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2024ファジアーノ岡山にフォーカス25『 圧力と判定の先の無念千万~超えること~ 』J2 第12節(H)vs清水エスパルス



1、シックスポイントマッチ~悔恨の記憶~


 岡山は、過去のシーズンでの重要な直接対決の多くの試合で敗れたことの方が多いというイメージがある。もしかすると勝てた試合もあったかもしれないですが、やはり負けた時の方が強く記憶に残ることもあって、気持ちでは勝つ気持ちでもあっても、何処か冷静な筆者も、今日もかなり厳しい試合になるだろうということを感じていた。

 昨シーズンの清水との対戦は、1点で勝負が決まるという試合でしたが、スコア以上の差も感じた12節でもあった。この日の岡山は、チームとしての離脱者が多いのに対して、33乾 貴士 選手を欠くとはいえユース出身選手が多く、J2屈指の資金力により、分厚い選手層が武器の1つの清水は、隙が無いメンバーが揃っていた。

 結果としては、0-1のスコア以上の完敗と言える試合に終わった。また、審判に対する不満がないかと言われれば嘘となるが、顔面ブロックで、ハンドで退場PKとなった大分の事を考えれば、岡山に対しての判定というのは、そこまで酷くないのかもしれないが、映像を見返すと悔しいを通り越して、怒りという感情すら覚えた。

 しかしながら、次に進むという意味で「主審の判定が〜」も、サポーターとして結論付けることで、悔しさを主審の方に向けることは精神衛生上は良いかもしれないが、やはりどこか釈然としないというか、冷静に試合を観るということは、応援している気持ちが強ければ、より難しくなる。レビュー以外で感情を表に出すことが少ない私でも映像を見返して、印象がかなり変わった。

 ただ、チームとしては、そこ以外での敗因に対して、しっかり探し出して、修正と対策を講じていく必要がある。チームとして離脱者が多いとか、審判の判定に納得できないという理由で、負けを受け入れる訳にはいかない。

 だからこそ、敗者のチームが、次回の対戦で勝者となるには、7番 竹内 涼 キャプテンのような言葉のようなメンタルティが必要であるし、サポーターとしては、非常に心強く感じた。この悔しさをアウェイの地で晴らすことができると信じたい。

『 7番 竹内 涼 選手 』
「J1昇格するには、厳しい試合や苦しい時間帯の多い試合はあるが、みんなで1つになって、そこを一つ超える、二つ超えることをしないと昇格はできないので、練習からまたみんなで擦り合わせて、積み重ねて良いチームになりたい。」

ファジアーノ岡山公式HP
J2第12節 清水エスパルス戦 監督・選手コメント
より一部引用。
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202404281730/

 という竹内キャプテンの言葉に応える意味でもこの試合に関しては、書き始めまで時間がかかったこともあって、今季初めてフルに試合を見直して、良かった点と悪かった点をいつもの大局的視点で、前半と後半、清水、全般の4部構成で振り返りました。

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2、通用した部分と厳しい部分~勝利の円周率~


 前半に清水に先制点を許すことになりましたが、チームとしては、ある程度やりたいことができていたと思います。しかし、個人としては普段通りの感覚でプレーしていましたが、岡山の選手が、そのプレーでボールロストするシーンが何度かあって、そのまま清水にカウンターでシュートまで行かれてしまうというシーンが、非常に多かったと感じています。

 まず岡山の攻撃時の清水との質の差ですが、岡山の形でアタッキングサード(ピッチを三分の一にした時に攻める方向の前のエリア)に入った時の繋ぎにしてもいつもであれば、クロスやシュートといった1つ先のアクションに行けることが多いですが、この試合では、パス交換の時に奪われて高速カウンターを受けるというシーンや、中盤の繋ぎの所でもいつも安定感のある繋ぎをできていた24番 藤田 息吹 選手が、パスを出す前に奪われたり、パスが通らないというシーンなどが目立った。

 一方で、攻撃の形を作ることができていたのは、27番 木村 太哉 選手のドリブル突破からのクロスと88番 柳 貴博 選手の粘り強い仕掛けからのCKの獲得といった形の2パターンで、個で戦えた部分は、次の対戦時にも有効かと思いますので、2巡目で対戦する時には、その後の連携をどう高めていくか。

