樹木希林さんはコピーセンスもすごかった
「美しい方はより美しく、そうでない方はそれなりに写ります」
これは1980年の富士フイルムのカメラのCMのコピーです。
当時は流行語にもなったそう。私はリアルタイム世代じゃないですが、どこかで聞いたことあるコピーでした。
いまだったら炎上しそうですよね。苦笑
ただ、べつにヘンなことを言ってるわけじゃないし「なんかちょっと気になるな」と思わせるパワーがある。素敵なコピーだと思います。
実はこのコピー、最初は違う言葉だったそうです。
「そうでない方はそれなりに」の部分が、最初は「美しくない方も美しく」だったとのこと。
たしかに広告をつくる側の気持ちになったら「美しくない方も美しく写る」って言いたくなりますよね。
いっぽうで「美しくない人も美しく写る」カメラなんて、端的にいえばウソになってしまいます。
広告としてのキレイさを取るか、現実味を取るかって、すごく難しい問題です。
現実をそのまま広告にしても、ふつうは魅力的になりません。ちょっとしたウソが広告を魅力的にすることもありますよね。
かといって、そのウソが「違和感」になってしまうと、みる人はすごく興醒目する。
塩梅が難しいところですが「本当っぽいウソ」がいちばんダメなんだと思います。
広告を受け取る人は敏感です。「これは広告のために事実っぽく見せているけどウソだな」と思ったら、その瞬間に心が離れるものだと思います。
富士フイルムの場合は「美しくない人が美しく写るわけないよね」という違和感をきちんとキャッチして、コピーを修正したんだと思います。なかなかできないことだと思います。
そして、さらに驚きの事実があります。
この修正を提案したのは、CMに出演していた樹木希林さんだったそうです。
詳しい経緯はわかりませんが、企画を聞いてコピーに対する違和感を無視できなかったんだと思います。
それを提案するのもスゴイし、通ってしまうのもスゴイ。
「そうでない人はそれなりに」って、樹木希林さんが言うから説得力がある面も大きそうです。(もし広瀬すずが言ったら炎上しそう……笑)
ちょっとした違和感をそのままにしないところも素敵ですし、企画の通りにするんじゃなくて提案するところもめちゃくちゃ素敵だと思いました。
以上、名コピーが生まれた背景がめちゃくちゃおもしろかったのでご紹介してみました。
(出所はwikipediaです。笑)
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