2024ファジアーノ岡山フォーカス45『 ぶつけて受け止めて掴みたい~挑戦と前進~ 』J2 第31節(H)vs 愛媛FC
1、キャッチボール~心とサッカー~
応援もサッカーも良くない時は、行き違いが生じますが、この試合では、ほぼ全てが上手く行っていたのではないでしょうか。岡山は、秋田のように、ロングボールを多用するチームよりも、この試合の愛媛のように丁寧に繋ぐいで前進していくことを目指すチームと相性が良い傾向にあります。
愛媛は、公式記録をみても、ボランチがどれだけ攻撃に絡めるかが、攻撃の生命線です。この試合では、22番 一美 和成 選手を頂点に、19番 岩渕 弘人 選手、39番 早川 隼平 選手が、愛媛のDFラインに対して、効果的にプレスをかけることができていました。
苦しくなった時に思い切り蹴るという選択肢は、スペースに上手く通った時だけで、基本的に、岡山の「跳ね返す→回収する→攻撃へ」の流れがしっかりできていました。
愛媛のボランチの8番 深澤 佑太 選手と14番 谷本 駿介 選手に対して、14番 田部井 涼 選手と24番 藤田 息吹 選手が、マークに付くことを基本とすることで、自由に前を向くということができずに、そこから前進できていませんでした。
二人とも技術がある選手なのでキープしつつ、前へのパスコースを探そうとしますが、岡山は、複数人で囲い込んで奪えなくても、バックパスに追い込むことで、再び3トップのプレスをかけることができた試合でした。
愛媛の攻撃は、前半の45分通して、意図した縦パスをどれだけ前に付けることができたかという苦しい内容の試合になっていました。
こうした前半の噛み合いの良さだけではなく、18番 田上 大地 選手の先制ゴールも大きく、自信を持って戦える勢いに繋がったと言えるでしょう。
前半のキッカーは、14番 田部井 涼 選手で、後半途中から33番 神谷 優太 選手が蹴る。二人ともプレースキックが得意な選手で、前のレビューでも書きましたが、意図した所に蹴れる精度を持っていますし、アイデアを持っています。
岡山のセットプレーは、5番 柳 育崇 選手を狙うしかできなかったですが、キッカーが、90分間通して長所にできる目途が立ったことで、再び岡山の武器となってくれるでしょう。
これは、プレーオフを見据えた時に、僅差のゲームとなった時に大きな1点を決めることができる可能性が、飛躍的に上がったと言っても過言ではないでしょう。
前半は、前からの効果的な守備に始まり、後方へのボールは跳ね返して、中盤でしっかり回収して、攻撃に映るということが繰り返しになりますができていました。
これはまさに、愛媛のビルドアップを制限するというハイプレスのストライクボールを、ミットの構えた所に投げることができて、愛媛サイドからのボールもしっかりキャッチすることができていた。そういった前半であると思います。
チームとしての心の意思疎通というキャッチボールもできたほぼ完璧な前半だったのではないでしょうか。ほぼというのは、やはり優勢とも言える中で、1点に留まった決定力という課題は残す形になってしまいました。
2、岡山へのブーイングの解答~木山ダイス~
選手も審判のジャッジや味方へのラフプレー、自身のプレーへ強く抗議することがありますが、そうした選手や監督が許されて、サポーターは、どんな時も応援するだけで、フラストレーションを発散して、気持ちを切り換えることは、許されないことなのでしょうか?