 合わせて現状でも清水に対して効果的でありましたので、清水の左SBの14番 山原 怜音 選手の突破した後の66番 住吉 ジェラニレーション 選手の所をどう突破していくかは、次の対戦までの課題と言えそうですね。

 逆に形こそ作れていたので、より有効な形にしたいというか回数を増やしていきたいところは、左サイドからの攻撃ではないでしょうか。右利きの15番 本山 遥 選手の左WBの17番 末吉 塁 選手へのパスがズレるというというシーンが一度ありましたが、43番 鈴木 喜丈 選手が復帰するまでは、寄せの速さと守備強度の高い相手には、そこでの安定感が落ちることを前提として、割り切ったプレーが必要となると言えるでしょう。

 本来であれば、2番 高木 友也 選手の左CB起用を含めて、レフティを主体とした左サイドの組み立てや仕掛けの形を増やしたい中で、離脱者にレフティに集中することで、よりレフティに負担がかかるという悪循環に陥っているので、対戦相手によって、攻撃で形を作り難いことは、仕方ないでしょう。

 こういったチーム状況により右サイドの攻撃に比べて厚みが足りないというのは6月末ぐらいまでは受け入れていく必要があるかもしれない。それこそ右サイドからの継続的な攻撃の中で、4番 阿部 海大 選手が、ペナルティボックス内(ゴールを囲むようにある外の白線内)に侵入して、もう少しで決定的なシュートを打てるかというシーンを作れそうになっていた。

 本来であれば、こういった崩しは左サイドの方が得意であるというか、43番 鈴木 喜丈 選手。(他の方が考えた素晴らしい表現の)鈴木ロール(あってますか?)の真骨頂。やはり、そこが使えないというのが、清水相手だと苦しいですね。

 一方で、清水さんは攻守ともに1つになってる。そういった強さを感じました。見返して思ったのですが、「攻撃」では「止める蹴る」。「守備」では「強く速く」が、シンプルにレベルが高いですよね。

 清水の先制点(決勝点)のシーンにしても、映像では簡単に決めたように映りますが、岡山もそこに近いシーンこそありましたが、シュートに多く行けて、そのシュートも強く速く正確でした。結果的には、この差の積み重ねが0-1というスコア以上に感じる差に繋がったように感じます。

 サッカースタイルこそ違いますが、超攻撃的な磐田が昨季昇格して、やや守備寄りの清水が昇格できなかった。監督が途中で変わった効果というのもあるかもしれませんが、やはり「守備<攻撃」≒「失点<得点」のような構図。この構図は、色々な意味を込めているので、説明が難しいので、ファジ造語にしたいと思います。

2024ファジ造語No.20
『 勝利の円周率(2024ファジ桁) 』

 各チームが、永遠に答えを出せないものがある。敗戦した試合では敗因は結論に近いものがあり、負けようとすれば簡単に負けることができるが、勝とうと思っても勝ち続けることは難しく、その手段を見つけることはできていない(ここまで主要リーグでシーズンを超えて全勝であり続けることができたチームは存在しない)。「守備<攻撃」≒「失点<得点」→「勝利」という結果に持っていくことができるか。2024シーズンは、3-4-3の方程式で、勝利への計算を進めている。100%が答えとすると、今季の岡山の木山監督式(指揮)の結果12試合で6勝ということで、現状は50%である。


3、勝負を分けた判定と決定機~経験の差~


 後半に関しては「判定」と「決定機」の2つのテーマに絞った上で、後半重要局面をピックアップした上で、対称的な前半の2つの局面を引っ張ってきて振り返りたい。まずは、「判定」から振り返りましょうか。


「判定①:後半12分 19番 岩渕 弘人 選手が、28番 吉田 豊 選手に倒されたように見えたシーンに関して」


 VARがあれば、PKの可能性は非常に高いのではないでしょうか。恐らく、接触プレーでのフィジカルコンタクトで倒れたという判断だと思いますが、19番 岩渕 弘人 選手が、前に行こうする自身の動きを引っ張られたことで、強い力が逆方向に引っ張られた時に、糸が「ピン」と立ち上がるような動きから倒れて、手首の辺りを相当痛そうにしているので、高い確率で引っ張ていると思います。

