2021ファジアーノ岡山にフォーカス53「有馬ファジ総括」
1、 前置き
42節に関しては、気持ちで戦った側面が強く、勝敗の枠を超えた試合であり、ファジの歴史の1ページと言える映画のような光景がそこにあった。この試合に向けて、多くの人たちが自分達の感じたものを各方面から発信した。私も発信しているので、未読の方で、興味があれば、読んでいただけると嬉しい。
2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(同サイト内別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907
今回の記事のベースは、41節の長崎戦を基に有馬ファジがどういったサッカーに辿り着いたのか。1人の岡山サポとして、文章化に遅れながら挑戦する。実際に試合を見ていなくても伝わる有馬ファジの完成度をテーマに総括に入っていく。
2、 チームのキープレイヤー
まずは、Twitterで実施した「21シーズンのMVPは誰か?」というアンケート結果からチェックしていきたい。あくまでデータではなく、サポーターの感じた主観の集計ではあるが、多くの方の協力もあったことで、客観性の高い結果のアンケートにできました。本当にご協力有難うございました。
という結果になりました。細かいアンケートも実施しましたが、今回は、割愛させていただきます。
では、この5名を中心に、有馬ファジについて総括していきたいと思います。
3、 シーズンを通して進んだGKの現代化
開幕当初は、シンプルにゴールマウスを守り、ゴールネットを揺らさせないというサッカーを展開していた。シュートへの反応やハイボール処理、コーチングに定評のある13金山 隼樹が正守護神としてゴールマウスを守った。
チームとしての守り方も後方のスペースを消し、数的不利を作らない。セカンドボールを拾うというのが主眼であった。
流れが変わったのは、夏場辺りからである。11宮崎 智彦、22安部 崇士、5井上 黎生人、16河野 諒祐という足下の技術に優れる超攻撃的なDFラインに移り変わっていく流れで、GKの現代化も進んだ。
31梅田 透吾が高い位置にポジションを取り、ビルトアップに参加するようになっていく。DFラインを高くする。GKが広範囲をカバーする。こうポジションで独立する守備組織を布くチームもあるが、最終的に岡山は、CBとGKの垣根を越えて、1つのチームとなった。
GKが、ゴールマウスから離れることは、本来リスクであるが、ビルドアップの形が進化する中で、そこで奪われないビルトアップを確立されていく。それが、岡山でも行われた。お互いに信頼しているからこそ、DFラインとGKの5人のビルドアップで、ボールを奪われてカウンターというシーンは、作らせなかった。
CBの5井上 黎生人と22安部 崇士と、31梅田 透吾のトライアングルは、3バックでもあり、4バック+GKという関係性でもあった。
この結果、ビルドアップにおける数的有利もしくは、同数でも有利な状況を作れたことで、自陣でのプレー時間を減らすだけではなく、前から来る守備のチームに対しても強く繋いでいくことができた。
そして、プレスをいなしつつ、SBがポジションを高くとることができ、前に運ぶこともできた。
4、役割が明確で個性が光ったDFライン
前半戦の岡山は、どちらかと言えば、チームとしてスペースを空けない。セカンドボールを拾う。1対1で負けないという部分が強かった。ただ、選手が揃って行く中で、選手に応じたタスクを任せられたことで、ビルドアップから守備対応まで数的有利を保ち、安定感が抜群であった。
5井上 黎生人が、カバーリングや縦に付けるパス、16河野の上がったスペースのケア。しかし、全方位カバーしつつ、右へのパスの選択肢が制限されがちであり、縦パスを狙わられるという点が、このスタイルの唯一の脆弱性であり、失点に繋がった試合もあった。ただ、一番リスクが高く、役割の範囲が広かったのも信頼の大きさの証拠でもあり、その期待に応えて、抜群の安定感を誇った。
22安部 崇士が、長短のパスや縦への推進力、1対1の守備を担った。攻撃に繋がるパスを狙う分、プレスを受けることやミスパスのリスクも伴うが、11宮崎、5井上、31梅田といった選手が、相手チームのプレスの圧に対しての 捌け口としてあったことで、そういったミスはほぼ生まれなかった。
11宮崎 智彦が、プレス脱出口としてのボールを落ち着かせ所として機能。SBとして上下動ではなく、そのポジションにいることで、攻守のバランスを保ち、プレスの脱出口として機能。プレスを受けて、ボールロストしても不思議ではない場面でのボールの置き所やトラップや、ボールコントロールで、局面を打開して、前に運ぶプレーは秀逸であった。
