演奏のコツ・指揮のコツaccel.rit.アゴーギグの秘訣!
指揮する上でも演奏する上でもたびたび話題に上がることの多いアッチェルランド、リタルダンド、アゴーギグを掴みやすくする秘訣を書いてみたいと思います!
【主な内容】
・裏拍を制するものは音楽の流れを制する!
(アッチェルランド、リタルダンドを自然にやりやすくするためのコツについて)
・アゴーギグのコツ
・アッチェルランド、リタルダンドが
しやすくなる腕のコントロールのコツ
・アッチェルランド、リタルダンドをやりやすくするイメージの持ち方について
【裏拍を制するものは音楽の流れを制する!】
普段いろいろな曲を演奏したり指揮を振る中で
アッチェルランドやリタルダンドが
難しい場面てよく出てきてますよね。
これに悩まされる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この悩みを解決するため
の大きな秘訣は
【裏拍の捉えかた】
です。
裏拍をどんな風に捉えて
裏拍のタイミングや流れを
どのようにコントロールする
かが大きな鍵です!
裏拍の捉え方、裏拍の流れの作り方で
音楽の動きを自在に動かすことができます。
(あの偉大な指揮者バーンスタインも
「指揮の秘訣は裏拍だ」
という言葉を残しています!)
では少しずつ解説していきたいと思います。
まずテンポの動きを表した
以下の数字を声に出して
読んで見ましょう。
1 と 2 と 3 と 4 と
これは一定のテンポですね。
よく聞く話だと思いますが
裏拍をちゃんとカウントすると
テンポがつかみやすく
安定したいい流れになります。
次に以下の数字を書いてある
幅のイメージに沿って
カウントしてみてください。
1 と 2 と 3 と 4 と 1
アッチェルランドに自然に
なりましたね?
こんな感じで
「と 」 のタイミングが段々詰まって
テンポが上がっていきます。
裏拍を積極的かつ前向きに
捕まえていくと
自然にアッチェルランドを
かけやすくなります。
これが以下の裏拍のタイミングだと
どうでしょう?
1 と 2 と 3 と 4 と 1
さっきのパターンよりちょっと進みにくくありませんか?
さっきのパターンと両方
並べてみるので
交互に体感して違いを
試してみてください。
1 と 2 と 3 と 4 と 1
1 と 2 と 3 と 4 と 1
比べると
下のパターンの方が
自然に、スムーズに進みにくかったり
ギクシャクしがちになると思います。
一つ目のパターンのように
裏拍を前に食い気味に
取っていくような
イメージが自然なアッチェルランドを
生み出すコツです。
アッチェルランドも
テンポの上がっていき方や
何拍かけて上がっていくかなど
いろいろなパターンがあると思うので
例を挙げると
急加速の場合は
1 と 2 と 3 と 4と1
長めのスパンで徐々に
上げていく感じだと
1 と 2 と 3 と 4 と 1 と 2と…
あとはこのヴァリエーション
と考えれば
応用できると思います。
実際の楽曲で
長いスパンのアッチェルランド
が出てくるのは
・こうもり序曲
・プスタ
・オリエント急行
・美女と野獣/ひとりぼっちの晩餐会/Be Our Guest
・チャルダッシュの女王セレクション
・マードックからの最後の手紙
・2020コンクール課題曲 トイズパレード
あたりが有名?ですね。
ここまでのパターンを
カウントで慣れてきたら
次は腕も動かしながら
カウントと身体をリンクさせていきましょう。
そして基本のテンポ設定を
いくつか変えたパターンや
軽快な曲調、レガート系の曲調など
何パターンかの種類でも
試すと効果的です。
ここまでをそれも含めて
少し練習してみてください。
♪♪♪
上手くいきましたか?
練習を続けて
感覚がつかめてくると
曲の中で応用ができるように
なります。
これまでやったことのある曲
や知ってる曲の中で
アッチェルランドの部分を
抜き出して練習すると
とても効果的です!
ぜひ普段から少しずつ練習
してみてください。
では、次はリタルダンドです。
またカウントしてみましょう。
1 と 2 と 3 と 4 と 1
今度は裏拍の「と」に行くのが
段々広がって時間が引き伸ばされていきますね?
