獲物の分け前〜小坂忠『ありがとう』
部屋のCDを整理していたら、小坂忠さんのCDがはっぴいえんどのポニーキャニオン盤と一緒にあったんですが、アルバム『ありがとう』を現行盤で持っていないことが妙に気になってしまいまして、すぐポチりました。
小坂忠さんといえば『ほうろう』と『モーニング』がとにかく素晴らしくて大好きなアルバムなんですが、『ありがとう』に関しては昔買ったら初CD化された時の盤かなかったんですよ。
これじゃいかんとなったわけです。
じゃ、行ってみよー。
・小坂忠『ありがとう』(MHCL-30812/ソニーミュージック)
このアルバム、実は小坂忠さんの作品がボックス化された時には1曲カットされていたんですよね。
人気アルバムなのになかなか再発されなかったのには理由があったわけですよ。
えーと、つまり収録曲の「どろんこまつり」の歌詞に使用された慣用句が現在では適切ではないという判断からなんです。
作品が発表された時期には問題のない表現であったとしても、現在にはふさわしくないとの判断されたわけなんですわ。
吉田拓郎さんの「ペニーレーンでバーボンを」も同様の理由で現行盤に収録されなかった期間が長期に渡ったわけなんですが、近年収録されるようになったのでした。
昨年再発された『ありがとう』は最新リマスタリングで、タイトル曲「ありがとう」の別ミックス・ヴァージョンをボーナス・トラックにした形なのでした。
このアルバムが完全な形で再発されたことは知ってましたが、他のアルバムを優先させていて、ようやく手に入れたわけです。
『ありがとう』は小坂忠さんのファースト・ソロ・アルバムでして、エイプリル・フール解散後に発売され、はっぴいえんどでいえばアルバム『風街ろまん』前に発売されたわけです。
エイプリル・フール時代からの盟友細野晴臣さんがタイトル曲「ありがとう」や「どろんこまつり」などを提供していることもありまして、細野さんがジェームス・テイラーに強く影響を受けた楽曲がはっぴいえんど以前にこのアルバムに収録されたことは日本のロック、ポップス史上重要な出来事なのです。
ボーナス・トラックの「ありがとう」はシングル・ヴァージョンなのかな?と思って、『細野晴臣の歌謡曲20世紀ボックス』に収録されているのと同一ヴァージョンかチェックしてみたら、どうやらシングル・ヴァージョンではない模様です。
まー、確かにシングル・ヴァージョンなら、そう表記するはずですよね。
ちなみに「どろんこまつり」は小坂忠&フォージョーハーフ名義のライヴ盤『もっともっと』にも収録されていて、このアルバムと同様に封印されてぃしたが、現在では再発されて現行盤で発売中です。
ちなみにフォージョーハーフのメンバーはドラムスが林立夫さん、ベース後藤次利さん、スチールギター駒沢裕城さんにキーボード松任谷正隆さんと後のキャラメル・ママ〜ティンパンアレー、サディスティックミカバンド、はちみつぱいへと連なる顔ぶれが参加していました。
あと、後にガロが作品をリリースしたマッシュルーム・レーベルからの発売というのも深いですよね。
日本のロック、ポップス史上重要なアルバムだと思いますなら、ずっとカタログに残っていてほしいです。
ではまたー。