とっておけよ、諸々。
机の一番下の引き出し。滅多に開けない引き出し。特に必要としていない引き出し。中にあるものはあるのだかないのだか、どっちにしろ確認もしないので極めてあやふやなまま、しかし確実にあるものはあったりないものはなかったりする。
何ヶ月ぶり、下手したら何年かぶりにその引き出しを開けた。特に用事があるわけでもなかったけど、ただ、なんとなく。みてみるとまず一番上に大判の教科書が横たわっていた。高校では美術を取らなかったから、多分これは中学の頃の美術の教科書。それを退けるとある程度整頓して冊子と教科書が何冊か、それと空いたスペースには雑多な小物や短くなった鉛筆がころころと入っていた。
生物、化学、音楽、国語、使った時期もジャンルもバラバラなしかし、好きな教科という一点だけでは共通した教科書達。特に生物の教科書なんか少し前、散々探して見つからなかったけどまさかこんなところにあったとは。少し嬉しくなるような教科書達のまとまりの横に、ノートが4冊くらい。これもまた、まとまって鎮座していた。
このノート達に何が書いてあるか、忘れたと言ったら嘘になる。大体の内容は覚えている。恥ずかしい、という気持ちよりは、懐かしい気持ちとともに好奇心の方が勝った。人に見せれば黒歴史だなんだと思われるかもしれないけど、これはちゃんと自分の頭で考えて書いた、自分が大好きなものを詰め込んだノートだ。今でも黒歴史だなんて自分で言うつもりはさらさらない。とても大事なものだ。そしてこんな大事なものの所在を忘れていたとは…。
ロボット、モンスター、乗り物、世界観などをそれなりに練ってあるお話があれば、単発のお絵かきなんかもあったりして、オリジナルソングなんか今でも使えそうだ。気持ちが確実に14歳に戻っているのを感じる。キラキラしている。なんでもできる気がする。ありがとう14歳の俺。このお話ちゃんと仕上げような。そんなことをこのノートは何も言わずにちゃんと思わせてくれるのだ。
中二病という言葉が蔓延して久しい。それは恥ずかしいものであると決めつけられている。だけど、思い出してほしい。それを考えて書いていた頃の自分はきっと最高にキラキラしていたはずだ。14歳の自分はちゃんと今の自分を励ましてくれる。ヒントをくれる。そういうもの、とっておけよ、諸々。忘れちゃうようなとこに置いておくでもかまわないからさ。例えば、一番下の引き出しとか。
#エッセイ
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