定性的・定量的
この言葉が出たとたん「ウエッ」という顔をされる方を時折見かけます。
いや、ソフトウェア開発に従事している人なら普通に精通してましょうよ…と思わなくもないんですけど、でもまぁ…決めつけも良くないですよね。
もっとも、これらの言葉はソフトウェア開発業にだけ特化した言葉ではありません。
たとえば、経営者が利用するBI(Business Intelligence)などでも普通に用いられますし、コンサルティングの世界でも常用されていますね。他にも報連相の基本でも学ぶことがあります。人材育成の一つである目標管理の世界でも必須と言われています。
つまり、ビジネスにおいて「データ(情報)」を正確に用いるためには定量的、あるいは定性的な表現方法は must となる技法と言っていいでしょう。
定量的と定性的の違い
ものすごーく端的に言えば
定量的は「状態を数値化して表す」ことです。
言い換えるなら「測定可能な表現方法」とすることです。定量化…すなわち数値化することは、客観的に認識・表現できるので誰にとってもわかりやすく簡単です。情報を受ける側も明確に受け取ることができます。客観性が伴い、公平/公正で、誰が聞いても同じ認識ができます。
定性的とは「状態の変化を表す」ことです。
少し表現が難しくなりますが、わかりやすく例えるなら
・した/してない
・ON/OFF
・変わった/変わってない
・上位5名のうちに入った/入ってない
など、現在の状態や状況を事実として結論付けることです。定性的な表現は主観的な"個人の意見"が混ざりやすく、事実とは異なる表現になりやすいので注意が必要です。
たとえば、「概ね完了した」という言葉の「概ね」は、言った人と聞いた人との間で認識齟齬が起きやすくなります。こうした副詞、冠詞、形容詞などは曖昧さを助長するため、ただ事実のみを述べられるよう日頃から注意しなければなりません。
一般的に『定性的』および『定量的』な分析は、論理的思考においてとても重要な役割を占めます。「論理的思考」という言葉はよく耳にするもののそれがいったい何なのか、きちんとわかっている人は少ないのではないでしょうか。
論理というのはそもそも、物事の道筋のこと。
間をすっ飛ばさずに一つひとつ順序よく辿っていくことです。数学が論理的と言われるのはいきなり「答え」だけをはじき出すのではなく、一歩一歩「途中式」を構築して説明していくからです。
ですから矛盾や飛躍/重複することなく、主張と結論をつなげて考えることができれば、論理的思考ができているということができます。
この前提を常に念頭に置き、論理的に考える方法をマスターすることができれば、どんな難しい課題であってもその問題の本質を見極めることができるようになり、どうすれば解決策を導けるかということを合理的かつ正確に考えられるようになります。
論理的思考ができない人の多くに共通する特徴として、
「あいまいな条件で考えており、判断に信憑性がない」
「すぐに答えを欲しがって、順番に物事を考えない」
というものがあります。言ってることは正しくても、どうしても相手にされない…というのも大抵はこのケースです。
たとえば、
「イベントには町中ほとんどの人が集まり、街の活性化につながった」
という説明では事実かどうかが判断できないうえ、主観的な解釈が含まれているため必ずしも正しいとは言い切れません。「ほとんど」とは具体的にどの程度なのか「活性化につながった」とは事実なのでしょうか。そう思っただけ…ということはありませんでしょうか。
友達と話すのはこれで十分かも知れません。
しかし、"経費"を使わせるビジネスとして上司や顧客を説得し、理解を得るための言葉としては当然ながらまったくの不十分です。たとえば
「イベントには5,000人もの人が集まり、300万円の経済効果があった」
というのは事実を言い表しており、ある側面では何かしらの判断や理解をするのに十分な情報と言えます。これは"定量的"な表現を用いることで、より具体的な事実に昇華させた結果と言えます。
論理的思考をする上での大前提として、考える根拠として見るべき正しいデータとは何なのか、自分がいま目にしているものは客観的な事実なのか、主観的な感想なのか、といったことをしっかり区別するようにしましょう。
じゃあ、最初に出てきた表現の「ほとんどの人」「活性化につながった」は定性的な表現か?というそれは誤りです。「活性化につながった」は百歩譲って定性的と言えるかもしれませんが、「ほとんどの」はただ曖昧なだけでしかありません。
論理的思考をする上では、定性的なデータや表現だけに頼るのではなく、定量的なデータをもとにして考え、あいまいな判断をしないように気をつけましょう。
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