「言葉」「感情」「心の中」
思っていることや考えていることを、言葉として発したとき、うまく表現できていないことは、決して珍しくない。というか、ほとんどの場合がそうである。といった方が適切だ。
人は、自分の「心の中」のことを、自分の口から発せられる「言葉」で表現することさえ難しい。
結論から申し上げると、人は、自分のことを理解していない。
「感情」は、心の“状態”を表す言葉である。
楽しい!嬉しい!ウキウキ!ワクワク!
反対に、悲しい。悔しい。寂しい。イライラ。など
恐ろしいことに、人は、この「感情」によって、表情・行動・言動が左右され、この、表情・行動・言動は、良くも悪くもすべて他者の目に触れる。
表面化される「言葉」
その内側にある「感情」
さらにその奥にある「心の中」
こんなイメージだ。
(なんであんな言い方しちゃったんだろう)
そう心を悩ませたご経験はないだろうか?
例えば、夫婦や家族、恋人、友人関係から職場などの親密な関係の人に対し、
『私(俺)が、こんなに頑張っているのに、どうしてあなたは分かってくれないんだ!』
こんな「言葉」が発せられる。
このときの「感情」は、イライラや悲しさ、悔しさだろう。
では、「心の中」はというと、
(大好きな(尊敬する)あなたが喜ぶと思って頑張った。)
(大好きな(尊敬する)あなたに、認めてもらいたい。一目置いてもらいたい。)だった。
**こういうと、人のためにという動機に原因があるというような意見もあるが、私は、この、人のためという動機は、非常に尊いと思う。敬意を持つ。**
「心の中」では、相手との関係を良くしたいと思っているのに、
「感情」が反射的に「心の中」を覆い見えなくし、
思ったことと違う「言葉」として発せられている。
こうして人は、相手を否定し、やがて自分も否定していき、行き場をなくす。
では、どうすればこの「心の中」に気づくことが出来るか。
意識的に内観する 以外に方法はない。
無意識の領域では、不可能なのである。
私は、意識的内観の一つにカウンセリングがあると考える。
カウンセリングを通じて、クライアントは徹底的に内観する。
**このときのカウンセラーは、絶対に、指示や誘導、助言をしてはならない。
この最たる例が、マインドコントロールであり、悪質な手法では、徹底的に依存状態に追い込み、意のままに操ろうとする。**
クライアントが主体的に内観していった先に、「心の中」に気づく。
すると、覆っていた「感情」から解き放たれ、
心の安定につながっていく。
「あの人は、こんなにひどい人なんだよ」
「この会社は、こんなにひどい会社なんだよ」
こうした表面的な言葉を額面通りに捉え、
「そんな人とは、別れちゃいなよ」とか「結婚なんてそんなもんだよ」
「そんな会社辞めちゃいなよ」とか「会社なんてそんなもんだよ」
とアドバイスをする(した気になる)のではなく、
なぜ、その言葉が発せられたのか。その裏側に何があるのかを、寄り添って考えるカウンセラーを、私は目指している。