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「伝える」ために考えておくべきこと

気合の入ったプレゼン。
内容には自信もあり、説明したいポイントもたくさんある。
よどみのないトークで会心のプレゼンができ、「やった!」と心の中で叫びそうになった時に相手が、

 「で、つまりどういうこと?」

あるいは、お客さまを前にしたプレゼン。
そのため念入りに準備はしてきたものの、いざその場になると、普段とは違った空気に緊張してしどろもどろになる。ふと前を見ると、つまらなそうに資料をぺらぺらめくっている相手の上役が見えて、心が折れる。

みなさんの中にも、このような経験をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか?(実際、私にはそういうつらい経験がたくさんあります)。

人はあなたの話の80%は聞いていない

多くの人が誤解をしているのは、

 「自分が伝えたいことを話せば、人は話を聞いてくれる」

ということです。先に結論を言っておきますと

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です。えぇ、「んなわけねー」んです。人は聞きたいことだけを聞きます。聞きたくないことは聞きませんし、仮に聞いてもすぐに忘れます。心の平穏を保つために、身体が自動的にそうするようになっているんです。

たしかに、確かに学校でも会社でも、「話せば、相手は聞いてくれる」と言う前提のもとに教わってはきました。

 「前で話をしている人がいるのだから、静かに聞きましょう」

といったように何度も言われてきたものです。ですが現実ではどうでしょう。あなたは、聞きたい/聞きたくないといった個人的感情とは違うとことで、相手が伝えたいと思って話していることは、いちいち1から10まですべて聞いていますか?

まず、1つ気づいてほしいのは、そもそも

 「人は、相手の話の80%は聞いていない」
 「聞きたくないことは、聞かない」

ということです。会議や朝礼など聞かざるをえない状況で、たとえ最初は聞こうと思っていたとしても、いやいやその場にいるのかもしれません。いつの間にかぼんやりと違うことを考えてしまっているかもしれません(雨が降ってきて、「あ、洗濯物どうしたっけ」とか)。

聞いている人の頭の中をのぞいて見ると、眠いとか、退屈とか、ちょっと寒いなとか、早く終わらないかなとか、いろんなことを考えていると思います。

でも、それが当然だと思ってください。

どんなにプレゼンがうまくなっても、こちらの一言うことを100%理解してくれる、なんてことはありえません。私も「話の内容がわかりやすかった」とお褒めの言葉をいただくことは稀にありますが、そもそもの主張のところを理解いただいていなかったり、「さっき言ったんだけどな」ということを質問されたり、誤解されて伝わっていたりすることは今でもあります。

だからどんなに相手が好意的に聞いてくれでも、自分がどんなに完壁なプレゼンをしたとしても、自分が話したことがすべて相手の頭の中に残っているということは不可能だと考えています。相手の理解力が悪いわけでもなく、自分の伝え方が悪いわけでもなく、コミュニケーションというものはそういうものなんです。

すべては伝わらないんです。

自分の話を聞いてほしいなら、まず「みんな人の話を聞いていない」し、「聞いていないのが当然」ということからスタートしてほしいのです。


「1分」で話すということを意識する

では、コミュニケーションを諦めていいのかといえばそうではありません。チームで仕事をするうえでコミュニケーションは非常に重要な要素です。ここがうまくいけば、たとえば3人が力を合わせて4人力、5人力となります。うまくいかなければ「1人でやったほうが速い」となってしまい、一人分の力しか出せません。

チームの力を最大限活かすためには、自分の主張を相手にしっかり伝え、理解してもらい、動いてもらう力、すなわち「プレゼン力」が必要です。

私が言うプレゼン力とは、人前で発表するスキルでも、話すスキルでもありません。

 人に動いてもらう力」

です。聞き手はそもそも8割方聞いていないし、理解もしていない。であれば、それをそもそも理解したうえで少しでも相手の頭に残し、相手が動くためにはどうしたらいいか、の勝負になります。そのために必要なのは、目安として