 では何故見逃されたかですが、主審の位置の前に清水の選手が2選手いたことで、ちょうど死角になっていたのではないでしょうか。また、副審も距離がありますし、オフサイドに意識がいきますので、どうしても副審がファールに気が付くのは難しいのではないかと思います。

 ゴール前に1人副審が立つ形か、VARがないと、主審の方がよっぽど良い位置に立っていないと「手を引っ張っていた」ことを「確認する」ことは難しいでしょう。VARがない場合は、「引っ張っていた」という事実よりも「引っ張っていた」いたことを「確認できる」もしくは「確信できる」ということが、最終的な判断になります。

 そういった意味では、28番 吉田 豊 選手のマリーシアという意味ではファインプレーかもしれませんが、平面で試合を観ている選手や審判、監督やコーチと違い、上から俯瞰的にピッチのプレーを現地やTVで観ることができるサポーターからは、はっきり見える訳ですからどうしても「不満」というよりは「怒り」を覚えますね。


「判定②:後半13分:17番 末吉 塁 選手が、28番 吉田 豊 選手に膝内にされたシーン」


 これもVARがあれば、レッドカードが出ても不思議ではないシーンですね。では、何故ノーファールであったのでしょうか?

 これは、28番 吉田 豊 選手が、左腕で17番 末吉 塁 選手の顔面に当てているからです。これが、右腕であれば、主審の位置からも見えますからレッド。もしくは、イエローはかなりの確率で出たのではないでしょうか。

 残念ながら主審の位置からは、28番 吉田 豊 選手の体の右の部分と17番 末吉 塁 選手自身の体によって、これも死角に近い形になっているからです。そして、副審は、逆サイドですから、もちろん確認できません。

 主審が見逃した以前に、物理的に確認できない状況だった訳です。もし、これを分かった上で、意図的にやっているとしたら、岡山サポーターからしたら許せないですし、岡山のホームで、出場してくるのであれば、ブーイングしたくなるレベルなんじゃないですかね。

 また、28番 吉田 豊 選手の高等テクニックみたいな見方も、もちろんありますが、岡山の立場からそういった擁護のようなコメントが出てくれば理解できると思いますが、清水の立場からもしそういった言葉が出てくるのであれば、「映像を再確認して同じこと言えますか?」と問いたいですね。

 恐らく立場が逆であれば、激怒していた可能性も高いでしょうし、精神衛生上気持ちよくはないはずです。ただ、どうしても勝負事ですし、自チームのことを応援している気持ちが強ければ、こういった言葉や気持ちになり易いと思います。

 だからこそ、私はレビューを書いてることもありますが、相手視点を強く意識して、感情だけではなく、冷静な視点も大事にしています。これは、私のスタイルなので、各自の応援スタイルというかスタンスがあると思いますので、正解はないですし、その辺りシンプルな人間関係の所の相性もあるでしょう。

 映像を見返したことで、ここまで私自身「怒り」を覚えましたが、それはどちらかと言えば28番 吉田 豊 選手に対してですね。主審の吉田さんに関しては、映像を見返して確認した限りだと、28番 吉田 豊 選手のプレーを確認することは難しかったと私には感じましたので、退場がそこまで多くない28番 吉田 豊 選手の状況判断とマリーシアなプレーだと思いますが、個人的に印象はかなり悪くなりました。

 というかチームとしてもサポーターとしても、こういった選手であると認識して、心構えをして、熱くなってイエローカードを貰うとかレッドカードを貰うということやサポーターとしても熱くなりすぎて、サッカーを楽しめないという事は避けたいですよね。

 どうしても審判の方に向けがちな「怒り・不満」ですが、このシーンへの「怒り・不満」という感情が生じている場合は、どちらかと言えば「審判の吉田さん」というよりは、「28番 吉田 豊 選手」に向けるべきだと感じましたね。


