【詩】うどん      

たそがれの食卓にあるうどんが赦せない
うどんをのみこむことだけが昨今のわたしの労働だというのに
あたたかなうどんに遅れたおろかな自分が赦せない
さきほどまで夕陽が頸を切っていた
わたしの生涯はすでにこの うどんのように のびて しまった
にょろにょろのぬるい素うどんをすするわたしの頬をゆるい湯気がなぜてゆ
 く
それは夢のなかの肌ざわりのようだ
あああ 憎い うどんが憎い
うどんに罪はあらねども それはじゅうじゅうわかっているのだが
無抵抗のまま咀嚼され わたしの胃の腑におちてゆく
うどんが憎い
憎くてたまらぬのだ 今日は
 
                    
    







 たしか2008年頃の作。

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