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獲物の分け前〜鈴木慶一『THE LOST SUZUKI TAPES VOL.2』

 昨日、記事にした鈴木慶一さんのデモや未発表スタジオ録音やライヴ音源をまとめたCD『THE LOST SUZUKI TAPES VOL.1』の続編であり、こちらは1980年代初めから1990年代のアルバム『SUZUKI白書』までかなり幅広い時期の録音が収録されています。
こうして鈴木慶一さんのソングライターとして改めて作品を振り返ると、プロデュースした作品の中で重要な楽曲を提供していたと強く感じるわけですし、アルバム『mother』や『SUZUKI白書』の充実ぶりが伺えるわけです。
じゃ、行ってみよー。

・鈴木慶一『THE LOST SUZUKI TAPES VOL.2』(XQCG-1902/Run,Rabit,Run)

 昨日取り上げた『THE LOST SUZUKI TAPES VOL.1』と同様にジョン・レノンのデモ・テープをまとめたブートレグ・シリーズの『THE LOST LENNON TAPES』のもじりというのが非常にらしいですね。
ちなみにVOL.1はオリジナル盤の帯の惹句までジョン・レノンもじりでした。

 先ほども書いた通り、慶一さんが本格的にプロデューサーとしての活躍を始めた時期からの作品が収録されていますし、1990年代にかけての『mother』や『SUZUKI白書』が後半のメインとなっているわけです。
『SUZUKI白書』収録曲は前作にも収録されていますが、完成度の点など考えるとプロデュースを依頼したXTCのアンディ・パートリッジに渡すことを前提に録音した楽曲のように思いました。
今作収録作品はもう少しラフに制作した作品であって、アンディ・パートリッジに渡すことが前提ではないように思います(あくまで個人の感想です)。

 今作収録の『mother』収録楽曲のクォリティの高さはこの時点でもわかりますし、岡田徹さんが活動再開の際に「あれはソロ・アルバム」と評する過程にあったといえるのではないでしょうか。

 そして、この時期くらいからデモ・テープの完成度が色々な意味で上がっていくのは、ホーム・レコーディングの機材やパソコンなどのハードとソフト両面での発達も大きいのではないでしょうか。
ピアノの弾き語りスタイルだとしても伝わることは伝わるのですが、色々なプレゼンテーションなどではより効率的になったとも思うわけです。
どちらにしても、これは慶一さんがソングライターとしての素晴らしさが伝わってくるCDだと強調しておきますね。
ライナーは字が小さい分中身が充実しまくりです。素晴らしい。

 ではまたー。


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