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最適なお詫びの仕方を選ぶ

ビジネスにおけるお詫びとは、1つの駆け引きでもあります。

しかし、お詫びするだけでは1円の価値もありません。
問題等を起こしてしまった際、

 『お詫びして済まされる』

ビジネスというものはこの世に存在しません。

お詫びとは、ある意味で締めくくりに使われるものであって、本当に誠意があれば言い訳やお詫びをする前にするべきことがあるはずです。ゆえに、本当にお詫びが必要なシーンにおいては誠意をもちつつも、一方的に自社が不利にならない手段を選ぶことが必要となります。

このことを理解しているかいないかは、頭の良し悪しと言うより普段からの言動が自分本位かどうかという性格的な側面が強いことでしょう。

それでも明確に切り分けるのであれば、

頭がいい人は、最適なお詫びの仕方を選んで次のアクションにつなげる
そうでない人は、火に油を注いでより収拾のつかない状況を作る

といった違いがあるでしょうか。
 
どんな人でもミスはゼロになりません。

ポイントは、その誰もがゼロにできないミスをしたときに、いかに素早く対処し、どのように収拾をつけるかです。

人は最初から有能だったのではなく、失敗や問題を繰り返し、収束し、習得し、成長しているだけです。そしてどんなに優秀・有能になっても失敗や問題がゼロにならないにもかかわらずそれでも優秀・有能であり続けるためには、失敗や問題をどのように解決し、活用するかまで考え続ける必要があります。

そういう意味では、人の成長における有能/無能を切り分けるのは、

 『失敗時の対処の仕方』

が分水嶺と言ってもいいでしょう。

たとえば、ミスで客先に迷惑をかけてしまったら、まずは相手に対してお詫びをしなければなりません。優秀・有能な人は状況に合わせて適切な方法を選択し、ミスを挽回します。

そうでない人は自分なりに収拾しようと頑張るのですが、ビジネス常識がわかっていないので火に油を注ぐようなこともしばしばです。

お詫びの仕方ひとつでも、それによって解決のスピードや相手とのその後の関係性が大きく変わります。お詫びの仕方はそのミスの大きさによって5段階あります。

メールでお詫び

お詫びとは、相手にかけた迷惑や損害に対して最大限配慮し、誠心誠意行うものです。

なので、本来はメールで済ませるのは、失礼であることは覚えていてください。

例外的に、笑って済まされる程度のミスや双方の人間関係のなかで問題視するほどでもないようなミスについては、メールでお詫びしても大丈夫というだけにすぎません。

メールでのお詫びのメリットは、言葉を慎重に選べるということです。
送信するまでは何度でも書き直すことができるので、失言がありません。

デメリットは、感情が伝わりづらいことと、お詫びの仕方としては一番手軽なため誠意がないと思われてしまうケースがありうることです。

通常は、お詫びの際、その手段にメール単品では用いません。メールの本質を理解していれば、メールがいかに危うい伝達手段かを知っているはずです。

通常はメールでは略式と言う形でお詫びさせていただき、改めて電話や直接お会いすると言った形式でお詫びを重ねます。優秀/有能でない人はこの時点で既に誤ります。大きな問題が生じた時、お詫びがただのメール1通のみというだけでも相当失礼にあたるものですが、それをそのまま終了したと思ってその後のアフターケアを一切行わないような場合があります。これでは、火に油を注ぐのは当然です。


自分で直接お詫び

直接お詫びをします。

方法は「電話でのお詫び」「直接会ってのお詫び」がありますが、直接会うほうがより誠意が伝わります。

ミスの大きさや相手の感情、地理的、時間的状況などを考慮して、どちらが適切か判断するとよいでしょう。当然のことですけど、相手が遠地にいるのに直接会って謝罪しようとすればそれだけ謝罪ができるまでに時間が空きますので、相手に不快感を与えかねません。

直接伝えるメリットは、声の抑揚や表情からこちらの誠意が伝わりやすいことです。
相手の心情なども理解しやすく、互いに齟齬が起きにくく、お詫びの手順に誤りがなければ基本的にこれで解決するはずです。

デメリットは、メールのようにやり直しがきかないため、思わぬ失言には注意しなければなりません。また、重ねれば重ねるほど信用が落ちやすいという側面もあります。


上司によるお詫び

大きなミスで関係者に多大な迷惑をかけると、自分ひとりのお詫びでは解決しないことがあります。その時点で既に途方もない問題を作り上げてしまったという反省が必要ですが、そうした際には上司から先方にお詫びをしてもらうことがあります。

方法もメールや電話によるお詫びや、直接先方と話し合う機会をつくってのお詫びなど、そのときの状況によって使い分けます。

上司からお詫びをしてもらうメリットは、個人のミスを「組織的な問題」として扱っていることが相手に伝わるため、お詫びの内容(改善策)に対して安心感が増すことです。

デメリットは、上司に迷惑をかけてしまうことです。
普通ならば、問題が大きくなってお詫びをしなければならない状況になる前に、しっかり「報・連・相(+確)」できていれば、そもそもお詫びする必要が生じにくいものです。お詫びしなければならない状況を生み出したと言う際には「報・連・相(+確)」を怠っていなかったか、もう一度見直しましょう。

もし、「報・連・相(+確)」を怠っていたために問題が生じ、しかも上司にお詫びさせているのだとしたらそれはもう致命的な状況で、確実に自己改革が必要ということです。


文書によるお詫び

上司のお詫びで解決しない場合は、文書によるお詫びをします。

ただし文書だけではなく、事前に「自分で直接お詫び」と「上司によるお詫び」などの方法を取ったうえで、さらに公式な文書を出すということです。

一般的には「顛末書」と言った形式で提出することになります。

メリットは、しかるべき役職者名で出す公式文書ですので、組織としてそのミスを重大に捉えていることが相手に伝わることです。

デメリットは、記録に残るため、後々大きなトラブルに発展したときに証拠として採用されかねないことです。なるべく「上司によるお詫び」までの方法で穏便に解決を図るように努力することが必要です。


金品によるお詫び

基本的には最終手段と考えてください。

どんなに誠意を尽くしてお詫びをしても、相手に損害が出たときには許されないこともあります。賠償責任もあるようなケースは金銭的な解決を図るより他ありません。

ただし理不尽なクレームやどさくさにまぎれた金品の要求には応じるべきではありません。法的には、応じる側にも相応の罰則が下ります。

メリッ卜は、相手の損害を補償することで、相手の納得感が高まり早期の解決が図れることです。とはいえここまで問題が大きくなっているときは相手の時間的コストを奪っていろいろな迷惑をかけてしまうケースが多いため、金銭で解決したからと言ってもとの関係性に戻るとは限りません。

デメリットは、とにかくコストがかかることです。

こうした金銭の問題になると自分の進退にも関係してくる…と考える従業員もいることでしょう。だからなんとか自分のチームや組織内だけで片付けようと無理をします。結果、大幅に時間的コストを消費することになり、お客さまの怒りもより大きくなりますし、信用・信頼も落とします。

ここでいう「時間的コスト」というのはメンバーや部下たちを残業などを用いて解決させようとすることを指します。よって仮に金銭的お詫びによる解決を選択しなかったとしても、その倍、10倍以上の人件費を浪費する…なんてことは珍しくありません。

自分の保身のために選択したつもりが、逆に企業や組織、顧客など多くの人に迷惑をかけてしまって、より評価を貶める…となりかねないことも注意したほうがいいでしょう。

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Takashi Suda / かんた
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