NHK番組・ヒューマニエンス「“記憶” 未来を切り拓く源泉」が神回だった
NHKのEテレが好きだ。
過去にはこんなnoteを書いている。
余談だが、実はこのnoteは閲覧数が多くて「全期間で10位」にランクイン中。(2024年9月10日時点)
それくらい、世の中にはEテレが気になる人が結構多いんだと思う。
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今回紹介する番組は『ヒューマニエンス 40億年のたくらみ』というシリーズの1つ。
(今はBSの4Kでしかやってないかも)
3月下旬に録画してあった「“記憶” 未来を切り拓く源泉」の回を、半年間ずっと見られないでいた。
夏休みを終えて家での1人時間ができ、ようやく視聴したのだが……超すごい内容。
衝撃を受けたので、ざっとメモを残してみる!
※ネタバレあり注意
番組・本エピソードの概要
内容説明のため、公式ページに書かれた文章を転記する。
出演されたのは以下の方々。(敬称略)
織田 裕二(俳優)
藤井 彩子(アナウンサー)
清塚 信也(ピアニスト)
井ノ口 馨(富山大学医学部生化学講座 教授)
松井 広(東北大学 大学院生命科学研究科 教授)
基本的にはVTRの映像が流れて所々で出演者たちの会話や説明が入る形式で、「記憶とは何か」を探る番組となっている。
最先端技術の説明や今後の展望の話もあり、見どころは満載。
記憶は星座のようなつながりである
ここ、めちゃくちゃ面白かった!
「記憶」は、たんぱく質によってつくられる複雑なネットワーク。
星がいくつも繋がって星座になるように、記憶は各人やその時によってさまざまな繋がり方をしている。
感覚器(視覚や聴覚など)からの情報は海馬に、感情(情動)の記憶は扁桃体に蓄えられる。そして、時間とともに海馬から大脳皮質へと移るそうだ。
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「生まれてからの記憶は、全部脳の中に蓄えられ続けている。たとえ思い出せなかったとしても、蓄積されている」
とも言っていた。
これには同感!
というのも、半年くらい前に思い出が急に蘇ったことがあるから。
gloveの『DEPARTURES』を聞いていたら、いきなり目の前にある画像が現れたのだ。
それは、女の子の絵が描いてあるシール(カードだったかも)。
家族でスキーに毎冬出かけていた時期があって、電車の中で何度か食べたことのあるお菓子に付いてきたオマケだった。
目が大きい絵柄が結構好きで、気に入っていた記憶がある。
でも特にコレクションしていた訳でもなく、その時楽しんだだけで少し経ったら捨ててしまったはず。
そのシールの記憶がスキー場でよく流れていた曲と結びつき、約30年ほど経って私の目の前に出てきたのだ。
この体験があるから、
「記憶は仕舞われているだけで脳のどこかにある」
という説はしっくり来た。
忘却は決して悪ではない
また、驚いたのが
「忘れることは全然ネガティブじゃなく、むしろポジティブ」
という話。
いろいろなことを忘れないでいたら、かえって上達するスピードが遅くなってしまうらしい。
自転車を初めて乗るべく練習する際にも、
「まず足をペダルにかける」
「こうすると転ぶ」
みたいな1つ1つの細かな思考をいったん忘れながら進めていかないと、なかなかスムーズに漕げるようにならないよね……と。
確かにその通りだよなぁ。ピアノの練習とかでも一緒!
その時その時で忘れていって新しい方法を取るからこそ、徐々にできるようになる訳で。その速さには意識や思考が追い付かない、と。
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「忘れないほうが良いに決まっている」
と思いこんでいるところがあったから、目からウロコだった。
「一緒にディズニーランドに行った体験は私にとってこんなに大事な記憶なのに、なんであの子は忘れてるんだ? 私のこと興味ないんでしょ?」
と昔々に友達に対して思ったことがあるから、なんか少し救われた……
(でも今思えばウザイよなぁ、この考え)
また、
「記憶は思い出そうとする時に弱くなる」
「記憶が美化されるのは当たり前」
という主張も興味深かった。
記憶って不思議だ
今、“実際の記憶を別の記憶に置き換える”という実験もされているらしい。
トラウマ克服には確かに有意義だが、なんか怖い……
「実際に体験しなくても、自分が体験したかのように思える」
って恐ろしいことのような。
ただ、その技術が使われていない今でも、記憶の書き換えって結構ある現象だよなぁ。
記憶は簡単に改竄(かいざん)されてしまう。
しかし必ずしも悪いことではなく、書き換えすることで種が生き延びてきたという部分もあるらしい。
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また
「記憶が自分を形作っているから、昨日の自分も今日の自分も "一貫性のある自己" だと思える。だから認知症は悲しい病気だ」
という主張は、今まで思い至らなかった。
介護する人にとってのデメリット(徘徊して大変、とか)が、認知症の負の部分だと思っていたから。
記憶が人に与える影響って不思議だなぁ……
未来はいつも懐かしい……の意味は?
未来を想像する時、人は
「自分が今までに体験したこと」
からしか思い浮かべられないらしい。
これは確かに感覚としてわかる。
体験したこと・知っていることからしか、先を予測できないんだよなぁ……
だから色々体験してみたいんだけど。
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創作の独自性については、中高生時代に読んだ本に影響されて、以前からこう感じている。
「どこかで聞いたメロディが誰かによって1つの歌になり、何代も歌い継がれて違う創作物へと変化する。それがまた誰かの頭の中で何かと結びつき、違う成果物が出てくる。その繰り返しだ」
これに似たことが番組内でも話されていた。
ちなみに、どの本だったっけ?
確か岡田淳さんの『こそあどの森の物語』シリーズだったはずだけど、全然思い出せない。
(てか、今ググったらシリーズの中の1作『はじまりの樹の神話』が劇団四季のミュージカルになっていたらしい。全然知らなかった!)
そんな感じなので、私は「あまりに著作権を強い権利にすること」には懐疑的だ。
もちろん悪用はいけないしパクリ・盗用は阻止すべきだけど
「『1人の所業・業績にしてしまって何十年も保護し続ける』って、どうなんだろう?」
と疑問を抱いてしまうから。
すべてはきっと、何かと何かの組み合わせ(掛け合わせ)だと思うんだよねぇ。それ以上でも以下でもなく。
もちろん創作は素敵なんだけど。
まとめ
いやー、この回も素晴らしかった。
『ヒューマニエンス』シリーズは本当に面白い!
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見るかどうか悩んでいる方には、強くオススメしたい。
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