親にカミングアウトを「しない」
私はLGBT当事者なのだが、親へのカミングアウト問題は悩ましい。
伝えることがいいことなのかな?と考えてしまう。
ここ10年でLGBTQを取り巻く環境は大きく変わった。
LGBTなんて言葉は10年前には当事者以外だれも知らないような用語だったのに、今や多くの人に認知される言葉になった。
同性婚訴訟が活発に起きたり、パートナーシップ制度が地方自治体に取り入れられたりして、少しずつ状況は前に進んでいるという実感がある。
もちろんテレビなどで、親もそういった状況を目に、耳にはしているだろう。
でも、私の親は戦中世代。今年80歳になる。
生きてきた時代の価値観が根っこから異なる。
年を重ねるほど、新しい価値観を取り入れるのに、パワーが必要になる。
乖離があるほど、必要なパワーは大きくなる。
考えたくはないが、親はあと何年生きるのだろう。
10年生きられるだろうか?
生きられない可能性の方が高い。
そんな人にカミングアウトしたら
異文化の衝撃
↓
異文化への拒絶
↓
混乱
↓
異文化への受容
こんな大変なプロセスを人生の晩年期に経てもらうことになる。
そもそも受容できるのかも分からない。できなければ、より親も苦しむことになる。
親子だからといって、なんでも話すこと、開示することがいいとは限らないんじゃないかと思えてくる。
そんなわけで、私は「親にカミングアウトをしない」選択を
続けてきたし、これからも続けていくつもりだ。
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