私は、ブーイングした後に全力のファジアーノコールへの声量に変換できて、チームと上手くキャッチボールできるのであれば、サポーターのブーイングの気持ちもサポーターの1人として、私は受け止めたいと思っています。
ブーイングのタイミングが悪いという指摘は、共感できてしまうシーンや怪我した相手選手へのブーイングは、スポーツマンシップに反するので私は反対でしたが、山口戦から変化が見て取れて、ゲート10に足繫く通っている方のそうした判断も工夫が跡が感じ取れます。
チームが、経験を経て成長するように、サポーターも色々な経験を糧に原動力にして、応援に全力を注いでいます。サッカー好きの私にとって、ファジアーノ岡山だけではなく、Jリーグの独自文化の応援スタイルも好きなんです。いえ、好きになってきました。
言葉にした事がないですが、サポーターが作りだす雰囲気に心打たれて、試合が始まる前に泣きそうになったことがあります。
私の感覚が変わっているのかもしれませんが、サッカーの枠を超えた筋書の決まっていないドラマを私は観たくて、足を運んでいます。
私のレビューを読んで下さってる方は感じていると思いますが、サッカーの戦術分析や勝敗を分けるポイントだけではなく、心についても語りたい。多くの人に伝えたい。そういった気持ちが強いです。
私のレビューは、選手や監督、サポーターではなく、選手という1人の心のある人だと意識して、言葉を選んでレビューにしています。
良いプレーの凄さを少しでも伝えたいじゃないですか。勝利の感動も伝えたいじゃないですか。敗戦の悔しさやチームが苦しい、キャッチボールが上手くいっていない。表現は優しくなりますが、そういった苦悩も伝えたいんです。
チームが引き分けが続いて勝てていない時に「行き違いになってる」という投稿も多く、選手の声を聞きたいという意見もあって、私も共感できる部分がありました。
今となって考えてみると、勝てていないことで疑心暗鬼になった時期だったのかもしれません。この試合の木山 隆之 監督のメンバー選考や試合後の雰囲気を観た時に、メインの私もなんだか嬉しくなりました。
私は、試合後に感じました。サポーターの声や気持ちは届いてたんだと。お互いにより強固に信じあえるように勝ち続けて、ホームで新しい景色がみたいですよね。
木山 隆之 監督の攻撃のみを意識した出たとこ勝負のメンバー選考、木山ダイス。痺れました試合になりましたね。
3、バランス戦術が見据える戦術~リセット力~
「木山ダイス」で、攻撃的な布陣であっても、岡山は守備を大事にすることは捨ててなかったですね。
愛媛への戦術的な噛み合いが良かった部分と、気候が多少涼しくなってきたこともあって、岡山の前から抑えに行く守備が、かなり上手く行った試合でしたね。
やっぱり、岡山が上手く行かない試合の多くは、前からの守備が嵌らない試合が多いように感じます。岡山のサッカーは、守備的だと良く言われて、得点力不足への批判や攻撃意識や質の低さへの不満もセットではあるんですが、何故こうした守備を大事にするのかですが、やっぱり攻撃したいからだと感じます。
この試合の4番 阿部 海大 選手や43番 鈴木 喜丈 選手が、攻撃参加を複数回できていたのも全体的に押し込めていたからですよね。23シーズンの4バックの時は、相手のプレスの前に、窮屈なサッカーになってしまい「怖い」という声が聞こえていました。
そう考えると、岡山の守備は、攻撃を強く意識した守備なんですよね。
この試合のように、前からの守備が上手くいって、無失点で1-0で、後半にというのが、なんだかんだ言って、やっぱり、岡山らしいし、逆に負ければ、岡山の弱点と言われますよね。
表裏一体という言葉がありますが、まさに岡山の前半の戦い方がそうだと感じます。
では何故、0-0でもオッケーという戦い方を選択しているのか。それはやはり、岡山は後半別のチームになるからではないかと。
一番は、99番 ルカオ 選手の存在です。もちろん、他にも良い選手がいますが、良い時の岡山は、99番 ルカオ 選手のシンプルな強さで、状況を一変できるんですよね。
序盤戦こそ、9番 グレイソン 選手を意識し過ぎて、99番 ルカオ 選手らしいプレーは影を潜めていましたが、ここに来て、99番 ルカオ 選手が、99番 ルカオ 選手をやっています。ファジのサポーターから「凄い」と、何度も聞こえてきます。アウェイで、メインで観ても、99番 ルカオ 選手のプレーに、驚くサポーターも少なくありません。
岡山のサッカースタイルをリセットできることで、ビハインドでも流れを変えるだけではなく、リードを更に広げるという選択肢にもなりえます。
