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したいことを考えるのではなく、してよいことから考える
ある人が製造会社の工場長に就任し、生産性をあげる改革案をさっそく提出しました。ところが会社からNOを突きつけられてしまいます。
はい、みなさんはこの人の立場ならどうしますか?
「〇〇したいんです!」
と言ってもNoと言われる…当たり前ですけど、こんなことはよくあることです。人それぞれやりたいことだけやってられる…ということはなかなかありません。特に、自分の裁量で動かせないものに対しては、他人の思惑や事情が絡んできますからね。
仮に、会社から「今期は予算がないから」と言われてしまえば、通常なら諦めるか、不満・愚痴を言うか…ってところじゃないでしょうか。
自分の裁量だけでは実現できないことに対して、主観的な欲求をぶつけてそれがどーにもならないと不満を抱く…というのは、よくよく考えてみればずいぶん幼い考え方だなと思いませんか?
そこで重要となってくるのは
「"やりたい"ことをやるのではなく
"やれる"ことをやるのでもなく
"やっていい"ことを次から次へと実施する」
という考え方にシフトすることです。
たとえば先ほどの例で言うなら、会社から「お金がないから」と言われると普通ならあきらめる局面かもしれません。ですが、
「お金がないなら知恵を使えばいいじゃない!」
と作業方法の見直しや機械の配置変更といったお金のかからない改善を徹底してみればいいのです。やりたいことでは無いかも知れませんが、お金を使わない以上、会社も「No」とは言わないはずです。こうして生産性の向上や事故・不具合率を一気に低減してしまえば、予算を捻出できるかもしれません。そうすれば「やりたいこと」だってしやすくなるでしょう(必ずできるとは言いませんが)。
「やりたいことをさせてくれない」
という言葉は、「自分自身を何も変化させず、周囲を従わせたいためのいいわけではないか?」と疑ってみましょう。ついつい自分だけが…と考えがちですが、誰もがさまざまな制約の中にいて、そんな制約だらけの中でも成果をあげている人がたくさんいるということは知っておくべきです。
たった数年、数十年で「GAFAM」と呼ばれるまでに成長させてきた創始者や経営者たちだって、何も制約がない中で楽して大きくしてきたわけではありません。私たちが想像もつかないほど苦労してきたことだってあるでしょう。ジョブズが一度Appleを辞めさせられた話は有名ですよね。
それと比較すればいかに自分の努力が、知恵が、発想が不足していたかがわかります。
「何ができるか」と問えばできることは無数に見つかり、手持ちの時聞では処理できないほどになるだろう
…と近代系経学の父、P.F.ドラッカーは指摘しています。
「私は災難が起きるたびに、それを機会に変えようと努力してきた」
とは石油王といわれ、一代で財団を築いたジョン・ロックフェラーの名言の一つです。よく「ピンチはチャンス!」なんていう人がいますが、それを本気で実現している人は意外とごくわずかだったりするんですよね。
みなさんの周りでも
「上司が反対する」
「うち(の会社)は保守的で」
なんて深刻な問題があったりするでしょうけども、そういった小さな愚痴をこぼす暇があったら、「できないこと」に目を向けるのではなく、与えられた権限と制約下で「できること」を積み上げてみてはいかがでしょう。
「できる」のに「まだやってない」ことだって、優先度的には落ちるかも知れないですけど、「まだやってない」以上はやれば成果は出るはずだし、成果につながるなら大事なことのはずです。
そうやってやっていいことにリソースをつぎ込んで、できることをすべてやりきってしまってから「やりたいこと」+「できないこと」に愚痴をこぼしても、遅くはないと思います。
まぁできることをすべてやり切って成果を出した頃には、それなりに上司や周囲が評価するようになり、大きな裁量を与えられるようになっているかもしれませんしね。それこそ「やりたいこと」+「できること」はたくさん増えているのではないでしょうか。
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