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受け手の行動を喚起しないコミュニケーションの価値は非常に小さい

「一人語り」「独り言」はコミュニケーションではありません。
 
コミュニケーションの中には単なる世間話や挨拶のように、人間関係だけでなく多くの集団活動を円滑にする上で重要ではあるものの、必ずしも相手(受け手)の行動を促さないものもあります。

一方、プレゼンテーションやメールでの同僚への報告、指示などは基本的に相手の行動喚起を目的とします。

プレゼンテーションであれば相手に提案通りに動いてもらうことが主眼となりますし、メールでの指示も同様です。報告や連絡といった情報共有は、いますぐに相手の行動を促さないまでも、将来の行動の促進に向けた足場固めともいえるものです。

「相手を動かす」「相手が動ける状態を作る」という目的意識がないと相手に対する配慮や関心も当然薄くなりますし、薄くなった分、自分中心に考えて行動してしまいがちです。

相手の状況にも無頓着で、ひたすら自分の話したいことを話してしまいます。

相手の抱えている課題・問題にも意識が行っていませんから、好ましい行動を促せる可能性はきわめて低いものになります。これでは生産的な仕事にはつながりません。

少なくとも集団活動においては致命的と言っていいでしょう。

相手に期待する行動は、具体的に目に見えるものだけではありません。

地ならし的なもの…たとえば、「興味を持ってもらう」、「共感を得る」といった類のものから、相手を「牽制する」といったものもあります。

ポイントは、目的を押さえた上で関心や心理状態を知るということです。
マーケティング施策を考える際に想定顧客のことを知るのと同様です。

これらを錯覚したり勘違いするケースは少なくありません。

たとえば、相手の前職が業界でも有名な会社なので業界の常識は知っていると思っていたところ、経理などの間接部門にいたのであまり業界知識はなかったなどのケースです。

いずれにせよ、期待すべき相手の行動をイメージし、相手の状況も理解した上で、そこから逆算してコミュニケーションを考えることが必要です。

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会話を「言葉のキャッチボール」などと揶揄するように、コミュニケーションは相互に交わして初めてコミュニケーションと呼びます。

プログラムの呼びだしと基本は同じです。

引数は無くても呼び出す行為を行わないと相手の関数は動いてくれませんし、相手の関数がvoid型で宣言していたとしても、きちんと返ってきてくれて初めて1つの応答が成立します(例外ももちろんありますけど)。

しかし、会話、会議、メール、手紙、etc.…なんでもそうですが、

 リアクション
 応答
 返信

等、全くしないで、自身の存在を隠そうとする人が後を絶ちません。

コミュニケーションを発信する側だけでなく、受信する側も同様にコミュニケーションを大事にしなければ相互に補完しあう関係になることは絶対にありえません。

コミュニケーションは、

 送り手は受け手を意識する
 受け手は送り手を意識する

が両立しないと成立しないのです。

結局のところ、コミュニケーションの上手くいく/行かないというのは送り手または受け手、あるいはその両方が相手のことをコミュニケーション相手として対等の立場にある、という認識を持てるかどうかによって変わってきます。

たとえば仮に上司と部下のコミュニケーションだからと、上司が一方的にマウントを取ったような気になっていれば、当然部下は上司の言葉を正しく受け取ることは難しくなるでしょう。

 威圧されておかしな忖度をするのか
 委縮して「言われたこと」しかしない受け身体質になるか
 反発を生んで話半分しか聞こうとしないのか

部下の性質にもよるでしょうけど、上司が相手のことを「正しくコミュニケーションを取るべき対等な相手」と理解していないからこそ起こることなのです。

だから私は、私から一方的に相手を対等以外の立場と見ることはありません。本来なら堅苦しいのも嫌いです。もっとずっとフランクなコミュニケーションにしたいといつも思っています。相手が偉い立場の人でも、ずっと下の立場の人でも。

相手が「こちらを互いに敬意を払うべき人間だ」と思ってないと感じるまでは基本的にこちらからは対等に接します。部下であっても、新人であっても、子供であっても、です。だから相手の目線や話のレベルに合わせようとする努力も惜しみませんし、ネタを合わせるために事前に勉強しておくことだってあります(まぁそうすることで自分の知識量が少なからず増えるわけで、損することは何一つありませんし)。

その程度の努力もできないようでは、様々な人とコミュニケーションをおこなう資格も得られないんじゃないかとさえ思っています。

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Takashi Suda / かんた
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