【指揮の左手の使い方について✋🏻】
【指揮の左手の使い方について✋🏻】
「左手の使い方ってどうすればいいですか?」
という質問や
困っているという声をよく聞きます。
そして自分自身も
昔よくそう思っていました笑
左手の使い方は右手より
ある意味自由度も高くて
人によって使い方や個性に
幅があるので
教えるのが難しい内容です。
(人によってはそもそも教わるものじゃない
という人もいるかもしれません)
自分自身もそういった解説や動画に
あまり多く出会った事がなくて
詳しく教わりたいと思っていました。
という事で
指揮は言語化するのが
難しいですが
できるだけ言語化してみました。
左手にどういう使い方、目的、
役割があるかあげてみます。
ちなみに
優れた指揮者は右手だけでも
ほとんどのことを伝えられますが
左手がサポートした方が
より効果的で伝わりやすく
なるのは確かです。
以下にあげる内容は
右手だけだと伝えきれない時や
より一層伝える力を増幅させる
ための役割という
前提を持ちつつ理解すると
いいと思います。
・表情、ニュアンスを伝える。
・フレージングを示す、サポートする。
・音の持続をサポートする。
・音の切りとそのニュアンスを伝える。
・ダイナミクスを伝える。
・バランスを調整する。
・発音のニュアンス、イメージを伝える
・音色を伝える
・アゴーギグ、テンポの動きをサポートする。
・楽器の入り、ソロの入りなどを示す、サポートする。
・リズム感を示す。
・音程感を示す。
もっと細かいところまで
探せば他にもあるかもしれませんが
主なものは以上だと思います。
次に一つ一つの項目を
少し解説してみたいと思います。
○表情、ニュアンスを伝える。
さまざまな左手の形
高さ、体からの距離など
位置による印象の違い
腕を動かす軌道
などの組み合わせで
無限に表情、ニュアンスを
表現することが
できます。
例えば
高く掲げることで
高らかさ、高まり、
堂々とした感じや、誇らしさ
などを表現したり
横方向に広げるような動きで
音の広がりを示したり
低い方向を使うことで
音の深さ、重さを伝えたり
身体に近づけることで
落ち着き、繊細さ、祈り、内向的なニュアンスなどを示したり
音を抱きかかえるような表情で
たっぷりした感じ、暖かみ、情熱
などを伝えたりできます。
○フレージングを示す、サポートする。
フレーズのエネルギーの方向性、
持続感、高まりや静まりなど
右手の図形だけだと示しにくい
部分を左手でサポートします。
右手の図形に対して
左手は曲線的に
弦楽器のボーイングのような
イメージだったり
息の流れを視覚化したような
動きを示すことで
フレーズ感や表情を
伝えやすくすることができます。
この時に息の流れやボーイングの
スピードとリンクしている事が大切で
作りたい音のスピードとエネルギーの変化と
同じイメージで腕のスピードの変化を
作ることが大切です。
空気をうねらせる、動かす
風を送り込むといった
イメージも持っておくと
フレーズ感を出したり
音楽をうねらせる、動かす
助けになると思います。
○音の持続をサポートする。
フレーズの中の長い音符や
フェルマータなどで
音を保ったり
エネルギーを持続させたりするのに
左手は特に効果的です。
どんなイメージ、ニュアンスで
持続するか
その種類も左手の方が
豊富に示せると思います。
○音の切りとそのニュアンスを伝える。
これも左手を使うことによって
より明確にそして
さまざま切り方のニュアンス
を表現することができます。
そっと切るのか?
力強く切るのか?
エネルギーを増しながら切るのか?
減衰しながら切るのか?
左手を効果的に使うことで
さまざまな種類を
より明確に示すことができます。
○バランスを調整する。
どのパートがどのくらいどんな風に欲しいか?
どの声部がどのくらいどんな風に欲しいか?
誰がどのくらいどんな風に欲しいか?
