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学生症候群を生み出させない環境をつくってあげれば、自ずとマネジメント能力は向上する

これは学校が子どもたちに日頃から働きかけることで、国全体の生産性向上にも寄与できるレベルの話です。なにせ問題の根幹に取り上げている要因は、その名の通り「学生症候群」なのですから。

 「仕事は期日さえ守れていれば
  いつ仕上げても問題ない」

すでにそう考えてしまうのが当然で、そしてそこから思考を発展させずに止まっている人も多いのではないでしょうか。

ですが、思考や認識がそこで停止し、その価値観だけが独り歩きするから

 「学生症候群」

のような心理的バイアスが蔓延することになるのだと私は考えています。

たしかに期日(デットエンド)までに仕上げればいいと言うのも間違いではありません。それを間違いだと断ずるのであれば、初めから期日なんてものは必要ありません。

ですが、多くの人は未来予測が拙く、見通しが甘いことで、ギリギリになってからの割り込み等であたふたすることも珍しくないのは確かです。

そういう時にはあたかも「割り込みが悪い」のであって、「自分のリスクマネジメントに不備があった」とは認めようとしない人も多いのではないでしょうか。自身の計画は完ぺきで、プロセスに誤りはなく、一切外的要因によって歪められることなんてなくて、もしそれでも歪めてくる人がいれば「その人が悪い(自分は悪くない)」そう考えてしまってはいないでしょうか。

そうです。

いわゆる「他責」です。

そして、周囲もそれを認めてしまうからいつまで経っても自身の考え方やプロセスは改善されなくなっていきます。すると、一生見通しが甘い人間が出来上がってしまうわけです。


そういう人を増やさないようにするためには、どんな些細なことでも要求される期日に間に合わせる範囲内において「いつから」「いつまで」実施し、完遂させるのか、明確にさせることではないでしょうか。

ポイントは「いつから」と本人に決めさせること。

「いつまで」が大事じゃないの?
と言われそうですが、大事なのは"END"ではなく、"START""工数"です。

要求するものは「タスク」「期待結果」「期日」の3点のみというのは変わりませんが、その要求を満たしさえすれば当人に許容されてきた自由な裁量の中でさらに詳細な計画を意識させることです。

そもそも人は意識していなければ、日頃からマネジメントなんてしていません。それはプライベートでもオフィシャルでも同じです。

だからいつものように「タスク」「期待結果」「期日」の3点のみを要求するだけでは、タスクマネジメントやタイムマネジメントを意識してこなかった人は学生の頃と変わらない「ただやる」だけしかできず、突発的なアクシデントを予測もしないし、予測しないから事前に手も打てないし、手を打たないからいざという時に対応できないし、それでいて人並みのプライドはあるので自己保身に走り、言い訳などとなって表に出てくるわけです。

ですが、仮にこの「期日」を

 「いつから開始するか」
 「どれくらいの工数(=期間)を要するか」

だけで表現してみたらどうでしょうか。

夏休みの宿題だからと、夏休みの終わりまでにやるのではなく、

 「7月20日から初めて2週間で終わらせる」

と決めれば自ずと「いつまでに(≒8月3日)」に完了させるかがわかりますが、「8月3日までに終わらせる」よりもはるかに計画的にみえませんか?

ENDだけしか言われないとその中身(計画性)が明確になっていないせいで

 「本当に終わるのか?」
 「どうやって終わらせるつもりなのか?」

が不安になることがあります。

特に実績がよくわからない人や、日ごろの行いから窺い知れる不信感などがあるとこのENDだけしか表現されないと「ホントにぃー?」という疑心暗鬼に駆られやすいのです。

そうならない人はおそらく日本人の悪い癖

 終わり良ければすべて良し

を妄信してしまっているのではないでしょうか。
「終わりよければ…」というのは実際に終わってみなければわからないということであり、しかも終わってもいないうちから考えてしまっているようではただの皮算用と変わりません。

 「宝くじが当たったら…」

と言っているのとレベルが何も変わっていないのです。

そんな無責任になりたくない人は、実際に終わったときに良い結果となった際に初めて「終わり良ければすべて良しだから」と言ってのけるわけです。終わる前から良くなるかどうかもわからないのに使ったりはしません。

良い結果で終わらせる人はやはり計画時点から安心感を与えてくれます。

どんなに不確実性の高いミッションであっても、予測し、検討し、対処することを怠ったときからビジネスはただの無策、無法地帯となり果てます。


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Takashi Suda / かんた
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