「判定③:前半27分:27番 木村 太哉 選手のPKの判定について」


 これは、OHKの録画で見返した時にはPKに見えなくもなかったですね。ダゾーンだとリプレイが流れて、PKでもないように見えなくもないのですが、どうして主審の吉田さんにはPKに見えたのか。

 それは、シンプルに27番 木村 太哉 選手が、腕を大きく動かし過ぎてるからですね。胸でのコントロールするために仕方ない部分もあったと思いますが、これは見方によっては、自らハンドのアピールをしてるように見えてしまいますので、ここで上手く体を使うか隠すように対応して、クリアなりマイボールにできていたらと感じました。

 VARがあれば、違う角度からのカメラもありますので、ある程度は判断できると思いますが、私が主審の立場であれば、大きく振り過ぎてる腕に目が行ってしまいますので、その直後に腕か胸かの判断する時に、自らの腕を大きく動かすことで、胸でのトラップを隠してしまえば、誤認し易い状況が生まれます。

 それを防ぐために、腕を後ろに隠したりPA内では、意識して対応しますから27番 木村 太哉 選手としては、非常に勿体ないプレーに感じましたね。

 同じ死角を作るという意味で、27番 木村 太哉 選手と28番 吉田 豊 選手のプレーは、真逆ではあるんですが、28番 吉田 豊 選手のようなプレーをしても勝ちたいのかという議論は、昔からあって、そういったプレーをしてでも勝てばOKとしてしまえば、どうなるか。

 それは、もちろん嫌われます。27番 木村 太哉 選手に関しては、「次は上手くやってね」と思いますが、このプレーによって、彼を責める気にもならないですし、むしろ好きになるぐらいです。

 そして、審判がどういった風に観て判断しているか。そういった視点を持つことで見えてくる部分がある。とはいえ、サポーター目線では、主審の吉田 哲郎さんには、正しくジャッジして欲しいという気持ちが消えることはないでしょうし、逆に正確なジャッジにより、問題なく素晴らしい試合になった時にも注目が集まって欲しいと感じますよね。

 「月間ベストジャッジ賞」を作って欲しいですね。


 続いて、決定機についても・・・


「決定機①:後半3分当たりの19番 岩渕 弘人 選手のシュート」


 映像で見返すと、9番 グレイソン 選手が咄嗟に足を伸ばして触って軌道が変えたボールが、運よくゴール前の19番 岩渕 弘人 選手の所に転がってきました。GKの至近距離で又抜きシュートを狙ったというシーンでしたが、恐らく経験と直感で、GKの57番 権田 修一 選手が、咄嗟に膝をついて防いだというシーンでした。そして、6番 輪笠 祐士 選手のクロスに対応した11番 ルーカス・ブラガ 選手が、前に残っているので、これはオンサイドですね。

 6番 輪笠 祐士 選手の粘りからのクロスも9番 グレイソン 選手の粘り足も素晴らしかったですが、19番 岩渕 弘人 選手の所のシュートは、感覚に優れる人は、コースを狙った蹴ったかもしれませんが、それができれば、岡山にいないと思いますので、シンプルに即時にシュートより早く膝を突いて足下のコースを消した57番 権田 修一 選手のGKが、シンプルに凄かったですね。


「決定機②:後半14分:9番 グレイソン 選手のPA内でのシュート」


 27番 木村 太哉 選手の粘りからのスルーパスで2対2の状況を作れたシーン。渕Running(ファジ造語No16)により9番 グレイソンのパスを引き出す。19番 岩渕 弘人 選手は、ダイレクトでのヒールパスを選択。9番 グレイソン 選手が、パスを受けて、シュートも57番 権田 修一 選手にキャッチされたシーン。

 一見かなりの決定機に見えましたが、見返してみると結果論にはなりますが、最後の19番 岩渕 弘人 選手のプレーが悔やまれますね。このプレーは、一見良いパスに見えましたが、19番 岩渕 弘人 選手は、このプレーによりオフサイドポジションになり、清水も一人守備に追いつきました。

 つまり、2対2の数的同数から1:3の数的不利の状況になった。そのため、57番 権田 修一としては、かなり守りやすい状況にはなりました。

 ここで岡山としては、19番 岩渕 弘人 選手が、9番 グレイソン 選手のボールを上手く収めて、強引にシュートに行っていれば、DFとの1:1の勝負の先GKとの1対1になったので、得点の目があったと思います。