これも二つ比べて試してみましょう。
1 と 2 と 3 と 4 と 1
1 と 2 と 3 と 4 と 1
これと二つ目の方が自然に
かけにくいと思います。
リタルダンドの場合は
アッチェルランドと逆で
基本的には
裏拍に入るタイミング、時間を
後ろに引き伸ばしていく
感覚でやると
自然に落ち着かせることが
できます。
先ほどと同じく
いくつか例を挙げると
多めのリタルダンドだと
1 と 2 と 3 と 4 と 1
長いスパンで徐々に落ち着いていく
リタルダンドだと
1 と 2 と 3 と 4 と 1 と 2 と 3 と 4 と 1
他にもいろんなパターンが
無数にあると思うので
またアッチェルランドの
ところと同様
実際の曲で
リタルダンドがある部分を
イメージして
練習してみてください。
次に今度は
アッチェルランドとリタルダンドを
組み合わせると
1 と 2 と 3 と 4 と 1 と 2 と 3 と 4 と
これをいろんな速さ、揺らし方のパターンで
練習すると感覚がつかめてくると思います。
そしてこれを
実際の曲に応用して行けるように
アゴーギグ(テンポの伸び縮み)の例
をいくつかあげてみましょう。
小節の真ん中が前に進んで
後半で戻るパターンだと
1 と 2 と 3 と 4 と 1
2小節目に向かって行って
2小節めでまた落ち着いていくパターン
だと
1 と 2 と 3 と 4 と 1 と 2 と 3 と 4 と
この他にも4小節のフレーズの中で、各小節の中で小さな微妙な揺れを伴いつつ、大きく3小節目に向かってテンポが前に進んで行って、その後落ち着いく場合や
8小節のフレーズの中で、各小節の中で小さな微妙な揺れを伴いつつ、大きく4小節目に向かってテンポが前に進んで行って、その後落ち着く場合など
実際には曲のキャラクターやスタイルなどに応じて他にもいろんなテンポの動き方が
ありますが
以上ような基本を掴んでおくと
あとはヴァリエーションなので
上手く応用して
曲調ごとにさじ加減や
進むところ、落ち着くところ
を調整するとできるように
なってきます。
楽曲の例としては
・エルザの大聖堂への行列
・風紋の冒頭部分
・たなばた(アルトサックスソロや中間部)
・マードックからの最後の手紙(後半のレガートで歌う場面)
・白鳥の湖 情景
・チャイコフスキー交響曲第5番 2楽章
・マイスタージンガー前奏曲(途中レガートでテンポが動くところ)
・ラフマニノフ交響曲第2番 3楽章
などがイメージしやすいと
思います。
(知ってる人はその曲をイメージ
しながらテンポの動きを
試してみてください)
こういった曲では
アゴーギグが特に必要となるので
この方法を生かすと
格段に音楽を動かしやすくなると
思います。
では次に3拍子も例を挙げておきます。
3拍子
例① 短いスパンでのアゴーギグ(2小節の中で向かって行って落ち着くパターン)
1 と 2 と 3 と 1 と 2 と 3 と
例② 長いスパンでのアゴーギグ(4小節の中で3小節目に向かって行ってその後落ち着くパターン)
1 と 2 と 3 と 1 と 2と3 と 1 と 2 と 3 と 1 と 2 と 3 と
楽曲の例としては
①のイメージに近いのは
・アルメニアンダンスパート1 (ゆったりとした三拍子のアラギャス山の部分)
・タンホイザー序曲 (最初の部分)
・ブラームス交響曲第3番 3楽章
②のイメージに近いのは
・スラブ舞曲第2番
以上のような曲がアゴーギグの例としてはイメージしやすいと思います。
これまでいくつか基本的なテンポの動きのパターンを例としてあげましたが、実際は曲に応じて
微妙なさじ加減の違いは無限にあるので全てそのまま当てはまるわけではありませんが
以上を基本として
掴んでおけば、あとはそのヴァリエーションなのでどんどん応用していくことが可能です。
基本の考え方を参考にしつつ、その曲ごとのキャラクターやスタイルによって適したテンポの動きを見つけていけるといいと思います。
次は
困りがちなことの代表的なものの一つ
【超スローテンポの曲】
です。
すごくスローな曲は、いいテンポの流れで
演奏することも、指揮を振ることも、とても難しいですよね。
時間を持て余してしまったり
腕が余ってしまったり
変に速くなったり、間延びしたり
テンポが思うように
いかないことがあると思います。
それを解決する秘訣が
【16分音符単位でカウントする】
です。
どういうことかというと
これまでの
1と2と3と4と
これをさらに16分単位に細分化して
いちとお
にいとお
さんとお
しいとお
このように16分音符単位までカウントすると
コントロールしやすくなります!
