[品質評価基準] 議事録
みなさんは議事録をレビューするとなった場合、具体的にはどのような観点で、どのようなポイントを評価しますか?
そしてその評価観点や評価ポイントは常に一定で、常にレビューの質が安定していますでしょうか?
よくIT業界では
『有識者がレビューする』
という謎理論を用いることがあります。
もちろん素人や能力が低いものがレビューするよりは質が向上すると、私も思います。ですが、それはあくまで
素人 < 有識者
という相対評価の結果でしかなく、その有識者がレビューすることで品質が100%になる証明にはなりません。たとえば
作成者(40%) < 有識者(70%)
だったらどうでしょう。IT業界の有識者レビューというのは99%このような形です。たしかに作成者が自身でチェックするよりは30%の質が向上するかもしれません。ですが、それでお客さまへに対して品質を保証するのに必要十分といえるのでしょうか。
「有識者がレビューします」
「○○工程は有識者によるレビューの結果、欠陥は取り除きました」
と自信をもって言っておきながら
次工程以降になったら、前工程までの欠陥が散見される
リリース後にシステム障害が発見される
ということが通常運転のように起こりえてしまうのはこの至極当然の理屈と向き合おうとしないプロジェクトのあり方を承認し、推進してきた組織あるいは企業に問題があるからです。
しかも問題はそれだけにとどまりません。
プロセスとしてレビュー方式やその内容を明確に定義せず、プロジェクトマネージャーや企業として「有識者に丸投げする」という手段を推奨するから、
プロジェクトごとに評価の質が都度変化する(安定しない)
だけでなく、なかには
レビューごと/有識者ごとに評価の質が変化する(まったく安定しない)
ということが日常的にまかり通っていたりします。私も若かりし頃に同じような体験をしたことがあります。
みなさんがお客さまの立場だったとしたら、そんな進め方を推奨する組織を「企業として」信用することができるでしょうか。統率も統制もとられておらず、
「一人ひとりに好き勝手やらせているだけの無法地帯でモノづくりを行い
ウン千万、ウン億、ウン十億を請求いたします!」
と言っているんですよ?怖くありませんか?
私は怖いです。
そんな企業の一員で「コイツも信用ならない」と思われるのも怖いです。
だから私は、評価を行うときは常に基本原則に立ち返って評価するようにしています。そうしてそれぞれの評価軸に根拠や品質としての意味・価値を紐づけ、あらかじめステークホルダー間にて
「この評価軸で進めますが、過不足や誤り等ありますでしょうか?」
「もちろん途中でもお気づきになった場合は仰ってください。
追加・変更した場合は、その点だけ再チェックになりますがご了承ください」
なんて合意形成を図って着実に進めるスタイルを15年以上はとってきました。この姿勢は私が40人以上の部下を評価していた30代の頃に自らに課したもので、それは今でも変わっていません。
評価分類
さて、今回評価の対象としたいのは『議事録』です。
議事録はどの企業でも軽視されがちで、20代、30代でその重要性をしっかりと理解している人というのはかなり稀でしょう。これまで見てきた実感としては、なんとなく作成させている…という企業やプロジェクトも多かったのではないかと思います。
ですが考えてみてください。
通常「契約書」というものは契約する最初の1回しか作成しません。元々民法522条の2でもあるように
法律が求めない限り契約書なんて作成する必要がないのに、だけどビジネスでは作成するのが常です。その理由はみなさんもなんとなくわかりますよね。
では翻って契約後はどうでしょう。
ハイ、上記の通り、実際には契約後のほうがお客さまとの間で合意形成する機会は圧倒的に多いものです。でも、すでに契約を取り交わした後なので、大幅に当初契約内容から外れない限りは契約書を別途作成することもないでしょう。
そこで「契約書」と同じ効果を持ちながらも、契約書の代わりとして作成されるのが
このように『議事録』となるわけです。
ここまでは以前お伝えした通りです。
そして議事録は「契約書」相当の法的証拠能力を有しているという側面を持っていると同時に、ほかにも様々な役割を持っています。
それを一つひとつ紐解いていきましょう。
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