 後は、実際の流れの9番 グレイソン 選手のフィニッシュの所もコースを狙うシュートではなく、強いシュートを打てていれば、あるいは決めることができたシーンだったかもしれませんが、残念ながら9番 グレイソン 選手は、右利きですから、どうしても利き足とは逆の左足でのシュートは難しくなり、決定機に感じていたからこそ、ビハインドの状況でもありましたし、アシストもできる優しい性格の選手ですから、大事に行ってしまったことで、難なく対応されてしまったシーンに感じましたね。

 ここは、直感や性格とか、チームの状態もあると思いますので、一概に何が正解がという訳ではないんですが、この決定機と言える場面では、19番 岩渕 弘人 選手にも9番 グレイソン 選手にも「強引さ」というか「大胆さ」みたいな思い切りの良さがあれば、もしかすると得点に繋がった可能性は高かったかもしれないですね。


「決定機③:前半34分:23番 北川 航也 選手の得点」


 そして、逆に前半の清水の得点はどうだったでしょうか。この場面では見方によっては、ボールホルダーの前にいる選手をカウントすれば、3対3。影響力のある選手をカウントすれば、5対3の状況です。

 しかし、岡山の時と違って、止めて確認しないと分からないぐらいの一瞬のパス交換で、ほぼGKとの1対1という状況になってるんですよね。これが正しい崩し方というお手本のような攻撃であったのではないかと感じますね。

 状況だけみれば、岡山の方が攻撃でも守備でもむしろ良い状況ではないかと思います。19番 岩渕 弘人 選手の得点にしてもコースを狙う冷静さがあれば決まったかもしれませんが、咄嗟に正面の股下を狙ってしまったことで、防がれた。19番 岩渕 弘人 選手のシュートを打った位置が近すぎてたので、一概に比べることはできませんが、GKが触れないコース蹴ることができる余裕のあった10番 北川 航也 選手と慌てて目に入る範囲の隙へのシュートを選択した19番 岩渕 弘人 選手。

 そして、9番 グレイソン 選手のシーンにしても数的同数から数的不利になってしまったパス交換に対して、3対3(5対3)のほぼ数的同数から、ほぼGKとの1対1という状況を作り出したパス交換。

 「判定」と「決定機」を良く見てみると、そこに大きな差があったと感じました。この部分に関しては、スコア以上の差が見返してみると、両チームにはかなりありましたね。

 実は、紹介したシーンでは、岡山が組織的に上手く戦えていたという印象を見返すと感じたぐらい岡山は、戦前の想像以上、そして実際の体感以上に戦えた試合であったと思います。だからこそ両チームの勝敗を分けた部分は、実は意識や感覚、視野、経験といった判断の差であったことを改めて感じました。

 それこそ1−1や2−1といった試合にできた可能性もあった内容であったと思います。だからこそ、「審判の吉田さんが悪かった。」や「決定機も岡山も作れていた。」と結論付けるのはもったいなく、何故そういった判定になってしまったのか。何故、決定機で決められなかったのか。そういった視点を持って、少しでもその辺りを意識するだけでも内容だけではなく、結果も変わって来る。そういった可能性を感じた試合であったと思います。


4、清水の強さとは?~速さ&正確さ~


 清水が良い攻撃ができた時は、実は人よりボールが速く縦に動いていたように感じます。岡山は遅らせる守備ができますが、人数をかけて奪いにいっても素早いパスワークにより引き立つ清水の選手のフリーラン。それこそスペースにパスが出されるというよりは、足下にしっかり出せている。

 通常であれば、トラップする所を狙われることも多いですが、そういったシーンは少なかった。それは何故か?「シンプルにパススピードが速く、パスも正確で、岡山のプレスや寄せが追いついてないのです。」この辺りの「止める蹴る」のスピードが、岡山とは明らかに違いました。「決定機」でもその部分の差が出たんじゃないですかね。

