2024テゲバジャーロ宮崎にフォーカス⑩(J焦点⑭24限定連載)『 頬や心を伝ったのは雨ではなく涙?~敗戦には拝選~ 』J3 第35節(A)vs 松本山雅FC



1、スタイル創造への挑戦~0からの戦い~


2024 J3 第35節 松本山雅FC vs テゲバジャーロ宮崎
2024年11月02日(土)14:03kick off サンプロ アルウィン

 今節に関して、私は長く語ることはできますが、今節は論点を絞って短くまとめたいと思います。敗戦した時は、あまり試合を振り返りたくないと思いますので、この章だけで終えたいと思います。

 この試合は、大雨の影響で、ピッチに水溜まりができていて、試合中も雨は降り続けていました。後半のキックオフの時には、選手が寒くて跳ねるという中での試合でした。

 ピッチの水溜まりができている位置は、中盤の位置で、中盤の位置といえば、ゴールデンテゲコンビのプレーエリアで、ボランチも絡んだ時に、テゲバの推進力や攻撃を生み出せるエリアです。

 立ち上がり20分ぐらいは、そこを活かせず、苦しい試合になりました。流石にこのピッチコンディションでの試合は、準備も想定していなかった中で、アドリブで、対応していくという試合の中で、苦しんだ試合でした。

 前半は、11番 橋本 啓吾 選手と58番 武 颯 選手の高さと強さを活かすロングパスの攻撃ぐらいしか形を作れず、44番 井上 怜 選手も20番 阿野 真拓 選手も思うように攻撃に絡めない中で、水溜まりの影響の少ないゴール前での精度やアイデアを欠いたプレーが目立ったように感じました。

 この辺り、若さが悪い方向に出てしまったでしょうか。テゲバの良さを出せない中で、試行錯誤を繰り返していくしかないという難しい前半になってしまいました。

 ただ、後半に入ると、水溜まりに適応しつつある44番 井上 怜 選手が、存在感を出し始めて、多くの決定機を演出。

 20番 阿野 真拓 選手も水溜まりへの適応に苦しみつつも、水溜まりの影響の出にくいプレーを掴めていた中で、決定機であったヘディングシュート。ファインセーブに阻まれましたが、気持ちを魅せた惜しいプレーであったと思います。

 順番は前後しますが、15番 辻岡 佑真 選手の惜しいシュートもありましたし、途中出場の27番 渡邊 星来 選手と11番 橋本 啓吾 選手の連携プレーで、角度こそなかったですが、惜しいシーンを作りました。

 ここから1点がとれればという所で、セットプレーの2次攻撃から失点。反撃を試みるも、松本の堅い守備とピッチコンディションの影響もあって、最後まで追いつけず。厳しい敗戦となりました。

 それでも、両チーム同じ条件の中で、0から戦うと言える熱戦でしたが、徐々に水溜まりに適応して、違う形を作って、内容でも押していた試合であったと思います。ここは、素晴らしかったなと思いますし、誇らしいですね。

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2、水溜まりに適応した若きテゲバ~誇り~


 アンケートのポストでは、語れなかった部分まで、掘り下げていきたいと思います。

・MIPアンケート


①11番 橋本 啓吾 選手

 いつも以上にロングパスをチームとして選択する回数が多く、裏を狙う回数が多く、体力的にきつい試合であったと思いますが、フル出場。雨の中ですべきプレーは理解できていた中で、疲労も相当なものであったはずです。

 エースとして得点を決めることができなかったですし、ポストプレーでもアシストができなかった。いつもであれば、勝ち点1を最低でもゲットできていた訳ですから、帰りの中で、疲れもより出てるかもしれない。

 強い悔しさは、相当あると思いますが、疲れで乗り物なかで眠っているかもしれません。

 眠れる獅子の試合にこそなってしまいましたが、1つ1つの経験が次節に、そして来季に繋がると思いますし、そうであって欲しいです。


②44番 井上 怜 選手

 後半の水溜まりが酷いサイドに代わった時に、一度目で苦笑いした44番 井上 怜 選手。その次のプレーでは、水溜まりが酷くなる直前のエリアから迷いなくロングパスをスペースへ蹴り込んだプレーで、攻撃の形を作った44番 井上 怜 選手。

 ドリブルを諦めたかと思えば、意表をついて、ボールを少し浮かせて前に蹴りだして、一気に駆け上がった。

 彼のファインプレーは、優れた状況判断と鋭い直感の合わせ技で、生まれていると感じた。

 自分のテクニックを活かす術を知っている選手たち。その中でも44番 井上 怜 選手は、特別な選手の1人だと改めて感じた。


③50番 安田 虎士朗 選手

 水溜まりが激しい所で、大きく蹴ったりアバウトにパスを出したりと、意図するプレーが攻守にできない選手が多い中で、細かい蹴りだし着実に前進する高速ドリブルに近い持ち上がりを魅せた選手がいた。