超スローテンポの場合(おおよそ♩=40〜60くらい)
○一定のテンポ
い ち と お /に い と お/ さ ん と お/ し い と お
○アゴーギグの例
い ち と お /に い と お /さん と お /し い と お
このように
テンポの動きを
細かくカウントすることで
ゆっくりな中でも
微妙なコントロールが
しやすくなります。
指揮をする上でも、腕のスピードの微妙なコントロールをしやすくなると思います。
裏拍をカウントすることに関連して、もう一つ役立つ練習方法を挙げておくと
実際の曲を
【カウントを歌詞にして歌う練習】
です。
どういうことかというと
♪ 1と2と3と4と
という感じでカウントを歌詞にして
メロディに乗せて歌うと
テンポ、アゴーギグを作りやすくなります。
合奏で指導する時なども
この歌い方で伝えると
伝わりやすいので
上手くいかない時は
この方法を使ってみるのも
一つの効果的な手です。
【アッチェルランド、リタルダンドの指揮をする時の腕のコントロールのコツ】
指揮をする時のアッチェルランド、リタルダンドの時の実際の腕の動かし方のコツですが
・アッチェルランドの時は
図形(拍と拍の間の距離)
を徐々に小さく
距離を短くして詰めていく
・リタルダンドの時は
徐々に図形を大きく、距離を取っていく
以上が基本です。
(ただし例外もあって
例えば曲が
リタルダンドしながら
消えるようにデクレッシェンド
して終わるような場合は
図形も小さくしつつ
腕のスピードを落としていきます)
そして
図形の大きさ、使う距離を
変えるタイミングは
【点を通り過ぎた後を
変える】
のがポイントです。
どういうことかというと
さっきのカウントのところを
思い出して欲しいのですが
アッチェルランドなら
カウントの図で示したのと同じで
距離が短くなってるところを
図形も短く詰めていきます。
(裏拍の 「と」 に行くまでの
距離と時間を詰めて行く)
リタルダンドは
カウントの図と同じように
点を通り過ぎた後を
引き伸ばすようなイメージで
距離を伸ばしていきます。
(裏拍の 「と」 に行くまでの
距離と時間を長く伸ばして行く)
裏拍の「 と 」に行くまでスピード
を
例えば
・段々スローモーションになるようなイメージ
・何かを引き伸ばすようなイメージ
・ブレーキをかけていくようなイメージ
・波が落ち着いていくようなイメージ
で落としていきます。
これもいろんな曲を使って
たくさん練習していくと
だんだんコツが掴めてくると思います。
ぜひいろんな曲調で
練習してみましょう。
【アッチェルランド、リタルダンドが
掴みやすくなるイメージ】
最後に知っておくと
助けになるイメージも
いくつか紹介しておきます。
何か日常にあるものや
体験したことあることの
イメージに置き換えると
分かりやすくなることが多いです。
・汽車や電車が加速していくイメージ、減速していくイメージ
・自転車を漕ぎながら加速していくイメージ
ブレーキをかけて減速するイメージ
・自転車で下り坂を加速して行く感じ
・ジェットコースターで加速していくイメージ
・スーパーボールやピンポン玉が
弾んでだんだん落ち着いていくイメージ
・駆け足で走っていたところから
減速していく感じ
・ウインドマシーンや手で回して
野菜の水分を切る器具?
を重いところからだんだん早く回して
軽くなって行く感じ
・バスケットボールのドリブルを速くしたりゆっくりにして行ったりする感覚
他にもあるので
そういう意識で
日常の中で探してみると
面白いと思います笑
最後のバスケットボールの
ドリブルの感覚
は実際にやってみるか
ボール無しでもエアドリブルで
やってみるとかなり
感覚がつかめるので
特におすすめです!
【まとめ】
・裏拍のカウントの仕方で流れがコントロールできる。
・アッチェルランドもリタルダンドも
裏拍からきっかけを作っていくと
動かしやすく自然な流れを作りやすい。
・ゆっくりになるほどカウントを
細分化するとコントロールしやすい。
・アッチェルランドの時は図形を徐々に小さく、リタルダンドの時は徐々に大きくすると
やりやすいことが多い。
・日常の中にある身近なもののイメージを利用すると掴みやすい。
以上
細かく説明してきましたが
このように要素に分けて
一つ一つを段階的に
掴んでそれを繋げていくと
身につけやすいので
実践してみてください。
これが全てではありませんが
基本として持っておくと
確実に助けになると思います!
最後まで読んでいただきありがとうございました!少しでもお役に立てたら幸いです(^^)
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