この試合では、22番 一美 和成 選手でもある程度、愛媛のDFに対して戦えていましたが、99番 ルカオ 選手が出てきたら守備を崩せそうな予感もありました。
守備が上手く機能していたので、そのまま戦う選択肢もありましたが、木山 隆之 監督の選択は、攻撃でした。
その後の展開に関しては、あえて私が触れる必要はないでしょう。
1つ言えることがあるとしたら、この試合の18番 田上 大地 選手と19番 岩渕 弘人 選手、33番 神谷 優太 選手。何れの得点も岡山らしかったですよね。
39番 早川 隼平 選手の惜しいロングシュートもありましたが、岡山の得点パターンは、PAに侵入できれば、生まれる。それを再認識できた試合でした。
もともと、岡山の選手を観た時に、元岡山の上門 知樹 選手や押谷 祐樹 選手、石毛 秀樹 選手みたいにミドルシュートを何度も決められるスーパーな選手は少ないですし、ゴール前に何度も走れて、泥臭くできる選手が揃ってますから、このメンバーだとやっぱり、前に押し込んで、ゴールに迫っていく。今季は、残り試合数を考えても、ここにかけるしかない気もします。
もう1語、ファジ造語にいきましょう。
4、ぶつけて受け止めて掴みたい~挑戦と前進~
サッカーをする選手もサポーターも心のある1人の人間であって、今後も色々とあるでしょう。
熱くなりすぎて喜怒哀楽になりそうになることもあるかもしれませんが、相手を想うことで喜檄哀楽になるような思い遣りを持てるように、私も日々気を付けたいです。
今後チームがサッカーで、「ぶつけて・受け止めて・掴みたい」の流れで戦う中で、今後も皆さんはと共に「挑戦と前進」を繰り返していくのでしょう。
私もどれだけレビューを書けるか分かりませんが、戦術系のレビュアーの皆さんにサッカーはお任せするぐらいの気持ちで、私にしか書けないレビューもあると自分だけは信じてあげて、私らしくレビューを書いていきたいです。
そして、ファジアーノ岡山ファミリーが、ファジアーノ岡山ファミリーらしく戦えるように、ファジの良い所を伝えていきたいですし、辛い時も哀しい時も、前を向けるように、皆さんと一緒に戦っていきたいです。
やはり、サッカーを応援する以上、勝利は嬉しいですが、私がこうしてレビューを書いて、コメントを下さる方がいらっしゃって、ファジアーノ岡山サポーター問わず、サッカーについて、語られる仲間がいることは、やっぱり最高ですよね。
愛媛についても最後に触れたいです。多くの選手が足を痙攣するほど、押し込まれていたなかでも戦う姿勢を崩さなかった愛媛。天皇杯のファジアーノ岡山も、最後まで走ってましたよね。こういった頑張りが、大事ではないかと個人的には感じますし、胸を打たれることが多いです。
愛媛サポーターと選手が、愛媛のバックスタンドの席の所で、何か話し込んでいましたが、対戦チームではありますが、凄く良いチームなんだと感じました。それは、お互いに静かに傾聴する雰囲気を感じたからです。
何かまとまりの無い文章になってしまいましたが、両チームとも「挑戦と前進」を繰り返しているんですね。チームだけではなく、サポーターの皆さんからも日々学ぶことがあります。なんか、今後ともよろしくお願いします。と、改めて皆さんに伝えたい気分になりました。
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino
5、アディショナルタイム
・アンケート
・ファジフーズ
見た目に反して、美味しかったです。つくねということもあって、食感と味のバランスが良いですね。つくね自体の味も美味しんですが、タレとの相性も良いですね。辛すぎず薄すぎず。美味しかったです。
まず炊き込みご飯自体が出汁?が出ていて美味しいです。たこ特有の味の深みというか、味の奥があるというか、濃縮されていました。たこも絶妙な味付けで、食感もタコ特有のあの強い弾力が堪らないですね。美味しかったです。
・今日の一枚
こういった風景を観ていると、専スタも欲しいけど、木の影がある公園や広い芝生の広場みたいなところ、立地とか込み込みで捨てがたいですよね。なんだかんだ言って、良いスタジアムだから、なかなか機運が高まらない面もある気がします。
しかし、全ての状況を満たすことは難しくても、ファジの中の人なら岡山の可能性を広げるような夢が詰まったスタジアムを実現して下さると期待したいです。
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