ここに4濱田 水輝を投入することで、3バック(5バック)にすることもあったが、攻撃の優位性を前線で保つことができたことで、最終的にこの形は少なくなっていった。
5、チームの突き動かす心臓(中盤)
中盤。つまりMF登録のポジションは、最後まで試行錯誤が続いたポジションである。攻守にハードワークする事で、怪我が多かったこともあるが、チーム事情によりポジションを移した選手や、役割が変わった選手も少なくない。
最終的には、48石毛 秀樹が加わった事で、多くの方が、ラストピースが埋まったと表現している。そして、私もそう感じた1人である。
バイタルエリアからペナルティエリア付近で、仕事できる選手が不在であったが、48石毛 秀樹は、右SHとOHの中間のようなポジションをとり、密集地帯や寄せを受ける狭いエリアでのプレーは、MFの中央適性のある選手の中では、唯一のJ1クラスと言えるプレーであった。
ゴールの質に関しては、まさにワールドクラス。特に相模原戦のゴールは、岡山で永劫的に語り継がれる得点になることは間違いない。
48石毛 秀樹の加入により、4-4-2でありながら、左の41徳元 悠平、中の48石毛 秀樹、右の16河野 諒祐という形を構築できた。
その結果、後方のスペース開けないチームや、寄せが早いチーム、ハードワークするチーム。こうしたチームに対して、シーズンの序盤から中盤までは、前半で得点することは難しかったが、連動性と左中右のどこからでも攻めることができたことで、堅い壁を打ち破り、前半の内に先制点を決めることができた試合も増えて、終盤戦の12試合負けなしへの原動力となった。
CHに関しては、6喜山 康平、7白井 永地、26パウリーニョの状態の良い選手を中心に構築。若手や他のポジションの選手を試すことがあったが、運動量やポジショニングで攻守を支えた。
中盤は、岡山の持ち味であった献身性や運動量に、技術や連動性が加わり、過去最高の流動性のある攻撃ができるようになった。
ここに27木村 太哉がドリブルで仕掛けるオプションや、14上門 知樹を左SHに戻すオプションが増えたことで、どこか閉塞感があった攻撃が機能して、堅守であった守備を活かせる形で、勝ち点に繋げる事ができた。
6、三本の矢(FW)
得点力不足に苦しんでいた時期から内容は良かった。結果がでるようになったのは、19ミッチェル・デュークの加入と、14上門 知樹のFWへのコンバート、9イ・ヨンジェの怪我からの復帰。この条件が揃ってからである。
3選手とも特徴こそ違うもののプレーのクオリティの部分で、1対1で勝負できる選手。14上門 知樹を軸に、コンディションや代表での離脱などを考慮して、違いを魅せて行く中で、得点に繋げてきた。
3選手が、1対1で勝負できることで、後方の選手がフリーとなり、それが各ポジションとの相乗効果を生み出し、12試合負けなしという結果に繋げる事ができた。
FWというポジションこそ、チームの顔となる選手の必要性を感じたシーズンとなった。運動量や献身性だけではゴールを奪えないと痛感した前半戦があったからこそ、この3選手が、FWでプレーすることで、上位に対しても個で戦えた。まさに攻守で岡山史上最高のFW陣と言える活躍であった。
7、2021ベストメンバー
41節の長崎戦をベースに、シーズンを通しての活躍も考慮しての選出。そのため41節の長崎戦の時に、怪我の選手も一部選出。
2022シーズンでは、どういった選手達がどういった活躍して、どういった結果を残してくれるか楽しみですね。
8、2021シーズン出場記録ベスト5(2項目)
こうしてシーズン通しての成績を見て考えると、得点力不足であったことを強く感じる。終盤戦に12試合負けなしで勢いこそ掴んだが、一部の選手に依存するという部分は否定できない。
よって、22シーズンは、ファジアーノ岡山のサッカーをアップデートすることで、多くの選手がより活躍できるサッカーができるかどうか。これをクリアできた時に、J1昇格の道は開けることは間違いない。
木山新監督には、その手腕で、チームの足りない部分を補って、良い所をより伸ばして、ファジアーノ岡山のJ1初昇格に導いてくれると信じたい。
9、2021シーズン成績
※注:得点は多い順で、失点は少ない順の順位※
2022シーズンには、この成績を大きく上回る結果に期待したいですね。最後まで読んで頂き有難うございました。
文章・図=杉野 雅昭
text・picture=Masaaki Sugino
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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。