【いろんな音色を引き出すには?音色を吹き分ける方法】 〜管楽器、吹奏楽指導〜前編

今回はいろんな音色を出すための
ヒントとなる話をしてみたいと思います。

素晴らしい演奏、感動する演奏は
音色の変化も多彩な事が多いですよね。

・その曲ごとに相応しい音色

・フレーズや場面によっての音色の違い
描き分け

・フレーズの中での微妙な音色の
変化

・声部やその役割ごとに適した音色

・調性の色、イメージに合った音色

そのシュチュエーションによって
いろいろな音色が要求されると思いますが

【いろいろな音色を吹き分けるには
具体的には何が必要か?】

これについて考えてみたいと思います!

音色を吹き分ける上で1番大切なことは

【出したい音色を鮮明にイメージする】

そして

【イメージした音色に必要な身体の使い方が自然にできる】

これが理想なのですが

そうは言ってもなかなか
イメージしただけでは
思うような音色に
吹き分けられないということも
あると思います。

また指導の場面でも
イメージだけ伝えても
なかなか音色が変わらない
こともありますよね。

今回はイメージすることは
できてるという前提で

それでも音色がイメージ通り
になりにくい場合
具体的にどうしたらいいかを
考えてみたいと思います。

まず管楽器の場合、息が目に見えないので
具体的な事が分かりにくいと思います。

それが例えば弦楽器の場合
弓の動きが音になるので
どんな動きの時に
どういった音色になるか
イメージしやすいですよね。

そこでまず弦楽器がどうやって
音色の変化をつけているのかを
まず考えてから
それをヒントに応用して
管楽器の音色の変化のつけ方を
解説してみたいと思います!

(弦楽器の説明が少し長いかもしれませんが
読みながらこれを管楽器に置き換えると?
と先取りして考えながら読み進むと
効率がいいと思います)

弦楽器の場合、音色を決める主な要素は

・弓のスピード

・弓の圧力

・弓を動かす量、幅

・弦を弾く場所(駒寄りの方を弾くか指板寄りの方を弾くか)

→指板寄りに行くほど倍音が少なく柔らかい、少し空気が混ざったような音色

→駒寄りに行くほど倍音が多く密度の濃い硬めの音色

・発音、アタックの種類

・弓の毛を当てる幅(べったり面で当てるか斜めにして当たる面を細く使うか)

・弓を使う場所(弓の先の方で行くか真ん中か、元の方か)

→弓の先の方が軽い音色や透明な音色が出やすい

→弓の元の方が重い音色や濃い音色が出やすい

主にこの7つの要素を変化させて
いろいろな音色を弾き分けます。

この組み合わせの割合を変化させれば
無限に多様な音色を出す事ができます。

例えば以下のようなイメージになります。

6つだと複雑なので
少し単純化して主な4つの要素で
例をあげると

・速い弓+圧力高め+弓を使う量を多く+発音をはっきりと

→張りのある力強いフォルテ

・遅い弓+圧力低め+弓を使う量は中くらい+発音を柔らかく

→柔らかいピアノ

・遅めの弓+圧力高く+弓を使う量は中くらい+発音ははっきりと

→重みがあって密度の濃いフォルテ

・速い弓+弓を使う量は中くらい+圧力低く+発音は軽く

→艶があって透明で軽やかなメゾフォルテ

これに残りの4つも加える事で
その音色の傾向をより強化する感じです。

先ほどあげた例に3つの要素を加えると

・速い弓+圧力高め+弓を使う量を多く+発音ははっきり+少し駒寄り+弓の真ん中か弓の元寄り+毛の量多く

→張りのある力強いフォルテ

・遅い弓+圧力低め+弓を使う量は中くらい+発音は柔らかく+少し指板寄りを弾く+毛の量少し少な目+弓の真ん中か先寄り

→柔らかいピアノ

・遅めの弓+圧力高く+弓を使う量は中くらい+発音ははっきりと+少し駒寄り+弓の元寄り+毛を使う量多く

→重みがあって密度の濃いフォルテ

・速い弓+圧力低く+弓を使う量は中くらい+発音は軽く+弦を弾く場所はニュートラルな位置+毛の量を少し少な目+弓の先寄り

→艶があって透明で軽やかなメゾフォルテ

ちょっと細かくて大変だったと思いますが
次はこれを管楽器に置き換えて
考えてみましょう!

