検診に行った話。
これは、年に一度の検診に行ったという只それだけのことを書いたものです。(2000字)
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あなたが一番ハードルが高いと思う検査はなんですか。
どちらも選びたくない極みである【バリウムor胃カメラ】、大きくても小さくてもご迷惑をおかけして申し訳ない気持ちになる【マンモグラフィ】、それとも【子宮検診】の屈辱的体位、、、男性の検査はわからないが女性もそれなりにツライ。
これらの検査、通常○万円分がなんと無料です!さらに今なら市営駐車場の無料券をプレゼント! …我々はそんなチョロいオマケに釣られはしない。いきたくないな~検査イヤだし~時間もかかるし~病気が見つかったら怖いし~
しかし私は今回、とてもフラットな心持ちで検診を申し込んだ。
『検診のハガキが届いてたから、いつものクリニックに行ったついでに予約した』それ以上でもそれ以下でもない。むしろ数か月後の予約しか取れなかったことに少し不満だったくらいだ。
寝ている間に胃カメラ
選択肢は少ないほうが、行動が促されるという。
いつものクリニックはバリウムのマシーンがなく胃カメラ一択だ。
唯一選ぶのは、鎮静剤を使用するか否かだけである。
検査のスタッフさんは流れ作業的にサクサクと動く。「昨日の夜9時以降、食事していませんか」と何回も同じことを聞かれるが、それもルーティンなのである。少々かぶせ気味に「はい、腹ペコです」と言うか言わないかのところで検査室の中に案内される。
「口を開けてください」
だから何も食べてないって、、と口を開けたらスプレーでシュッシュと液体を散布された。舌がしびれてくる。あーこれは歯医者さんで経験済みの感覚、局所麻酔だ。
ベッドに横になると「鎮静剤を入れていきますねー」と腕に注射をされた。そのあとの事は眠っていたので憶えていない。。。
「終わりましたよー。移動しますねー」ふらふらしながら休憩用のベッドに移動し、眠いのでまた寝る。あーなんか気持ちいい。
普通はこれで目が覚めたら終了となるのだが、夢の途中で名前を呼ばれ起こされた。
寝ている間に生検
ぼーっとしたまま、カメラの映像を見ながら医師の説明を聞く。
「ここにおできがあるので一応、生検しました。1週間後に……云々」
はいはいわかりましたともう一度ベッドに戻って寝ることにする。鎮静剤とはこんなに効くものか。寝不足解消にちょうどよい。
会計で5000円くらいかかってビックリした。「今日は無料だと思ってたのに」と受付のお姉さんに悪態をつき、結果を聞きにまた来週も来なければならないと知り、それならばと歯科の受付に行く。
今年から追加された歯科検診、その対象になっており、来週また来ることになったならついでに診てもらおうと思ったのだ。痛くもないのに歯科に行くことは皆無で、きっかけがないとなかなか足を運べないものだ。『来るついで』という私の希望が通り、1週間後の内科の予約時間の30分前というベストの予約が取れて満足。我ながら無駄のないスケジューリングだ。
ということは?
ところで家に帰ってからよくよく考えた。胃におでき??
「たぶん大丈夫だと思いますけどもしかして胃がんかもしれないしそうじゃないかもしれない、念のために調べるのです」などと言っていた気がする。鎮静剤でぼーっとしていてよく分かっていなかったが急に不安になる。
こんな時の1週間は長い。
胃がんかもしれないけどそうじゃないかもしれない、たぶん大丈夫だと思いますけど念のために調べるのです……
それ以上でもそれ以下でもない医師の言葉がリフレイン。傍らに立つ看護師さんが心配そうな表情をしていたのが気にかかる。
「生検後3日くらいは消化の良いものを食べて、アルコールや刺激物は控えてくださいね」ということであったが、今にうちに食べておかないと一生食べられなくなるのではないかとの危機感をつのらせ、あれもこれも食べたい、死ぬ前にもう一度!と今までになく食べ物への執着を憶えるのであった。
歯科検診
かくして1週間後、まずは歯科へ行く。
それにしても最近の歯科は産科と並んでサービス業と見紛うほどの丁寧さだ。いらっしゃいませとは言わないまでも、受付のお姉さんの対応が病院とは全然違ってにこやかだ。歯の形をしたマスコットのぬいぐるみが飾ってあってかわいい。
虫歯のチェック、歯肉炎のチェック、歯磨き指導、歯周病になるとどうなるのかなどの説明を受け、予定通り30分以内で終了した。
「この後、内科に行くんですよね」と聞かれ、「ヤバいです。胃の検査の結果が出るので…」と優しい歯科医のお兄さんに不安を吐露したところ、「とりあえず歯石を取った方が良いですね」とにこやかに次の予約を勧められる。
確かに内科で私が何をしようとお兄さんには関係のないことである。お兄さんが知りたいのは、歯石を今日取るか、次回にするか、それのみである。
結果、、、
内科の診察室に入った瞬間、大丈夫そうな雰囲気が漂っていた。あ、セーフだな。私にはなんとなくわかるのだ。医師は「何の処置もしなくて良いが、毎年検診でチェックしましょう」と言った。話は1分で終わった。受付のお姉さんに「もう帰っていいんでしたっけ?」と聞くと「お会計があります」あらまぁ。
結果がんではなかったが、カメラの鮮明な動画を見るにつけ、胃の検査は『寝ている間に胃カメラ&一応生検』がベストである。不味いバリウムを飲んで、不鮮明な画像のボンヤリした疑いで再検査とかのらりくらりやる必要はない。
そして、ついでに歯石も取ってもらったほうが良いに違いない。