左手を効果的に使うことで
ダイナミクスを調整する
対象とその度合い
それに伴うニュアンスも
伝えることができます。
手の形や位置にもよりますが
基本的には手の平が
奏者の方へ向いてると
抑える方向に
手の甲が奏者の方に向いていると
増やす方向の印象になります。
伝える範囲が明確に伝わるように
手を向ける方向
と意識と目線を向ける方向も大事です。
○ダイナミクスを示す
これはバランスの所で書いたことと
共通することが多いですが
手の向きや
身体からの距離
高さの違いなどを
組み合わせで
示すことができます。
ピアノの時は
例えば
身体に近づけたり
手の平を相手の方へ向けながら
腕を伸ばして抑制したり
下の方を使って
ぐっと抑えるようなニュアンスを出したり
口の近くで繊細な息遣いやひそやかさ
を出したりします。
フォルテの時は
例えば
解放するようなジェスチャーや
拳を掲げるような表情
何かを掴んで持ち上げているような
もっと来てと求めているような
ジェスチャーなどがあります。
どちらの場合も人間が根本的に
持っている感覚、
感情表現の時の身体表現
日常的に使っている
身体表現、運動と関連させて
表現できると
伝わりやすいと思います。
○発音のニュアンス、イメージを伝える
左手の表情によって発音のニュアンスも
伝えやすくなります。
伝えかたも
無数にあるので
これが全てではありませんが
例を挙げるとすれば
スタッカートは
何かをつまむような
集中させるような
形で表現したり
アクセントやスフォルツァンドは
何かを力強く握るような
表情だったり
柔らかい発音だったら
動物か何かをそっと優しく触るような
撫でるような感じ
このような視覚的イメージが
加わると発音のニュアンスも
伝わりやすくなります。
○音色を伝える
音色はその音を出す前に
腕のスピード感や動かす大きさ
呼吸感など
さまざま要素の組み合わせで
示すことができますが
これも左手の表情を加えることで
伝わりやすくなると思います。
例を挙げると
深い音色→下方向へのイメージ、少し掘るような、えぐるような感覚のことも
暖かい音色→暖かいものを支える、抱きかかえる、手を暖炉で暖めるような感覚
包み込むような包容力のある音色→優しく包み込むようなイメージ
輝かしい音色→腕や手を張るようなイメージどちらかと言うと高い位置で示すことが多い
威厳のある音色→何かをしっかりと堂々と確信を持って掴むような感覚
エレガントな音色→何かを上品な摘み上げるようなイメージ
張り詰めた音色→腕や指を伸ばすような張るようなイメージ
その他無限に…
その音楽に必要な
音色感によって
そのイメージに相応しい
左手の表情が必要です。
出したい音色のイメージを
声に出して歌いながら
左手の表情を連動させる
練習を自分でしてみると
表面的な形だけではない
音と結びついた
手の表情が作れると思います。
○アゴーギグ、テンポの動きをサポートする。
音楽を前に進めたい時
右手だけだと伝わりきらない時
左手を前方向に回転させるような
動きで前進を促したり
リタルダンドする時なども
左手で注意を喚起したり
ブレーキのかけ具合のイメージ
をサポートすることもできます。
○楽器の入り、ソロの入りなどを示す、サポートする。
これは分かりやすい項目だと思いますが
楽器が入る時に左手で示すことで
行きますよ!
ここですよ!
どうぞ!
はいっ
ここっ!
きて
はぃ
さぁ
みたいな感じで
入りのタイミングと
どんなニュアンスで入って欲しいか
を右手だけより明確に
伝えることができます。
上手く使えれば
奏者の安心感や成功率も
上げることができます。
○音程感を示す。
指で音程の修正を示したり
露骨に指で示さなくても
音程を明るい方向に導きたい時は
手の平を上方向にしたり
音程を暗い方向に導きたい時は
逆に下を向けたり
することで暗示することもできます。
これは単に手の平の向きだけでは
伝わらないので
顔や目の表情
身体の状態や
自分の意識の持ちかたなどの
コンビネーションで
伝えると考えると
いいです。
○リズム感を示す。
リズムのニュアンスや
運動イメージにマッチした
手の表情で伝えること
場合によっては
そのリズムを
手首も使いながら
刻むような動きで
示すこともあります。
その時は音楽的に正確に
そのリズム感で
動かせていることが
大切です。
今回は以上です。詳しく伝えようと思うと
異常に長い説明になってしまいますね😅
それでも伝えきれないので
また別の機会に
左手について違う切り口から
取り上げてみようと思います。
最後まで読んでいただき
ありがとうございました!
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