管楽器は主に

・息のスピード

・息の圧力

・息の量

・息の太さ(口の中の広さやアパチュアの広さ)

・発音の種類

・(場合によってはリードを支えるアンブシュアの圧力の変化、くわえる深さ)

これらが音色に影響を与える主な要素です。

この中の3つの要素は弦楽器とほとんど
同じイメージで考える事ができます。

・息のスピード↔︎弓のスピード

・息の圧力↔︎弓の圧力

・息の量↔︎弓を使う量

音色を自在に吹き分けられる奏者は
出したい音色をイメージする事で
自然に無意識的に
この要素を適切に変化させているか

場合によっては意識的にも
変化させています。

なかなか音色を吹き分ける事が
難しいと感じる人や初級者の人は

音色をイメージする事にプラスして
この具体的な要素を
知っておくと音色を吹き分ける
助けになると思います。

例を挙げてみます。

○張りのある堂々とした力強いフォルテ

→息のスピード速く+息の圧力高く+息の量多目+発音はっきりと硬めに+(音域などにもよりますが太めの息)

○暖かい包み込むようなフォルテ

→息のスピード少しゆったり目+息の圧力中くらい+息の量多目+発音は硬すぎず丁寧に
+(音域などにもよりますが少し太めの息)

○軽くて透明で艶やかなフォルテ

→息のスピード速く+息の圧力は少し低め+息の量少し多め+発音軽くクリアに+息をまとめて細めの息

○深く柔らかいピアノ

→息のスピードゆったり目+圧力低め+息の量少な目+発音柔らかく+少し空間を広げて太めの息

○透明で緊張感のあるピアノ

→息のスピード速く+圧力高め+息の量少な目+緊張感のあるクリアな発音+息をまとめてストローで吹くみたいに細く

100パーセントこの通りではないかもしれませんがおおよそこんなイメージになります。

こんな感じでイメージだけでなく
具体的な要素も分かると
イメージした音色が
出せる確率が格段に上がります。

(特にイメージだけではピンと来ない
タイプの人は、これをちゃんと理解すると
急にできるようになる傾向があります)

これを普段から
基礎練でも曲の練習でも
意識しながら
さまざまな音色を出すことを
試行錯誤していくと

コツが掴めてきて
イメージ通りの音色が
出しやすくなってくると
思います。

とにかく思い切って
いろいろ試してみると
掴めるのが速いです!

細かいことを解説してきましたが
やはり1番大切なことは

【出したい音色のイメージが
頭の中に鮮明ににあること】

です。

この事を常に忘れずに
中心に置いた
補助として具体的な事を
使う事が大切です。

イメージが無い物は
いくら息のスピードとかを
指示されたりして調節したとしても
いい音、欲しい音にはなりません。

イメージさえ鮮明にあれば
あとは今回説明したような要素を
助けにしながら練習していけば
少しずつイメージに
近い音色を出す身体や息の使い方
になっていきます。

それが高いレベルで身に付いてくると
頭の中で出したい音色をイメージすれば
自動的に自然に出せるように
なります。

少し演奏者目線で話してきましたが
以上のことを指導する場合のポイント
は以下です!

まず、出して欲しい
音色のイメージを
歌って聴かせたり、例えや
音色をイメージできる言葉で
伝えます。

それで思うような音色が
出てこなかった場合は

息のスピードや圧力などの
具体的イメージも
伝えてあげて

音色のイメージ+息の具体的イメージ

セットで伝えると
効果が倍増すると思います。

これにさらに
以下も加えると
効果が絶大になります!


イメージを声で歌って聴かせる。

歌って聴かせながら
ジェスチャーを使って
息のスピードや圧力のイメージを
弦楽器のボーイングのような
イメージでやってみせる。

歌の代わりに
息の出し方を口で
「スーッ」
みたいな感じでやってみせる。
その時歌の時と同じように
ジェスチャーをつける。

(この息の出し方は実際の楽器の出し方と
できるだけ同じになるようにリアルにやるほど効果大!)

こんな感じでありとあらゆる角度から
伝えてあげると

一つの角度だとピンとこなかった
人にも伝わったり

ある程度伝わっていた人も
さらに理解が深まって
さらにレベルアップします。

最初は説明が多く必要でも
みんなが理解して
慣れてくると

全部説明しなくても
キーワードだけ言えば
反応できるように
なってくると思います。

ぜひ試してみてください(^^)

もう一つ効果的な方法があるので
それは後編で解説したいと思います

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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