地方が豊かになる方法:起業の教科書

地方が豊かになる方法

今、地方は仕事もお金もなく、衰退がつづいていると言われています。このため、観光によってお金を稼いだり、特産品を売って稼いだり、いろいろな工夫をしています。

今までの話で、お金を生み出す源は生産能力だと言いました。また、お金は銀行から借り入れることで作ることができるんだよと。さらには、お金そのものには価値がなく、相手によって、負債になったり、資産になったりするものですよと。

これらの話から、地方が豊かになるために必要なことは、外部から稼ぐことではなく、地域内の自給力を高めることが重要であることが分かります。
地域内の自給力とは、そこに住む人達が必要とするものを地元の企業が提供できる状態のことです。
地域内の自給力が高い状態は、地元の人の力や資源が地域内でグルグル循環している状態であり、その反対側にあるお金もグルグル回ります。限られた関係の中での取引の場合、その通貨としては、日本円に限る必要はなく、ツケでも地域通貨でも大丈夫です。
ツケは個人でもできる通貨発行ですし、信用取引と言われる掛け売り、買い掛けは、企業間で使われる通貨になります。
現在は、こうした信用取引の額が少なくなってきていて、直接取引(その都度、お金を使った清算をする)が増えてきているのも、日本円不足を招いている(デフレ)一因かと思います。

地域内で貨幣を供給する役割を果たすのは、地方銀行になります。自治体や地方企業が、地方銀行から借入をすることで、新たに預金が作られ、地域が必要とする日本円が供給されます。
同じ銀行内であれば、口座間の移動は費用が掛かりません(他銀行への口座振替は、日本銀行を通すため、手数料が掛かってしまう)。また、仮に貸し出した企業が倒産した場合でも、銀行内の預金総額が変わる訳ではないので、他の儲かっている企業の利子によって着実に返済が出来ます。

効率化の名の下に、地方銀行の再編、企業の吸収、合併が成されることによって地方が衰退していくのは、こうした理由ではないかと思います。なので、地方の発展のためには、地域の実情に合わせて規制を行うことによって地域の生産力を維持していく必要があります。
良いものを安く買えるように何でもかんでも規制緩和するのではなく、良いものを安く買えるように、地元企業を育成することが地方行政において大事になります。

ちょっと話がズレましたが、この教科書の一番最初にお話しした「世の中にある需要に自分の専門性で応えていく」ことが、社会を豊かにすることに繋がる理由が分かってきたのではないでしょうか。

しかし、地域内の自給力を高めるといっても、全てを賄えるわけではありません。地域外との取引や国外との取引が必要になってきます。
そうした場合でも、外部へ商売をするための産業を育成するのではなく、あくまでも基本は、地元の人が必要とする物を生産することを中心とします。
こうして生産した物の中で余剰にできてしまうものが発生します。余分にできてしまうものだったり、ついでにできてしまう物ですね。これを外部へ販売する物とします。
こうすることで、地元の自給力を維持しながら外部との取引も成り立ちます。

こうした施策を打ったとしても、どうしても外部に依存してしまう地域があると思います。
例えば、離島の暮らしの場合、外部に依存してしまいます(売るより買う量の方が多い)。
こうした場合は、やはり国が地方自治体に交付金を配布して是正していく必要があります。
また、交付金以外にも、営林署だったり、海上保安庁だったり、警察、学校のような公務員が住むことによって、給与といった形で地方にお金を配布することができます。

人々の暮らしに直結する起業をする普通の人だからこそ、こうした内容を知っておいて欲しいと思います。


(続く・・・)

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