1、問われた雨の戦い方~数的不利~
雨にしっかり対応できる選手とそうでない選手との差が出た試合と言えるかもしれない。もちろん、不向き不得意はある。そういった戦い方ができなかったのだから、キヤマアイの目測に誤算があった試合とも言えるでしょう。
前節との違いとしては、15本山 遥 選手がリザーブに回り、左CBに18番 田上 大地 選手が回り、真ん中のCBに5番 柳 育崇 選手が入った。リザーブメンバーには、11番 太田 龍之介 選手が新たに入った。
横浜FCの方は、右WBと右のシャドーの選手が変更点があったこととそれに伴ってリザーブメンバーを調整したに留めたという選手交代であった。
結果的には、右サイドを主体とした攻撃の中で、左サイドでフィニッシャーに成れず、雨のピッチに苦しんだ10番 田中 雄大 選手と技巧派MFでキープが得意な44番 仙波 大志 選手が持ち味を発揮できず、横浜FCに流れを渡す形となった。
とはいえ、3失点ともほぼ同じ位置からのFK2本とCK1本でのセットプレーの3アシストの技ありのプレースキックを放った24番 福森 晃斗 選手の左足を褒めるべきであるだろう。
どちらかと言えば、その位置で、ファールすることはそんなにないので、濡れたピッチでの相手陣地でプレーする術を確立できなかった影響を強く感じた。
岡山のサッカーにおいて「繋ぐ」という選択がどれだけ大きな意味を持っていたのかを改めて感じた試合となったが、前半の岡山が攻める方向での右サイドのピッチを狙ったことで、ボールの主導権が行ったり来たりする結果となった。
結果論から言えば、後半の攻勢を考えると、そこに固執せず左サイドも上手く活用すべき試合となってしまった。いつもであれば、前半にもっと時間を割くが、岡山の戦い方を採用した結果、44番 仙波 大志 選手と10番 田中 雄大 選手が消える結果になってしまったことと、プレースキッカーの差が出てしまったという「やっぱり24番 福森 晃斗 選手が凄すぎた」という結論に至ってしまう。
ここは、素直に認めるべき所である。それでも、後半にPKではあったが、1点は返せたので、結論が出ている前半は置いといて、後半から見える悪かった点と良かった点を整理することで課題と収穫を発見していきたい。
2、虹と龍が示した可能性~天変地異~
ここまで負けていなかった事で、チームデザインを大きく変更するという事はなかった。そう考えると、次節は大きく変更するという可能性もあるのではないかと感じる。連戦の最後ではあるので、大胆に動くことに障壁は全くないと言える。
木山ファジの歴史を遡ってもおよそ10試合周期で、チームモデルをチェンジしてきた歴史がある。今季は、雨によるピッチコンディションの影響があったとはいえ、敗れはしたことと主軸に離脱者が出てきていることと、復帰してきた選手やパフォーマンスの良かった選手もいて、序列を再構築することに適した試合と言えるのではないでしょうか。
序列が上がりそうと感じた選手の中で、個人的に良かったのが、25番 吉尾 虹樹 選手。右WBだけではなく、離脱選手の多い左WBができる器用さは岡山の救世主的存在に感じる。運動量もある選手ですし、何より右足の精度のキック精度も高く、判断も早く、守備に不安こそあるものの可能性を示すことができたパフォーマンスであったので、出場が続いている17番 末吉 塁 選手を休ませるというのも面白い選択に感じる。
17番 末吉 塁 選手のように速さに関係したフィジカルでの突破こそできないものの、43番 鈴木 喜丈 選手のようにパス交換で中に入っていくという事が期待できますし、クロスでのチャンスメークも期待できる選手に感じました。43番 鈴木 喜丈 選手や41番 田部井 涼 選手、19番 岩渕 弘人 選手の開幕メンバーのように、流れで形を作れる選手と組むことで真価を発揮してくれるんじゃないかと思います。
