シェア
すほ
2022年8月6日 18:27
「変わらないな」 高校卒業以来の夏の帰省。実家の最寄り駅に降り立って呟くと、線路脇からの草いきれにむせそうになった。蝉の声が姦しい。田圃の合間に敷かれたレールの上を走り去る列車は陽炎が立ちゆらゆらと揺れていた。 もともと田舎を絵に描いたようなこの地がすきではなかったおれは大学進学と同時に上京し、そのまま東京で就職も決めた。忙しさにを理由にほとんど帰省せず、特に夏は痛い思い出があったため実家から