チャンディガール、ル・コルビュジエの夢の都市
ル・コルビュジエの話ばかりで失礼。
意欲があるうちに書き切りたくて。
ル・コルビュジエは都市計画がやりたくてたまらなかったらしい。あのヴォワザン計画、パリのマレ地区を一掃して高層ビルと広大な緑地で近代都市を再構築するプランも、結局は実現しなかった。伝統的な街並みを壊す内容だったから批判されてしまったわけだけど、それでも彼は諦めなかった。だからこそ、チャンディガールを設計する機会を得たとき、きっと「ついに自分の理想都市を作るぞ!」と意気込んだんだろう。
チャンディガールの建設が始まったのは、1953年。イギリスからの独立直後で、インドは政治と経済の安定に向けて必死に歩み出していたころ。そんなタイミングで、近代的で新しい街を作るとなれば、インド側も喜んで彼に依頼したのだと思う。
ル・コルビュジエがデザインした街並みは、幾何学的で美しいだけじゃなく、社会と建築の理想を体現したものだった。でも皮肉なことに、彼が思い描いた「理想の都市」は、自然からの返答のような複雑な現実をもつことになる。都市が大きく発展する中、人々がその空間をどう使うか、何を求めるか――そこには理想だけでは済まない人間の営みが見え隠れする。
こういう話を聞くと、なんだか切ない気分になる。現代の美術や建築は、「美しいものだけが芸術ではない」というメッセージを投げかけているように思える。ル・コルビュジエの夢も、その一例なのかもしれない。
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