「まだ〇時間ある」「もう〇時間しかない」
楽観的なのは良いことです。
「時間がない」と嘆いているよりも「まだ○時間あるから大丈夫」と感じていたほうが心身の健康には良いでしょう。
ただ、そこには落とし穴もあります。
一見すると楽観的のようでも、実は単に行動を先延ばしにしているだけという場合があるからです。楽観的と短絡的は違うのです。
期限までまだ時間があるからと、先延ばしにしていませんか?
「まだいいんだよ。面倒くさい。
まだ何をしたらいいのかわかんないから」
心の奥からそんな言葉が聞こえてきたら要注意です。
学生症候群の病気が首をもたげかかってきている証拠です。
無視せずにその気持ちに向き合ってみましょう。
先延ばしにする人は、仕事の全体を見渡せていないという特徴があります。本来、リーダーやマネージャーであれば致命的と言わざるを得ない大問題ですが、現実問題としてそういった人は少なくありません。
いつまでにやらなければならないという期限は知っていても全体の進行をどうするかがイメージできていないのです。「期限まではまだ時間があるから」というだけで思考と行動を停止させているからです。
たとえばあるポイントに焦点を当ててみた場合、
AはBからしか成り立たない
BはAからしか成り立たない
と見えてしまいます。
ですが、視座をさらに高くして俯瞰してみれば
本当は
AはB以外からも成り立つし
BはA以外からも成り立つ
ということがあったりします。焦点を絞り込むというのは、一歩間違えると「視野を狭くする」ということであり「思考停止する」ということにもつながりかねません。
また、時間と質の関係を理解していません。
ある仕事を仕上げるのに短期間で取り組むのと、時間をかけて取り組むのとでは、質の上で影響が出てくるはずです。先延ばしにすることは、期限に間に合わない危険性が高くなるのと同時に期限を守れたとしても質が低い場合が多いのです。
こういった活動に対する常識としての意欲的取り組みは、ビジネスパーソンの中でも一流と呼ばれている人たちに多く見受けられます。
こういったやり方を改めていくためにはどうすればいいでしょうか?
まず、先延ばし癖のある人は締め切りを決めるだけでなく、
取りかかる(スタートの)期限を決めましょう。
作業をスタートさせる期限と締め切りの期限があれば、
ギリギリになる前にスタートでき進捗や全体を把握することができます。
「いやいや簡単にできるから放っておいてもいいんだよ」
そう考える人もいるかもしれませんが、簡単にできるのであれば今やってしまったほうがいいでしょう。
実際、先延ばしのことのほとんどが手をつければすぐに終わるものです。
さっさと終えてしまえば、それ以降の時間は課題から解放されます。
そして、次の課題に取りかかることもできるでしょう。
早くから取りかかれば対処できることなのに先延ばしにしてギリギリに取り組んでしまうと、時間切れになり対処できなくなります。これは学生症候群に対する具体的対処法の1つと同じです。
しかし頭ではわかっていてもなかなか実践している人はいないことでしょう。それほどまでに軽視してしまうからこそ、いつまで経ってもこうした問題は減らないのです。
後悔先に立たず。
この言葉は数少ない真理と言っても良いと思います。「後悔」その名の通り、後になってから悔やむということです。先に悔やめないし、先に悔やむことがわかるものでもありません。だからこそ、強く悔やみそうなリスクは早々に対策しておいた方が良いのです。
取り組むのに早いに越したことはありません。
締め切りと同時に取りかかる期限を決めましょう。そうすれば自分勝手な感覚の「もう」にも「まだ」にも振り回されることなく、しっかりと意識した時間とタスクのコントロールが可能になります。