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『重版出来!』を読み終えた|あったかくて幸せな編集漫画

前から気になっていた漫画『重版出来!』(じゅうはんしゅったい!)を読んだ。

黒木華さん主演で2016年にドラマ化されていたので、知っている方は多いかも……?

私はドラマを見ておらず、漫画のみを全巻読んだところ。

素敵な内容だったので感想を残してみる。

※ 少々ネタバレあり

苦手だったけどハマった

1巻を読んでみるものの先を読み進められず……という時が2回あった。

なんとなく、主人公のまっすぐさを見ていられなくて。

実はまっすぐで「いい子」すぎる主人公は苦手なことが多いのである。

だけどやっぱり内容が気になってしまって。

編集には興味があるし、漫画や本は大好きだし、裏側も知りたいし……

読みたい気持ちを抑えられずに読んでみた。

8巻まで一気読みして、9巻から20巻までまた一気読み。

結果としては、読んでよかった……!

取っ掛かりになったのは書店での営業

何かを販売する苦労は、不動産営業で嫌というほど味わったから分かる。

もちろん本と不動産では全然違うし、法人相手のルート営業と個人相手の新規営業という相当な相違があるのだけれど。

漫画家・中田伯くんにも共感した。

他人への興味のなさには驚いたけど、私もそういう
「そこは全然興味ないや……なんで皆は気にするんだろう?」
という時があるから、少しは分かる。

東江(あがりえ)さんが、数字・売上・人間関係に左右されてボロボロになるところは辛かった。

でもリアル。こういうことは結構ありそう……どんな分野でも。

じっくり読んだから、
「すごく良い展開とエンディングだ」
と感じられた。

あったかくて、皆を応援したくなる話。

何より読後感がめっちゃいい


キャラの描き分けがすごい!

これは漫画ならではの話だが、絵がお上手だなーと。



特に、特徴を捉えてキャラクターごとに描き分ける技術が半端ない。

オッサン編集長もグラビアアイドルも、長年描き続けてるおじいちゃん漫画家も女子中学生も、適当にごまかさずに描ける。

老若男女すべてを描けるって、実はすごいこと。

人間観察を相当やってきているんだろうな、人が好きなんだろうな……と思わされた。

「漫画の中で、漫画や漫画家を描く」
のもすごいと思う。

この物語に限らず、たまにそういう作品はあるけども。


負の感情を作品に落とし込むリアル

中田くんの
「物語を紡ぐエネルギーがどこから来ているのか」
についての考察も興味深い。

マイナス感情を作品に移してすごい物を創り上げる人って、こんな感じなのかな……

黒い感情に飲まれる時も確かにあるし、再起不能になってしまう人も一定数いるはず。


でも人と人とがリアルに繋がったり交流したりしてだんだん進んでいくストーリー、すごく良かった。

自分も
「過去と向き合って昇華させたい」
と、最近特に思っている。

何かしらの形式で人前に見せられるものになるかはともかく、やりたいようにやってみよう。


漫画って、本って、ステキだなぁ

ハッピーな内容だけでなく、創作周りの多くの課題も描いてくれてリアル。



それでも、漫画や物語に対する愛や情熱をめちゃくちゃ感じた。

「まるで国境がないみたいに」
と言うところが印象的で。

物語に人は惹かれる
なぜなら、人間だから。

外国人でも目が見えなくても耳が聞こえなくても、何も関係なく。

お話を作って共有して、読んで好きになって、応援して……

それだけのことなのに、なんか素敵だなぁと。

本や漫画の良さを再確認できた。

いつか編集さんとか、やってみたいなぁ……本に携わる仕事をしてみたい。

紙の本が廃れつつあるけれど、密かにそう思った。


▼ 漫画『重版出来!』


▼ 読書記録

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