積極的に、何もしない。 P019.
けさのコーヒーは、我ながらうまく淹れることができた。深い茶色の水面がつるんと光っている。湯気の量もちょうどいい。まずは鼻であじわう。ひとくち口に含むと、濃すぎず薄すぎない。しっかり苦いんだけど、すごく透きとおっていて、なめらかに喉へ流れ込む。うん、いい感じだ。
真っ黒に焦げてカリカリになったチョコクロワッサンと一緒にたのしむ。妻はごめんね、とペロッと舌を出していた。ひさしぶりにゆっくりとした時間の流れのなかに身を浸している。たくさん動いているのもたのしいけれど、何もしな