 そう、50番 安田 虎士朗 選手だ。こういった水溜まりで、リフティングしながら駆け上がった選手の昔の選手の映像が良く流れるが、そういった衝撃に近いプレー。当時と比べて、守備強度が高くなる現代サッカーの中で、これをやってのけた。

 前節も触れましたが、やっぱり上手い選手だなと感じました。このプレーで、より信頼を深めた選手の1人ではないでしょうか。


④-①20番 阿野 真拓 選手

 あのダイビングヘッドというのが、印象に残ってますが、上手いだけじゃない。それが、20番 阿野 真拓 選手ですよね。この試合でもしっかり戻って守備していたことで、試合を作れました。

 いつもパスやドリブルのチャンスメークは満足いくものでなかったものの良さもある程度出せたけど、とてもじゃないですが、満足できるものでなかったかもしれません。

 ただ、次節以降に期待できるプレーもありましたので、次の試合ではやってくれるはずです。


④ー②55番 青木 心 選手

 ボールが止まるピッチコンディションの中で、上手く対応できた試合ではないかと思います。松本の高さにやられてしまいましたが、その後のロングシュートもしっかり反応して防ぎましたし、GKとしてほぼベストパフォーマンスであったと思います。

 GKとしての悔しさはあると思いますが、セーブだけではなく、パスの精度や判断の正確さも良かった試合であったと思います。


3、この悔しさを次節のエネルギーに~開拓~


 テゲバらしく、中盤のゴールテゲコンビと評した44番 井上 怜 選手と20番 阿野 真拓 選手のパス・ドリブル・クロスのチャンスメークで、多くのチャンスを作って、押し切りたかった。

 そういった悔しさをサポーター目線では感じてしまう。

 しかし、選手の多くは、水溜まりができたピッチコンディションの中で、こうすべきだったとか、不満ではなく、次こそはこうしたいと語っていると信じたい。

 今朝のゴルフのアニメで、「生涯のスコアを1つでも良くしたい」というお世辞にもうまくない立ち位置のキャラクターが語っていた。

 恐らくサッカー選手でもこういったピッチコンディションの中で、試合することは、雨が多い地域や水はけの悪いホームスタジアムのチームでなければ、少ないはずだ。

 ただ、そういった試合の中で、そこを言い訳にしたら負けという感じがする。

 だからこそ、生涯での雨で水溜まりができた試合での生涯での勝率を1パーセントでも上げていきたい。それぐらいの気持ちで、戦って欲しいですし、これはサッカーにも通ずる部分がある考え方であると思います。

 明日の公式コメントではきっと、雨の影響があったと語っても、それによって敗戦したという訳ではなく、○○ができたけど、○○ができなかった。だから、次は○○できるようにしたいとか。

 前向きなコメントを聞けるはずである。

「頬や心を伝ったのは雨ではなく涙?~敗戦には拝選~」

拝選(選手をリスペクトする気持ちを表現する意図を表現するために考えた造語)

 実際に涙を流した訳ではないですが、心では悔しくて泣いている部分はあると思います。でもその涙は、心に留めて、何事にもなかったように、次に気持ちを切り替える。

 簡単なことではないですし、いつも通りサポーターに感謝を伝えて、ロッカールームへと引き上げていく選手たち。しかし、人は、常に限界まで我慢しようとする。

 そのダメージを緩和できるように、敗戦には、選手の健闘を称える「拝選」の精神で、チームの健闘を称えたい。

 前半戦に涙や悔しさを出し尽くした。この敗戦を敗戦にしない。拝選にしたい。少なくともテゲバを応援する1人として、テゲバの選手へ今節も最大級の賛辞を送りたい。

 ホームの強さ、J1でも戦ったことのある松本のクラブとしての底力。そこには届かなかった。

 来季もし、J3で戦うことができるのであれば、リベンジしたいチームの1つである。試合での悔しさは、試合でしか返すことができない。

 プレーオフの可能性がある。その言葉の重みを突き付けられた。

 でもこのサッカーならその重みをもちあげて、乗り越えてくれるはずだ。

 次節からも変わらぬ気持ちで、勝利を信じて応援したい。

文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしていて、ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために映像や速報などを確認しますが、極力SNSの情報を遮断し、レビューを執筆していくスタイル。流石に通知や開いた時などに、偶然に目にすることもありますが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしている直感型レビュアー。
 ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにもリスペクトの意識を持って、言葉にすることを心がけています。同時に、サポーターとの交流や魅力を語り合うことも好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合こそありますが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきました。同時に、人数も回数こそ少ないですが、岡山を問わず交流のできたサポーターの方もいて「趣味」という「生活」の一部になっていて、サッカー観戦を心より楽しんできました。これからも多くのサッカー通じての交流を大事にしつつ、皆さんと一緒にサッカーを楽しみたい。


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