 そして、普段からそういった攻撃に対しての守備練習をしていれば、守備の全てが速くなるし、判断も速くなる。そう考えると、勝負を分けた意識や判断の正確さも納得です。

 そう考えると、岡山が負けるべくして負けた試合でもあったと感じます。色々とあった試合ではあったのですが、やはり総合的な岡山の力不足と言える試合だったのではないでしょうか。

 しかしながら、その清水でも勝てない試合や時期もありますし、課題もある。だからこそ、岡山としては、離脱者が戻ってくることでの練習から高いレベルでという循環を作ることができれば、まだまだチャンスがあると思います。

 スコアが示す通り、こういった差があっても運が良ければ、もしかすると勝てたかもしれない。この敗戦により勝ち点上は6差まで開きましたが、チームの状態を挙げていけば、可能性はまだまだある。信じて、清水のように基本を徹底してやっていく。下を向く必要は決してないと思います。

 清水は、強かった。だからこそ、岡山の課題も多く見つかった。大事なことは、次に向けてどういった準備ができるか。そして、ベストに近づけるかです。


5、浮上の鍵を握る99ルカオ選手~相性と最適格~


 ルヴァンカップの宮崎戦と横浜FC戦では、99番 ルカオ 選手良かったですよね。では、なぜリーグ戦だと輝けないのか?

 シンプルに、パスの質の違いなのではないかと感じます。ルヴァンカップでは、1番 堀田 大暉 選手が、GKを任されているので、DFラインにビルドアップで加わって、繋いで前進するということができます。

 そのためチームとしてコンパクトに保ちつつ、チームとして前進できます。だから、最終ラインからロングパスをどんどん入れていくといくシンプルなロングパスで空中戦や背負いながらとかではなく、ある程度DFやMFを引き付けることが出来る中で、ボールが晒された状況ではなく、隠す形で受けることができるのではないかと感じます。

 9番 グレイソン 選手が、今の形で活躍できるのは、シンプルに空中戦で競り勝てるか競り負けるか。足下のボールに対して収められるか失うか。といった勝負で勝てる選手だからです。ここが、9番 グレイソン 選手の凄さで、守備側の圧力を受けた中でも周りを観れる視野の広さと、そこで勝てるシンプルな強さ、感覚の良さなど総合力が高いことで、守備側の予測や対応に難しさを迫ることができることで、それなりの可能性で形を作れます。

 ただ、99番 ルカオ 選手は、意外性はあっても、判断の正確さ、イメージ通りにボールを蹴れるだけの技術や武器もなく、背が高くても空中戦が強い選手ではありません。

 では、どういった時に強いかと言うと、空中戦でもなく、技術で勝負するのでははなく、強さと速さで勝負できる時です。

 それは、どういう状況かというと、「ボールを速さと強さ隠すことができるパスが出た時です。」

 つまり、99番 ルカオ 選手へのパスが出た時に、守備側の選手が、「ボール」と「ルカオ選手」のどちらに守備のアクションを迫られるかです。

 23シーズンと24シーズンの最大の違いは、そこではないかと感じます。一概にどちらが良いかという訳ではないですが、ここのチームとしての戦い方の違いが、99番 ルカオ 選手の活躍具合の違いとして、悪い方向で出てしまっていると感じますね。

 この辺りの違いを調整していくことで、99番 ルカオ 選手の良さを引き出せるかどうかで、岡山としての得点力も大きく変わって来る可能性は十分あるのではないかと感じます。

 まだまだチームとして離脱者が多く、若い選手も多いので、選手が復帰するなかでの全体のレベルアップ。そして、成長でもチームとしての総合力アップ。まだまだやれるはずです。

 私のレビューを最後まで読んだ下さった人の中で「悔しさ・不満・怒り」という感情が「希望・納得・自信」のようなポジティブに変換された部分があるとすれば、筆者としては、非常に嬉しく思います。

 最後まで読んで下さり有難うございました。

 今日は勝てると信じて、応援したいですね!

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino

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筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知や開いた時などに、偶然に目にすることもあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで言葉にしている。同時に、サポーターとの交流や魅力を語り合うことも好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。同時に、数少ないから岡山問わず、交流のできたサポーターもいて、「趣味」という「生活」の一部になっていて、サッカー観戦を心より楽しんでいる。


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