マネジメントで優秀な人は「事前」を大事にする
残念ながら「事後」対応で何とかなると思ってる人はマネジメントに不向きです。
実際にメンバーの立場になって見てみればわかります。
いろいろなことが後手に回って、限られた時間的リソースのなかでそのやりくりもできず振り回されれば確実に嫌気がさしていくことでしょう。
仕事の進め方1つとっても、
「このように進めますがよろしいですね?」
とお客さまや上司に事前に確認しておけば、結果に対して大きな認識の齟齬が出ることはそうそうありません。たとえばレビューなどで他愛のないことをチマチマと指摘される人は間違いなくその気づかいが足りていないです。
もちろんレビューでそのような指摘が大量に発生する場合、レビューする側にも責任があります。あらかじめ
「このような観点でレビューしますからね」
と通知していれば、レビューイ(レビューを受ける側)も指摘を受ける量が少なくてもいいよう、あらかじめ準備をしておけますし、そうすることによって冗長的な指摘はぐっと減るはずです。
工程の名前やレビュー名などからレビューされる内容がなんとなくみんなわかっているはずだと思っていても、いざレビューが始まってしまうと気になるところがどんどん出てきて、工程の示す観点に無いことでも次々と指摘しだす…というレビューア(レビューする側)はたくさんいます。
しかし、そんなものはただの思い付きによる『後出しジャンケン』でしかなく、指摘される側から見ればただただ卑怯ないじめにしか見えません。
私がプロジェクト活動でリーダーやマネージャーとなり、レビューする立場になる場合は必ずと言っていいほど事前に
「何をレビューするか」
「どんな内容の確認をするか」
を具体的に定義し、周知します。仮にその内容に過不足や誤りがあればレビューの場で変更することはありますが、そうなれば定義した内容を改善し、その後再周知を行います。
面倒くさいと思われるかも知れませんが、卑怯者にはなるくらいなら事前に準備しますし、正しいビジネスを行う上で「面倒くさい」を判断の根拠にするようなことは絶対にしません。なによりそうしておけば実際にレビューする時、自分の役割や基準がブレずに済みます。また一度定着してしまえば再利用性の高い仕組みとなって、その後のテーラリングも楽になっていきます。
仮に観点やチェックポイントとは関係ないところで気付いた点があっても、補足や申し送り事項にするだけで改善するかどうかは本人に任せ、計画性のあるチェックしかしないようにします。
そうすることで、レビューを受ける側も、
・あらかじめ、気を付けておくべきポイントがわかるので、作る際に気を付けられる
・レビュー前に自己チェックができ、手戻り工数を大幅に低減することができる
わけです。事前に決めるべきことを決めておくと何をするにしてもチームメンバー一人ひとりの効率性が向上し、業務一つひとつの生産性もグッと改善されるはずです。
「なんとなく」
「とりあえず」
で無計画・無準備で進めながら適宜調整と言うのは、図面も書かずに工作しているようなものです。必ず大量の無駄が増え、手戻りも大きくなります。これは相当のベテランばかりで構成されでもしない限り、まず間違いなくと言っていいでしょう。
また、他にも何かちょっとした依頼を受けた場合でも必ずと言っていいほど
全体のうちのごく一部
をイメージや認識が間違っていないことを確認できる叩き台レベルで、事前に
「先ほどおっしゃられた依頼ですが、
こんな感じで認識しているのですが、
そのまま進めてもいいですか?」
という齟齬が起きていないことの確認の意味を込めて、早々に問い合わせます。
今までもそうしてきましたし、今後もおそらくそうしていくと思います。
1ヶ月かかるような仕事であっても、たった1機能、1ページ、1枚作ってざっくりとしたイメージあわせをする程度であれば、30分~1時間もあれば十分なはずです。その後の19.875人日を1分1秒たりとも無駄にしないためにはさっさと事前摺合せしておいた方が良いに決まっています。
こうした気づかいに才能やセンスはまったく必要ありません。
本人にその気があれば、大人から子供まで、100人いれば100人が実践できる代物です。
「損する」地雷を避け、「得する」方だけを実践していけばだんだんと、そして自然と、
「あっ、この場合は、こうしておいたほうがいいかな……?」
という感覚が磨かれていきます。AIと同じく、経験による一定のパターンデータを積むと自然と身につくようになっているのです。自分本位で、主観的なものの見方しかできない人や、一生損したい人はそのままでもいいかも知れません。
乗れなかった自転車に急に乗れるようになる。そんな感覚が必ず訪れます。
「事前」に損をしない気づかいというものは、そんなに難しいことではないのです。