組織的に闘えるチームであることが、伝わって来るコメント。また、どんな勝利にも近道はなく、やるべきことをやり続ける。それは、ミスを少なくをすることを含めて、やはり堅守の理由がここにあるように感じた。岡山は、90分間でのチームとしての隙なのか、気持ちの隙なのか、勝ちきれない試合や負けてしまった試合、それが、やはり現段階では、東京Vの方が、この試合を含めて、上回っていた。
DFの攻守の要としてプレーした23ヨルディ・バイスのコメント。
木山 隆之 監督と同じく、やるべき事がやれたという手応えを感じました。前半のゴールキックのやり方を見ても色々と準備してきた中で、どう内容から結果に繋げて行くのか。そこの部分でのチームとしての課題や足りない部分がまだある。ここは、やはり東京Vのように続けて行く必要がある。
決勝ゴールを決めた16山越 康平のコメント。
東京Vの良かった点や悪かった点の一部に対するコメントから岡山が戦えていた部分と負けていた部分が見えてくる。改めてサッカーは、表裏一体の部分があるのだと感じた。
次節に向けて、最後まで勝利を信じて走り切った22佐野 航大のコメント。
試合終了後にイエローカードを貰ってしまった22佐野 航大だが。言葉上は次に向けて切り替えているように感じる。しかし、やはり悔しさは隠しきれない部分とまだ受け入れる事ができていない部分が共存しているようにも感じる。それでも。試合後のサポーターの声が次に気持ちを切り替える、前向きな部分も後押しできた部分はあるのではないだろうか。サポーターとしては、そうあって欲しいという気持ちで、選手や監督を後押ししたい。
先制ゴールを決めた44仙波 大志 選手のコメント。
一緒に戦えたと感じられる嬉しいコメント。選手がサポーター応援や拍手で後押しされるように、サポーターも選手の言葉やプレーで、応援の原動力に繋がる。この試合悔しかったのは、選手だけではないですし、選手1人の1人のプレーから勇気を貰ったのは、サポーターも一緒。
いつか、こういった審判のジャッジに向けてではなく、プラスの方向で、プレーオフの松本戦のような試合を、今後の試合でファジアーノ岡山にはみせて欲しいと思う。
最後は、勝利監督である城福 浩 監督のコメントを聞く事で、勝利のために何が必要かという点で、紹介して終えたい。
5、アディショナルタイム~試合写真~
今回も写真を振り返っていきたいと思います。
とても美味しかった。
両ステージとも盛り上がった。盛り上がるポイントとして、実は、晴れに国の力は大きい。
遠路はるばる岡山の地まで有難うございました。1人でも多くのサポーターに来ていただけると、やはり嬉しい。
今日はこういったシーンが多かった。木山監督は、警告を受けたが何があったのか。
ハーフタイムに入った時にも戻らず抗議、もしくは説明を求めていたが、スタッフに促されてロッカールームに戻る23ヨルディ・バイス。
審判と巧く付き合った東京V。こういったシーンは、少なかった。
映り切ってないが、どこのチームにも一体感がある。強いチームには当然ある。こういった東京Vみたいなチームに勝つためにも岡山のチームとしての武器をふやしていきたい。
各ゲート各席から選手達へ大きなファジアーノコールの声がでていた。次の試合に向けて、気持ちは高まっている筈だ。勝利の先にある昇格を信じて、最後まで応援したい。
文章・画像=杉野 雅昭
text・photo=Masaaki Sugino
引用元サイト紹介(選手と監督公式コメント)
ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第20節 東京ヴェルディ戦 監督・選手コメント
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URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202306112300/
J.LEAGUE jp (Jリーグ公式HP)
J2 第20節 岡山 vs 東京V(23/06/11)試合後コメント(選手)
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2023/061116/player/
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J2 第20節 岡山 vs 東京V(23/06/11)試合後コメント(監督)
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