そして、もっと見てみたいと感じたのが、11番 太田 龍之介 選手。9番 グレイソン 選手と空中戦で競るプレーやポジショニングで被るのなら理解できますが、99番 ルカオ 選手が被るのには、少し違和感を感じる。個人的な不満として、99番 ルカオ 選手には、23シーズンのようにシンプルにスペースに走る役割を徹底させて欲しいところである。
個人的には、9番 グレイソン 選手と11番 太田 龍之介 選手に競ることを任して、他の選手は、裏に抜けるか近くで受けるかというのを徹底するだけでも全然違ってくるのではないかと思う。そうした共通認識の下での戦い方ができるのであれば、課題である得点力が劇的に改善する可能性はある。
屈強な横浜FCに対してもしっかり競り勝つことができていたので、この辺りの役割をもう一度整理する必要がある。改めて、19番 岩淵 弘人 選手の(チームの中での求められているプレーへの)戦術理解度の高さを改めて認識できた数試合となっている。
これは提言ではあるが、1トップ2シャドーであれば、どうしても1トップの近くで無意識にプレーしてしまう側面があるので、2トップとトップ下のような関係にすることも面白いかもしれない。この試合では、8番 ガブリエル・シャビエル 選手が、右サイドではなく、左サイドでプレーすることも多かったので、25番 吉尾 虹樹 選手と入れ替わる形などを想定しても面白いのではないかと感じます。
2トップを推すケース理由として、中央での重複が多かったので、左と右をプレーエリアを分担して高さで勝負できる9番 グレイソン 選手と11番 太田 龍之介 選手の役割を明確にすることが一番の狙いです。左に浮き球のクロスやロングパスが繰れば9番 グレイソン 選手が競って、右の11番 太田 龍之介 選手が裏抜けや受けるプレーを選択する。右にクロスや浮き球のロングパスがくれば、関係性を逆にする。
その下で、8番 ガブリエル・シャビエル 選手が、9番 グレイソン 選手のように中央へのパスコースを消すポジショニングで行う事で、中央を締めるという事で最適化できるのではないかと感じる。
3-4-3の関係性の攻撃時のバランスの悪さが目立ってきているので、あくまでの提案ではあるが、3-4-3のままでこのアンバランスな面が解消するのであればベストだが、99番 ルカオ 選手の活かしきれていないように、ここ数試合でそういった矛盾が目立ってきているんドので、次節に私が掲示した案を含めて、修正して欲しいと感じる。
3、横浜FCのサッカー~情報不足~
ピッチコンディションと前半で0-3というスコア通り、横浜FCのサッカーの強い所と弱い所を肌で感じるということができなかった。24番 福森 晃斗 選手の凄さが、ただ強く印象に残った試合であったように感じる。
この試合では岡山視点で、横浜FCのサッカーは語れないだろうし、両チームのサッカーが見えてこなかった。是非アウェイでは、もっと良いピッチコンディションの中で、お互いに強くなった中で、どこまで戦えるか楽しみである。
ルヴァンカップですぐに戦うことになると思いますが、そこでの連敗を避けたいので、選手層の厚さを活かして、リーグ戦に勢いをつける試合にして欲しい。
チームとして、後半は岡山のサッカーをある程度できましたし、この敗戦を糧により強い岡山をみせて欲しい。
前半で雨の戦い方を誤り、「数的不利」のような状況に陥った。後半には多くの選手を投入したことで、スタメンに近い選手に動きがあるぐらいアピールできた選手がいたり、課題も見つかったことで、チーム内の立ち位置が大きく変わる「天変地異」のような地殻変動が起きても不思議ではない。横浜FCから得た「情報不足」とも言える試合の収穫であったが、そこを逆手にルヴァンカップ、アウェイの横浜FC戦で、この悔しさを勝利に変えて欲しい。
今回は、短いですが、ここまで最後まで読んで下さり有難うございました。
文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino
データでフォーカス8もよろしくお願いします。
横浜FC戦のMIPは?
4、アディショナルタイム(ファジ造語24)