 「1分で話せるように話を組み立て、伝えよう」

ということです。これが基本です。細かいことを言うと、サウンド・バイトと呼ばれるような技法も必要になってくるとは思います。

ですが、ちょっと高度な話法は置いておいて、まずは1分で話をまとめられるようになりましょう。Twitterが140字で話をまとめさせるのと同じように、自分で自分自身に対して制約を設けるのです。

思うに

 「1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない」

のではないかと思います。実質、30秒ほどでまずは骨子をまとめてしまいたいですね。肉付けに残り30秒ほしいところです。逆にいえば、

 「どんな話でも『1分』で伝えることはできる」

ようになれば、大抵のことがシンプルになりますし、聞く気がない人相手でも、ストレートに伝わりやすくなります。なにせ、ビジネスの場において1分で集中力が切れてしまう人…と言うのはなかなか珍しいので、この間に勝負ができる話し方が可能なら、あとは話の中身次第と言うことになります。

特に忙しい上司や役員などは、「1分」のほうが聞いてくれる確率は高いでしょう。5分で話すべきことも、30分かけて話すことも、1時間与えられた時でも、まずは「1分で簡潔に話せるように」話を組み立てましょう。

これができれば、格段に「伝える力」がアップします。
 

「右脳」と「左脳」に働きかける

相手の気を引くのポイントは、左脳と右脳の両方に訴えかけることです。

ビジネスですから、もちろんロジック(左脳)を理解してもらうことは大事です。私自身、左脳を大量に使う話し方の方がやはり軸にはなります。ビジネスで「おもしろい」のは、世間話やこぼれ話ではなく、「ロジック」に基づいた話です。

でも、ただ単につらつらと、ロジックだけ話されると、

 「はいはい理解した、理解した…理解はできた…。それで?」

ってなりませんか?

情熱だけでは人は動きませんが、ロジックだけでも人は動きません。

マネージャー的な立場で仕事をされている方なら、「正しいことを言って人が動くのであれば、苦労はしない」と実感される方もいるのではないでしょうか。結局、人は左脳で理解し、右脳でイメージできて、両方が揃ってはじめて納得が引き出せ、それでやっと動けるんです。

伝える側自身にその内容に対する深い理解や情熱がなければ、他人に対して何度説明したところで動いてくれるわけはありません。

スキルとしてロジカルに伝えることも大事だし、熱狂するマインドも必要です。私がよく使っているのは、ストーリーは比較的シンプルに、ロジックで説明し(ここまでで30秒)、その後「たとえ話」を用いて熱く、面白おかしく、感情を交え(るようにコントロールし)、あいてのイメージを最大限膨らませるように話します(これで30秒)。

 「たとえばですよ?
  〇〇があったとするじゃないですか。イメージしてみてください。
  目の前に〇〇がある感じ。この、コレを〇〇に見立てましょうか。
    (中略)
  で、そこに〇〇があったらどうです?
  なかったら□□となっていたかもしれませんが、もし〇〇があったら、
  その問題自体が生まれてくることすらなかったんですよ。
  凄くないスか!?
  私、これ初めて目の当たりにしたとき感動しましたもの!」

みたいな。イメージですけど、実体験のように話します。

だいたい…ですが、日本語は1分で話せる文字数は350~400字が標準と言われていますので、そのことを前提に、文章構成を考えておくといいかもしれませんね(少し早口にすれば、もう50字くらいはいけるか?)。

と言うかまぁ、私の場合は実体験済なネタばかりなので、こういう話をする際にはあまり困ることがありませんでしたけど、きちんと自分で体験し、経験する努力さえ怠らなければ、大抵のことはこんなシンプルな例示に落とし込めたりするので、日頃からいくつか用意しておくといいかもしれませんね。

最初の1分さえ、「相手の興味を引く」「聞きたいと思わせる」と言う目的を果たすことができれば、相手は前向きに聞こうとしてきますので、さらに時間を延長してお話しても、相手もグイグイ聞こうとしてくれると思います。


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Takashi Suda / かんた
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